いばらき産保ニュース 第7号

発行日:2007/10/15
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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【コラム:水戸南町だより】

新着情報

ワークライフバランスがとれた職場にいるほうが精神的に健康/東大社研

東京大学社会科学研究所は、先月20日、「働き方とライフスタイルに関する調査」の結果を発表しました。 それによると、ワークライフバランスがとれた職場にいる回答者のほうが、特に精神的に健康であることもわかりました。 最近1ヶ月間に、「かなり神経質になった」「どうにもならないくらい落ち込んだ」、「憂鬱な気分になった」と 回答した比率を比べると、ワークライフバランスがとれた職場にいる者のほうがいずれも比率が低く、 また、自身の健康状態を「不健康」と回答した比率についても、男性においては、やはりワークライフバランスがとれた職場に いる回答者のほうが低いという結果がでました。
詳しくは→http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/
※ワーク・ライフバランスとは
仕事と生活との調和がとれた状態のことをいいます。 いま、”企業において社員が仕事と私生活との両立がうまくいくように”支援する取り組みが行われています。 この背景には、少子化や高齢化などの時代状況のもとで、柔軟な働き方をすることや、家庭と仕事とを両立することが 重要であると認められるようになったことがあります。

健口・歯つらつ(けんこう・はつらつ)事業所出前健康教室/茨城県歯科医師会

歯と口の健康は、仕事の能率にも影響します。
茨城県歯科医師会では、勤労者の歯と口の健康を守るため、「健口・歯つらつ事業所出前健康教室」を無料で実施しています。 歯科医師、歯科衛生士が事業所に出張し、ミニ講話と歯と口の健康を保つための実演指導を行います。
ご希望の方(事業所)は、「8020・6424情報センター」(電話029-252-2561)まで、ご連絡ください。申込締切は本年11月末日。
詳しくは→http://www.ibasikai.or.jp/

石綿健康管理手帳の交付要件が拡大されました/10月1日施行

労働安全衛生規則の改正により、石綿業務に従事した離職者を対象とする健康管理手帳の交付要件が10月1日より変わりました。 これにより、肺に石綿に係る所見が認めらる方以外でも、一定期間の石綿作業従事歴があれば石綿健康管理手帳が交付されます。 健康管理手帳の交付を受けると、指定された医療機関で決まった時期に、健康診断を6月ごとに1回、無料で受けられます。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/techo/index.html
石綿健康管理手帳の交付、又は石綿障害による労災認定等についてのご相談は、茨城産業保健推進センターでも受付しております。

酸性ガスを吸い込み肺水腫に/酸洗業者を安全衛生法違反で書類送検

庄内労働基準監督署(山形県庄内市)は先月25日、労働安全衛生法違反の疑いで、金属を酸で洗浄したりする酸洗業者と同社の男性社長(51)を書類送検しました。
調べによると、同社などは今年6月8日、酒田市内の工場で、製造中の銅板製サイロの酸化を防ぐため硝酸を吹き付ける作業を行った際、特定化学物質等作業主任者を選任せずに、従業員に作業させた疑いです。
この作業をした男性従業員(48)が酸性ガスを吸い込んで体の不調を訴え、病院で肺水腫と診断されています。 (2007年9月25日山形新聞ニュースより)
【硝酸と肺水腫】
硝酸は無色又は淡黄色の液体で息詰まるような刺激臭があり、高濃度のものは空気中でも発煙します。また、水とよく混和する性質をもち、その際発熱します。
ミストやガスを吸入すると、咽喉や呼吸器の粘膜をおかし、歯の腐食や肺水腫を起こす危険があります。また、皮膚に触れた場合は薬傷を起こし、目に入ると失明の危険があります。
保護具としては、酸性ガス用防毒マスク、保護手袋(ゴム)、保護長ぐつ(ゴム)、保護前掛(ゴム)、保護眼鏡などがあります。
許容濃度は、日本産業衛生学会(2005)で硝酸として2ppm=5.2mg/m3、ACGIH(2005)TLV-TWAも同様です。
労働安全衛生法上は、特定化学物質第3類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第6号)に該当します。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について
/県内4箇所で研修会

10月14日から11月4日にかけて、長時間の労働に従事した労働者に対する「医師の面接指導」制度とその手法及び 改正労働安全衛生法についての研修会を、県内4箇所で開催しています。
労働者への過重な負荷に対応してその健康確保を図るため、平成18年4月より改正労働安全衛生法が施行され、 医師による面接指導制度が創設されました。
長時間の労働により、メンタル不全などの健康障害発症のリスクの高まった労働者についてその健康の状況を把握し、 これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた事後措置を講じるというものです。
「過重労働対策」と「医師の面接指導の手法」について当センターの小林所長が、「改正労働安全衛生法」について社会保険労務士の珍田相談員が講義します。 対象は、産業医等、産業看護職、衛生管理者、労務担当等で、時間はいずれも午後2時から4時まで。
日本医師会「産業医研修会」の認定講習です
(基礎後期2単位又は生涯更新1単位・専門1単位)

  • 日時:10月14日(日)
    場所:日立シビックセンター(日立市幸町1-21-1)定員:40名
  • 日時:10月21日(日)
    場所:阿見町中央公民館(阿見町若栗1886-1)定員:30名
  • 日時:10月28日(日)
    場所:真壁医師会(筑西市二木成827-1)定員:30名
  • 日時:11月4日(日)
    場所:鹿島ハイツスポーツプラザ(鹿嶋市田野辺659)定員:40名

いずれも定員まで若干の余裕があります。

新着図書・教材情報(無料貸出し)

元気な職場をつくるメンタルヘルス2「知っておきたい!過重労働対策」・・・DVD(23分)

【概要】
なぜ過重労働対策が必要なのか、医師による面接は何を目的にどのように行われるなどを、ドラマ形式で分かりやすく展開します。
〈主な内容〉

  • 過重労働による労災認定例
  • 過重安全衛生法の改正点
  • 過重労働対策とは
  • 面接を申請するまで
  • 面接の実施など

産業保健Q&A

エポキシ樹脂取扱い作業者に対する健康診断は必要か

【質問】
エポキシ樹脂を使用している職場があります。
当社では、以前から、エポキシ樹脂取扱い作業者に対する健康診断を行っておりますが、 法的にも健康診断は必要なのでしょうか?

