いばらき産保ニュース 第2号

発行日:2007/7/23
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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【コラム:水戸南町だより】

新着情報

「勤労者心の電話相談」に2万件/労働者健康福祉機構

独立行政法人労働者健康福祉機構は、職場におけるストレスが増加していることや自殺者数が急激に増加していること等の状況を踏まえ、勤労者やその家族が抱える心の問題について助言等を行うため、平成12年から、全国20の労災病院で専門のカウンセラーによる「勤労者心の電話相談」を実施しています。 最近取りまとめられた結果によりますと、勤労者及びその家族等からの相談件数は、23,385件にのぼり、前年度の19,178件に比べ21.9%の増となっています。 相談内容を見ると、「職場の人間関係」が最も多く、「上司との人間関係」に関する相談が2,228件、「同僚との人間関係」に関する相談が1,526件、「その他の職場における人間関係」に関する相談が1,289件でした。 精神の問題(精神に関する自訴)では、「将来に対する不安感」が7,479件と最も多く、次いで「落ち着けない」が5,843件、「イライラ・不安感」が4,367件となっています。なお、「自殺念慮」は1,087件でした。 体調の問題(体調に関する自訴)では、「不眠」が2,268件と最も多く、次いで「疲れやすい」が1,589件、「慢性的疲労感」が1,271件となっていました。 相談者を年齢別に見ると、30代が20.3%と最も多く、次いで40代が18.8%、50代が13.3%となっています。 相談者は電話により無料で相談できます。
詳しくは→こちらをご覧下さい。

酸素欠乏症等の災害防止の徹底について

酸素欠乏症や硫化水素中毒(以下「酸素欠乏症等」という)は、死に至ることもあるたいへん危険なものです。 特に、硫化水素中毒は夏季に多く発生する傾向がみられますので、7月から8月にかけてはこれに対する注意が必要です。 この度、厚生労働省は、平成18年に全国で発生した休業4日以上の酸素欠乏症・硫化水素中毒災害の発生状況をとりまとめ発表しました。 それによれば、酸素欠乏症等による死亡者が平成18年は11名にのぼり、平成15年以降最悪の数となっています。また、救助しようとした者が被災するいわゆる二次災害による死亡者が3名に上るなど、危険作業であることの意識が希薄であったことなどが原因と考えられています。
このように、酸素欠乏症や硫化水素中毒はしばしば重篤な結果をもたらしますが、その一方で、作業環境測定、換気、送気マスク・空気呼吸器等呼吸用保護具の使用などの措置を実施すれば、容易に発生を防ぐことができるものです。これを参考に、酸素欠乏症等防止対策の徹底を図りましょう。
詳しくは→こちらをご覧下さい。

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センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

  • 産業保健セミナーの開催予定を10月分までホームページに追記しました。
  • 産業医、産業看護職アンケートにご協力ください
    平成18年4月1日から施行された改正安衛法において、過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策として、長時間残業者に対する医師の面接指導制度が導入されるなど、職場で働く人々の健康を支える産業保健活動における産業医の役割が益々重要となってきています。 また、保健師・看護師等(以下「産業看護職」とします)の果たす役割も大きなものがあり、多様化する就業形態に応じて、有害作業から過重労働、メンタルヘルスなどの課題に対しては、産業看護職の専門性を活かした活動が期待されているところであります。 ついては、産業保健活動に従事している産業医又は産業看護職が現在どのような活動を展開しているか、あるいは、今後どのような活動を望んでいるのか等を把握するため、アンケート調査を行うことにいたしましたので、ご理解のうえご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 平成19年度母性健康管理研修会
    男女雇用機会均等法では、事業主に対して、妊娠中の女性労働者が母子保健法に基づく妊産婦健診を受診するための通院時間を確保できるようにすることなど、妊娠中及び出産後の女性労働者に必要な母性健康管理の措置の実施を義務付けています。 産業医、医師、保健師、看護師、衛生管理者、機会均等推進責任者等の産業保健スタッフの皆様に、母性健康管理について知識を深めていただくために、「母性健康管理研修会」を開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。 参加費無料です
    【日時・場所】
    9月12日(水)14時~17時30分
    ホテルレイクビュー水戸(水戸市宮町1-6-1)
    【内容】

    1. 管内の働く女性の現状
    2. 男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置
    3. 労働基準法における母性保護規定
    4. 母子保健の理念(母子保護法)
      • 母子保健の目的と意義
    5. 妊娠中の症状等に対応する措置
      • 措置と症状の関連
    6. 職場における妊産婦の健康管理と産業医等産業保健スタッフ等の役割
      • 妊産婦の健康への配慮
      • 相談手法、配慮すべき設備
      • 情報提供、教育研修
      • 母性健康管理システム
      • 職場との連携

※日本医師会「認定産業医」生涯研修の単位が取得できます。

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新着図書・教材情報(無料貸出し)

