いばらき産保ニュース 第14号

発行日:2008/1/18
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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【コラム:水戸南町だより】

新着情報

一酸化炭素中毒で3人死亡/水道のトンネル工事

1月7日、北九州市八幡西区の工業用水道工事現場で、作業員3人が一酸化炭素中毒で死亡する事故が発生しました。 また、3人の様子を見に行った2人も気分が悪くなりましたが、自力で脱出しました。 現場は約13メートルの深さまで立て坑が掘られ、そこから直径1.1メートルの横トンネルが南西方向に約230メートル掘り進められていました。 調査の結果、現場のトンネル内で当時、ガソリン式発電機を使って作業をしていたことが判明、3人の死因は一酸化炭素中毒と見られています。
また、コンプレッサー(空気圧縮機)を送風機の代わりとして使っていたことも分かり、労働安全衛生規則で「自然換気が不十分なところで内燃機関を有する機械を使用してはならない」と定めていることから、県警や労働基準監督署でも捜査を進めています。
【解説:内燃機関と一酸化炭素】
通気不十分な場所でガソリンエンジンの内燃機関等を使用すると、酸素が不足して一酸化炭素が発生します。 一酸化炭素は、無色、無臭の気体であることから、気づかれないまま吸入することが多く中毒事故が多発しています。
一酸化炭素による中毒(平成18年)/厚生労働省↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei10/07.html
一酸化炭素は、酸素よりも約250倍も赤血球中のヘモグロビンと結合しやすいため、吸いこむと血液中の酸素運搬が阻害され、 体の各組織が酸素を効果的に使うことができなくなります。少量であれば無害ですが、 血液中の一酸化炭素濃度が高くなりすぎると中毒が起こります。 中毒の初期症状は、頭痛、吐き気、めまい、倦怠感などですが、呼吸数や脈拍数の増加が起こり、意識があっても身体が自由に動か なくなります。さらに進むと意識がなくなり呼吸が停止し、死に至る場合もあります。 一般に1時間の暴露では500ppmで症状が現れはじめ、1000ppmでは顕著な症状、1500ppmで死に至るとされています。 ガソリンエンジンは酸素を大量に消費します。そのような機械を狭い坑内に持ち込むことは、通常では考えられないことです。
【参考:一酸化炭素濃度の規制】
日本産業衛生学会が示した許容濃度50ppm、 労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則の制限50ppm以下(但し。空気調和設備または機械換気設備のある事務所では10 ppm以下) 建築基準法による室内空気汚染の許容値10ppm以下 米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のTLV(1日8時間、週40時間での許容値)25ppm
建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドラインの策定について/厚生労働省↓
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-39/hor1-39-11-1-0.htm

派遣労働者の定期健診、製造業の2割未実施/滋賀産業保健推進センター

滋賀産業保健推進センターで行った調査(06年~07年)の結果、派遣労働者が働いている派遣先事業場で、何らかの方法で派遣労働者の定期健康診断の結果を確認しているのは6割にとどまり、また定期健康診断を実施していない派遣元事業場も2割に上っていることが分かりました。 労働安全衛生法は、事業者に労働者の安全(健康)配慮義務を課していますが、派遣労働者については、直接指揮命令をする派遣先事業場と雇用関係がある派遣元事業場とがあるため、それぞれが責任を負うか分担しています。 一般健診については、派遣元に実施義務が課せられていますが、派遣先は派遣元に対して健康診断結果の提出を求める法的義務を負っていませんので、派遣元が派遣労働者の健診データを派遣先に伝えない可能性があります。 しかし最近、派遣先についても派遣労働者の健康配慮義務等を強く求めていると解釈されうる判例(東京地判平成17.3.31アテスト(ニコン熊谷製作所)事件)が出ていることから、派遣先として派遣労働者の健康状態を確認することは、健康配慮義務の履行には欠かせないことといえます。 従いまして、派遣元から派遣労働者の健診情報を直接入手することは困難としても、派遣労働者を使う事業場は、派遣労働者に直接健康状態を聴取するなど健康状態把握の努力が必要かと思われます。
なお、健康状態の聴取は本人同意が必要であり、これに抵抗感を示す労働者も多いと思われることから、その目的をはっきり明示・特定し理解を得るよう工夫することが重要です。 滋賀センターの調査結果は、平成19年度労働者健康福祉機構「産業保健調査研究発表会」でも見られます。
詳しくは↓
http://www.johas.go.jp/yobo/sanpo_chosa/tabid/353/Default.aspx
派遣労働者数、約321万人に増加/厚労省集計↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/12/h1228-2.html

