いばらき産保ニュース 第4号

発行日:2007/08/23
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

メンタルヘルス不調や脳・心臓疾患への対応に取り組むことが必要
「産業医のあり方に関する検討会」報告書

産業医の有資格者数は、約7万人超となっています。一方、産業医を選任する義務のある50人以上の規模の事業所数は全国で約14万事業所あります。 こうした産業医の需給状況に加え、産業医の提供するサービスの内容、産業医の質の問題、事業場規模や業種を考慮した産業医の活動量、事業場が求めるサービスの内容等も含めて検討してきた厚生労働省の検討会は、8月9日、「産業医・産業医科大学のあり方に関する検討会」の報告書を発表しました。 報告書によれば、今後、期待される産業保健サービスについて、医学的・専門的知見を踏まえた健康管理のみならず、産業保健上の大きな課題となっている作業関連疾患であるメンタルヘルス不調や過重労働による脳・心臓疾患への対応にしっかりと取り組むことが必要であるとしています。 このほか、産業医の職務遂行に関する記録について、現在、法令上の規定はありませんが、事業場において長期にわたって産業保健活動を推進していくためには、過去の指導内容等を把握しておくことが必要であるとして、指導、助言の内容や職場巡視記録の作成について検討する必要があるとしています。 また、企業組織の多様化に対応した産業医の選任方法のあり方として、企業全体の産業保健活動を指導する総括的な産業医(総括産業医)の活用や、資本的、人的関係が強く、事業場も近接している複数の会社についての選任義務をどう定めていくかについても検討する必要があるとしています。
詳しくは→こちらをご覧下さい。

「中小企業労働時間適正化促進助成金」を創設

このたび、厚生労働省は、時間外労働の削減に取り組む中小企業に助成金を支給する「中小企業労働時間適正化促進助成金」を創設したと発表しました。
対象となる事業主は、特別条項付き時間外労働協定(36協定)(※メモ参照)を締結している中小事業主。 特別条項付き時間外労働協定の対象者の半減や年次有給休暇の取得促進、新たな常用労働者の雇い入れなどを盛り込んだ「働き方改革プラン」(実施期間1年間)を策定し、都道府県労働局長の認定を受けたときは、プランに基づき就業規則を整備した時などに50万円、プラン完了時に50万円、合計100万円を支給するというものです。
【メモ】
時間外労働や休日労働は無制限に行われべきではなく、そのため厚生労働大臣の告示で延長時間の「限度時間」が定められています。
しかし、「特別の事情」が生じたときに限り、労使当事者間において定める手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長する協定を締結することもできます。こうした協定を「特別条項付き時間外労働協定」といいます。
助成金について
詳しくは→こちらをご覧下さい。

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センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

来月9月9日は「救急の日」/9月26日(水)AED講習会を開催

目の前で人が倒れたらどうします? 救急隊が現場に到着するまでの間に、救急現場に居合わせた人が適切な応急手当を速やかに実施できたら、傷病者の救命効果は一層向上します。 茨城産業保健推進センターでは、いざという時のために、AED(自動体外式除細動器)を用いた心肺蘇生法の講習会を、「救急の日」にちなんで、9月26日(水)に開催します。 AEDは、2004年7月より医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになり、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業などにも設置されるようになってきています。 しかも、操作方法を音声ガイドしてくれるため、簡単に使用することができます。 衛生管理者、産業看護職の方は、是非、講習会にご参加ください。

産業衛生学会関東産業看護部会研修会のお知らせ/東京

平成20年度から実施される特定健診・特定保健指導において、ますます産業看護職の保健指導力が問われています。 産業衛生学会関東産業看護部会では、行動変容を促す指導に欠かせない松本千明先生(医学博士・公衆衛生学修士)を講師にお招きして、1.『健康行動理論』2.『ソーシャル・マーケティング』を企画しました。
毎日の保健指導にすぐに役立つヒントが盛りだくさんです。ふるってご参加ください。