  • VDT作業と健康管理―臨床・予防・補償の全て―
    和田攻監修、日本医師会推薦/財団法人産業医学振興財団
    【概要】
    近年、マイクロエレクトロニクスや情報処理を中心とした技術革新により、IT化が急速に進められており、誰もが職場においてVDT(Visual Display Terminals)作業を行うようになっています。 しかし、VDT作業で身体的な疲労や症状を感じている労働者の割合は78.0%を占め、このうち「目の疲れ・痛み」を訴える者が91.6%、次いで「首、肩のこり・痛み」を訴える者が70.4%に上っています。 本書の記述は、VDT作業による健康障害の予防から臨床、さらには労災補償事例と多岐にわたっており、VDT作業に従事する労働者の健康管理に関わる産業医のみならず臨床医にも役立つものとなっています。
  • VDT作業の正しい進め方~IT時代の健康心得~ビデオ
    【概要】17年ぶりに新しくなった厚生労働省の衛生管理の仕方を紹介すると同時に、作業者にとって適切な照明、採光のしかた、作業姿勢の調整、日常点検などに重点を置いて、正しい作業の進め方を具体的に分かりやすく解説しています。

 

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これから受講できるセミナー案内(無料)「2007年」

  • 9月6日(木)14:00~16:00場所:常総地域産保センター
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」
  • 9月12日(水)14:00~17:30場所:ホテルレイクビュー水戸
    テーマ「母性健康管理研修会」
  • 9月13日(木)14:00~16:00場所:茨城産業保健推進センター
    テーマ「初級カウンセリング講座最終回」
  • 9月18日(火)14:00~16:00場所:茨城産業保健推進センター
    テーマ「難聴と騒音測定」
  • 9月20日(火)19:00~21:00場所:ワークヒル土浦研修室2
    テーマ「企業における災害発生時の被災者トリアージについて~産業医として知っておくべきこと~」

※8月は予定がございません

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コラム水戸南町だより

ストレスの三大原因――人間関係は緩衝要因にも

職業性ストレスの三大原因といえば、「職場の人間関係の問題」、「仕事の量の問題」、「仕事の質の問題」とされてますが(平成14年労働者健康状況調査の概況:厚生労働省)、この度、労働者健康福祉機構がとりまとめた「勤労者心の電話相談」の結果でも「職場の人間関係」がトップにあげられています。 その最悪なのがパワー・ハラスメント(いわゆる“パワ・ハラ”)。会社での立場を利用した嫌がらせのことで、こうした経験をお持ちの方も多いと思います。一方的に仕事を押しつけ、部下の話を聞こうとしないくせに、その上司は上のご機嫌ばかり伺って全然自分では仕事をしないとういうのはよく聞く話です。 これでは部下も仕事のモチベーションも上がりませんし、こうした上司の態度を見抜けない上層部や会社自体にも不信感が募るわけで、結果的には業績ダウンにつながります。 とはいえ、会社は選べても上司や同僚は選べないのが一般的。組織で仕事をする以上、人間関係を避けて通ることはできませんから困ったものです。 一方で、職場の人間関係によっては、ストレス要因が解決したり、緩和したりすることがあります。これを「緩衝要因」といいます。ストレスがあっても、上司や同僚がサポートしてくれると、ストレス反応としてはあまり強く出ないとされていますから、人を生かすのも殺すのも人間関係次第ということでしょうか。 「田能久」という落語があります。田能村の久兵衛、通称田能久というお百姓がおりまして、たいへんな親孝行者だそうですが、うわばみを騙して、うわばみの弱点を聞き出します。

「うわばみ様は、いったい、なにが怖いんでございますか。」
「おれはな、たばこのヤニと柿の渋がこわいな。なにしろ、あいつが体につくと、肉から骨までしみこんで、ついには死んでしまうからな。お前は何が怖い」
「それはもう、色々でございます。でも、いちばんこわいのは金でございましょうな。」
「なに、金が怖い、あの、小判がかい?」
「あの金のためには、ずいぶんと命をとったり、また、とられたりする者がございます。まあ、あのくらい怖いものは、世の中にあるまいとわたくしは思います。」

こうしてうわばみの嫌いなものを知った久兵衛、村人にうわばみ退治の方法を教えてしまいます。
一方、村人に柿の渋をかけられたり、タバコのヤニをかけられて、ほうほうの態で逃げ出したうわばみは、久兵衛の家まで仕返しにやってきます。
ある夜、表の戸を破れるばかりにたたく者があります。
「開けろ、早く開けろ、開けないとぶち壊すぞっ。」
「いま開けますから、ちょっと待ってください。」
「やい、田能久。てめえは村のやつらに、おれの嫌えなものをみんなしゃべったな。」
「うわばみ様、ど、どうかごかんべんねがいます。」
「ぐずぐずいうな。おれはもう、とても長えこたあねえが・・・この怨みをはらさねえでは、死んでも死にきれねえ。野郎、覚悟しやがれっ。」
いったかと思うと、うわばみは、手にかかえていた大きな箱を、どかりと土間へほうりこんで、そのままどこへともなくすがたを消しました。なんだろうと、久兵衛がこわごわ箱のふたをとってみると、中に小判がぎっしり・・・
まったく、人間ほど怖いものはありません。


次回の第3号は、平成19年8月上旬配信予定です。
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