届けずに石綿除去/会社を労働安全衛生法違反で略式起訴

滋賀県守山市の建築会社が作業計画を届けずに吹き付けアスベスト(石綿)を除去したとして、大津区検は労働安全衛生法違反の罪で、会社と同社社長を略式起訴し、大津簡裁は同社に罰金20万円、社長に罰金10万円の略式命令を出しました。 同社は昨年6月14日から、守山市内の店舗兼住宅のアスベストの除去作業を行いましたが、計画を大津労働基準監督署長に届け出ませんでした。
【解説:石綿障害予防規則と作業届】 石綿等が使用されている建築物の解体等の作業を行う事業者は、石綿等による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る建築物又は工作物の概要を示す図面を添えて、石綿ばく露防止のための措置の概要等を記載した届を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。 ちなみに、耐火建築物又は準耐火建築物における吹付け石綿の除去作業については、工事開始の14日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。 また次の作業については、工事開始前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
①石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材の解体等の作業
②封じ込め又は囲い込みの作業
③上記①以外の吹付け石綿の除去作業
これらの規定に違反したときは、50万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。
石綿(アスベスト)対策のしおり/茨城労働局↓
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/hourei_seido/kijun24.html

【関連セミナー案内】
テーマ:防じんマスクの適正な選び方・有効な使い方
日時:20年2月21日(木)午後2時~4時茨城産業保健推進センター研修室にて
概要:石綿粉じんの人体への吸入を防ぐためにも正しいマスクの装着が必要で、特に顔面と面体との密着性が重要。 研修会では、防じんマスクの選択に当たっての留意点、特に、マスクを着用するとき顔面と面体との密着性を確認する方法等について実習する。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

ヘルシーライフへの安全運転/栃木センターと合同でセミナー開催

茨城・栃木産業保健推進センターは、年に1回、合同でセミナーを開催しています。
今年は茨城県に栃木センターの講師をお招きする番で、本田技研工業㈱栃木製作所健康管理センター長で栃木センターの産業保健相談員をしている小林淳(じゅん)先生が、「ヘルシーライフへの安全運転~メタボリックシンドローム・生活習慣病の予防について~」と題して講演します。 ホンダの産業医らしく健康管理を日々の「カーライフ」にたとえ、ヘルシーライフも日々の地道な積み重ねがあってこそ成果があがるものと強調されます。 今回は、「食べる」「運動する」ことに焦点を当て、健康な生活に近づくために私たちが日常的に工夫できるヒントをお話になる予定です。 日程・会場等は下記のとおり。
期日:平成20年2月13日(水)午後2時~4時
会場:しもだて地域交流センター・アルテリオ(筑西市丙372番地) 対象(定員):産業医、産業看護職、安全衛生・労務担当等(70名)
受講料は無料です。ホームページから受講のお申込ができます。

第3回独り職場の駆け出し産業看護職勉強会/20年2月26日(火)

学生時代に産業保健を学んだ事がない・・・
臨床の経験しかなくて何をしたら良いのか解らない・・・
独り職場で相談する先輩がいない・・・
という産業看護職の皆さんが集まり、産業保健業務と看護職の役割を共に学び、仲間をつくる事を目的とした勉強会です。
今回は、「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」について学習します。

  1. 開催日時 平成20年2月26日(火) 13時00分~16時00分
  2. 開催場所 茨城産業保健推進センター研修室
  3. 内容
    1. 13:00~14:00 特定検針・特定保健指導について
    2. 14:10~15:00 グループワーク
    3. 15:10~16:00 グループワーク発表
  4. 対象 企業の健康管理室等に勤務する保健師、看護師の皆さん

参加を希望する方は、以下の質問に対する回答を添付して、氏名、所属企業名、連絡先等を明記して、 Eメール又はFAXで茨城産業保健推進センターまで申込んでください。

  • 勉強会進行の参考とさせて頂きますので、以下のご質問にお答えください。
    質問1.厚労省の「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」を理解していますか?
    質問2.情報交換の時間にあなたが話したい事・聞きたい事はどんな事ですか?