【回答】
健康診断については、安全衛生法やじん肺法など法律で実施が定めているもののほか、 行政指導(昭和31年5月18日付け基発第308号「特殊健康診断指導指針について」ほか個別の通達)により 特殊健康診断を実施するよう勧奨されている業務が約30種類ほどありますが、「エポキシ樹脂」の取扱い業務は、 これらには含まれておりません。
しかし、その一方で、エポキシ樹脂取扱者に対する健康診断を実施しているケースが見られますが、 その理由は、以下によるものと思われます。 エポキシ樹脂は、分子構造の相違や分子量の大小によりビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化エポキシ樹脂、 グリシジルアミン型等様々なタイプがありますが、1957年頃よりエポキシ樹脂の経皮感作性が報告されており、 また呼吸器への障害も1950年ごろより知られていました。
続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2007年」

  • 10月17日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「産業保健におけるプライバシー”個人情報保護法の施行に関連して”」
    ※受付終了です
  • 10月17日(水)15:00~17:00:水戸市医師会
    テーマ「メタボリックシンドロームに対する対策と禁煙対策について」
  • 10月21日(日)14:00~16:00:阿見町中央公民館
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定※10月14日と同内容です。
  • 10月23日(火)13:00~17:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「独り職場の駆け出し産業看護職勉強会」
  • 10月24日(水)18:00~20:00:鹿嶋市商工会館
    テーマ「企業のメンタルヘルス」
    日医認定
  • 10月25日(木)14:00~16:00:INAX筑波工場
    テーマ「職場巡視のポイントと課題の把握の仕方」
    日医認定(実地研修)
  • 10月28日(日)14:00~16:00:真壁医師会
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定※10月14日と同内容です。
  • 11月1日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」
    実力アップ
  • 11月4日(日)14:00~16:00:鹿島ハイツ
    テーマ「過重労働対策・医師の面接指導チェックリストと改正労働安全衛生法について」
    日医認定※10月14日と同内容です。
  • 11月7日(水)14:00~16:00:ワークヒル土浦
    テーマ「喫煙室における室内汚染物質の実態」
    日医認定
  • 11月8日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「中級カウンセリング講座第2日目」※受付終了です
  • 11月14日(水)14:00~16:00:ワークヒル土浦
    テーマ「写真で見る職場巡視のポイント」日医認定(実地研修)
  • 11月20日(火)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「悪臭と臭気測定」日医認定
  • 11月22日(木)14:00~16:00:つくば国際会議場
    テーマ「過重労働を中心とする改正労働安全衛生法と事業者責任」
    日医認定
    ※受付終了です
  • 11月29日(木)14:00~16:00:つくば国際会議場
    テーマ「休職及び休職者の職場復帰等にかかる法律問題」
    日医認定
    ※受付終了です

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。

コラム水戸南町だより

なぜ労働者はサービス残業をするのか
/監督署の是正指導の結果支払われた「サービス残業」代の総額は227億1,485万円

年間の自殺者が8年連続で3万人を超える中、自殺対策を国や自治体などの責務とした「自殺対策基本法」が6月に成立し、茨城県においても「茨城県自殺対策連絡協議会」が設置されています。 今月9日に開催された第3回目の連絡協議会では、茨城産業保健推進センターもオブザーバーとして出席し、勤労者のメンタルヘルスケアにかかる当センターの取り組みを紹介いたしました。

自殺総合対策要綱は、自殺は個人の自由な医師や選択の結果ではなく、「追い込まれた末の死」であるとしていますが、勤労者の自殺については長時間労働を要因としているものが少なくありません。 広告会社に入社した者が、常軌を逸した長時間労働をさせられ、睡眠不足により心身共に疲労困ぱいし、うつ病状態になり自殺をしたことについて、長時間労働と自殺との間に相当因果関係が認められるものとして、使用者に安全配慮義務による債務不履行責任が認められた事例(電通事件)がありますが、実労働時間と「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス」との間には、はっきりとした相関関係が認められます(平成14年度労働者健康状況調査付表2)。

そんな中、5日、厚生労働省は、2006年度に全国の労働基準監督署が企業の賃金不払残業について是正指導した結果を発表しました。
監督署の指導の結果、従業員に支払われた割増賃金の総額は227億1,485万円にのぼり(但し、支払額が100万円以上の企業を集計)、是正対象の企業数は1,679社、従業員数は18万2,561人、1企業での最高支払額は12億3,100万円(金融・広告業)でした。
日本の長時間労働は、残業が恒常的にあることと、残業割増手当が支給されない、いわゆる「サービス残業」の存在によって特徴づけられるといって差し支えありません。 (次号につづく)


次回の第8号は、平成19年10月下旬配信予定です。
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