    • 第1回9月29日(土)13:30~16:30
      【テーマ】
      「健康行動理論」
      【ねらい】
      生活習慣病の予防と治療には、対象者の行動変容が不可欠です。 健康行動理論とは「どんな条件が満たされると、人の行動が健康に良い方向に変わりやすくなるかを示す枠組み」です。
      産業看護職継続教育 IV-3-(3)1単位、V-5-(3)1単位
    • 第2回10月20日(土)13:30~16:30
      【テーマ】
      「ソーシャル・マーケティング」
      【ねらい】
      保健分野の『ソーシャル・マーケティング』とは、『すすめる行動を採用してもらう』ことを 商業分野のマーケティングの考え方・技術を健康教育プログラムに応用することです。
      産業看護職継続教育 IV-3-(2)1単位
      参加人数:各回50名定員
      資料代:2000円/1回
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新着図書・教材情報(無料貸出し)

産業保健ハンドブック石綿関連疾患― 予防・診断・労災補償 ―・・・図書
森永謙二編日本医師会推薦/産業医学振興財団

【概要】
平成16年に初版が出されていましたが、昨年に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」などを加えて、第4版として刊行されました。 石綿は、現在では製造・使用等が禁止されていますが、これまで長期間にわたって広範な産業の場で使用されてきました。また、その大半が建材として使用されたため、既存の建築物等の解体、改修工事等によるばく露等によって、今後とも石綿関連疾患の増加が心配されています。 本書は、石綿に関する基礎知識、石綿関連疾患の診断から労災補償及び救済、さらには予防対策と、石綿に関する情報をほとんど網羅しており、産業医にとって好著といえます。 なお、石綿関連疾病は、石綿にばく露してから発症までの期間が非常に長いため、作業の記憶が定かでなかったり、また本人自身にばく露の自覚がない場合もあります。 診察にあたっては、通り一遍の石綿ばく露を聴取するのではなく、より丁寧な職業性ばく露の聞き取りが必要になりますが、厚生労働省がホームページ上で石綿にばく露するおそれがある作業例、石綿製品例について写真入りで解説しており、参考になります。
詳しくは、こちらをご覧下さい。

ビジュアル臨床心理学入門⑬ストレスとうつ病(30分)・・・ビデオ

【概要】
人は本来、生きんがために強い心を持っています。その心が、時にくずれることがあります。 臨床心理学は、そうした気持ちにとらわれた人たちと向き合い解決の道を探ります。

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産業保健Q&A

3ヶ月以内に受診した健康診断結果の提出で雇入れ時の健康診断を省略できる?

【質問】
入社予定日以前3ヶ月以内に健康診断を受診した者が、その結果を証明する書類を会社に提出した場合は、 あらためて雇入れ時の健康診断を行う必要はないと聞いていますが、それでよろしいのでしょうか。

【回答】
結論から言えばそのとおりです。 雇入れ時の健康診断は、労働安全衛生規則第43条にもとづき、 「常時使用する労働者を雇入れるとき」に実施するものとされていますが、 同条但し書きに「医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇入れる場合において、 その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目については、この限りでない」とあります。
しかし、この但し書きの規定を理由に(曲解して)、新規学校卒業者の採用選考時に、 いわゆる「血液検査」を含む健康診断を一律に実施し、こうした採用選考時の健康診断をもって 雇入時の健康診断に当てるケースが見受けられますが、これには問題がないとはいえません。
続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

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これから受講できるセミナー案内(無料)「2007年」

  • 9月6日(木)14:00~16:00 場所:常総地域産保センター
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」
    実力アップ
  • 9月12日(水)14:00~17:30 場所:ホテルレイクビュー水戸
    テーマ「母性健康管理研修会」
    日医認定
  • 9月13日(木)14:00~16:00 場所:茨城産業保健推進センター
    テーマ「初級カウンセリング講座最終回」
  • 9月18日(火)14:00~16:00 場所:茨城産業保健推進センター
    テーマ「難聴と騒音測定」
    日医認定
  • 9月20日(木)19:00~21:00 場所:ワークヒル土浦研修室2
    テーマ「企業における災害発生時の被災者トリアージについて~産業医として知っておくべきこと~」
  • 9月26日(水)14:00~16:00 場所:茨城産業保健推進センター
    テーマ「CPR(基本的心肺蘇生法)とAED講習会)
  • 10月4日(木)14:00~16:00 場所:ワークヒル土浦
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」
    実力アップ※9月6日と同内容です
  • 10月11日(木)14:00~16:00 場所:ワークヒル土浦
    テーマ「作業環境測定結果の読み方」
    日医認定
  • 10月11日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「中級カウンセリング講座第1日目」
  • 10月14日(日)14:00~16:00:日立シビックセンター
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定
  • 10月17日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「産業保健におけるプライバシー”個人情報保護法の施行に関連して”」
  • 10月21日(日)14:00~16:00:阿見町中央公民館
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定※10月14日と同内容です。
  • 10月24日(水)18:00~20:00:鹿嶋市商工会館
    テーマ「企業のメンタルヘルス」
    日医認定
  • 10月25日(木)14:00~16:00:INAX筑波工場
    テーマ「職場巡視のポイントと課題の把握の仕方」
    日医認定(実地研修)
  • 10月28日(日)14:00~16:00:真壁医師会
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定※10月14日と同内容です。

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。
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コラム水戸南町だより

▼9月9日は何の日か、ご存知ですか
9月9日は「救急の日」です。キューキューの語呂合せから、救急医療の大切さを理解してもらうために設けられました。 1982年(昭和57年)に厚生省(当時)が制定したもので、以来、全国各地において救急処置の講習会などが開かれています。 当センターでも、9月26日(水)AED講習会を開催します。

それともう一つ、9月9日は「菊の節句」でもあります。 9月にも節句があるの(?)とお思いかもしれませんが、9月9日は、陽の数の極である9が重なることから「重陽(ちょうよう)の節句」と呼ばれます。 古来、たいへんめでたい日とされ、邪気を払い長寿を願って、菊の花をかざったり酒を酌み交わして祝ったりしていました。 また前夜、菊の花に綿をおいて露を染みこませ、一夜明けた翌9日の朝に、その綿で肌をぬぐうなどの習慣がありました。 桃の節句同様、菊には薬効や邪気を祓う効果があるとされていて、日本には鑑賞用としてより先に薬用として中国から伝わったようです。 しかし、かつてさかんに行われていた重陽の節句ですが、いまではあまり知られてはいません。旧暦から新暦にこよみが移り、まだ菊が盛んに咲く時期ではなくなってしまったからかもしれません。
こうしたみやびな風習は、現代にも引き継ぎたいものですが、「救急」について気になるデータがあります。 総務省消防庁によれば、救急隊の出場件数は、平成17年中には約528万件と、10年間で約61%増加していますが、そのうちの52%は軽症で、入院の必要のない方でした。この結果、救急車が現場に到着するまでの時間は全国平均で約6.5分でしたが、10年間で約0.5分も遅延してしまい、このままでは、真に緊急を要する方への対応が遅れ、救命率に影響が出るおそれがあるとしています。 消防庁では「タクシー代わりに救急車を常用することは控えてください」と呼びかけています。

京都の上賀茂神社では、9月9日、重陽神事に続いて烏相撲(からすずもう)という子供達による相撲が行われるそうです。上賀茂神社御祭神の外祖父が八咫烏(やたがらす)となり神武天皇を先導した故事と、信仰行事の相撲が結びついたものと言われていますが、弓矢をもった刀祢(とね)が、烏がするように横跳びをしたのち「カーカーカー」と烏鳴きをまねるそうです。 烏が鳴かない日はあっても、救急車のサイレンが聞こえない日はない、今日このごろです。


次回の第5号は、平成19年9月上旬配信予定です。
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