      • はい ・ いいえ
      • (なるべく具体的に記載して頂けると助かります。)

新着図書・教材情報(無料貸出し)

図書、ビデオ、DVDのリクエスト募集

茨城産業保健推進センターでは、図書、ビデオ、DVD(以下「図書等」という)のリクエストを募集することにしました。
リクエストメールには、図書等のタイトル、著者名、出版社、図書・ビデオ・DVDの種別などの情報をわかる範囲でご記入いただき、「お名前」と「連絡先(E-mail、電話番号、FAX番号等)」を明記してください。
予算上の制約から、必ずしもご要望に添えない場合や入手するまで時間がかかる場合もあります。
また、産業保健に関する図書以外は原則として購入いたしませんので、ご了承ください。 図書等を入手したら、リクエストした方にはEメール等で連絡をさしあげます。 その後、1週間を過ぎても貸し出しの申出がない場合は、ライブラリーに掲載して一般の方に貸し出しを案内いたします。
<記載例>
氏名:山川 海雄
Eメール:umio@yamakawa-sangyo.ne.jp
電話:029-345-6789
種類:図書
書名:安衛法便覧 平成19年度版
出版社:労働調査会

産業保健Q&A

人間ドックのデータを定期健康診断に代えることができるか

【質問】
従業員から「人間ドックを受けるので、定期健康診断ではやらなくていいですか?」との問い合わせがありました。
この様な場合は、本人の希望どおり定期健康診断は実施しなくてもよいのでしょうか。 またこの場合は、人間ドックを実施した病院から、その結果をもらう必要があるのでしょうか。
【回答】
労働者を使用する事業主には、安全衛生法に定められた健康診断を実施することが義務付けられていますので、原則としては、従業員が事業主が実施する健康診断以外によそで健康診断や人間ドックなど(以下「他で健康診断等」といいます)を受けても、それでもって事業主の責務が免除されるものではありません。
しかし、健康保持増進のための健康測定、健保組合が行う成人病検診、人間ドック又は通院時の検査などが、事業主による健康診断に近接した時期に行われていた場合は、改めて健康診断を行うことは労働者の負担(経済的にも、生体に対しても)を増大することにもなりかねません。 このため、近接した時期に行われた他の健康診断等に、法で定める健康診断に相当する内容が含まれているときは、・・・

産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2008年」

  • 1月31日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況と労災認定基準(判断指針)について」
    日医認定(基礎・後期2単位、生涯・専門2単位)
    ※受付は終了しましたが、キャンセル待ちを希望の方はお電話ください。
  • 2月7日(木)14:00~16:00:日立シビックセンター(日立市幸町1-21-1)
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」実力アップ(Ⅳ-3(4)1単位)
  • 2月13日(水)14:00~16:00:しもだて地域交流センター(筑西市丙372)
    テーマ「ヘルシーライフへの安全運転~メタボリックシンドローム・生活習慣病の予防について~」
    日医認定申請中
  • 2月21日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「防じんマスクの適正な選び方・有効な使い方」
    日医認定申請中
  • 2月23日(土)15:00~17:00:茨城県民文化センター分館(水戸市千波町東久保697)
    テーマ「特定健診・保健指導と運動プログラムの指導方法について」
    実力アップ(Ⅴ-5‐(3)1単位)
  • 2月26日(火)13:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「第3回 独り職場の駆け出し産業看護職勉強会」
  • 3月4日(火)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「ストレスケアとしてのリラクゼーションの技法を学ぶ~自律訓練法など~」
    実力アップ(Ⅲ-7‐(1)1単位)
  • 3月12日(水)10:00~12:00:つくば国際会議場(つくば市竹園2-20-3) テーマ「『ラインケア支援の方策マニュアル』を用いた管理職教育とその効果について(平成18年度調査研究結果報告)」
    日医認定申請中
  • 3月15日(土)10:00~11:30:茨城県立医療大学実習棟(阿見町阿見4669-2)
    テーマ「アジア諸国における産業看護職の活躍」
    実力アップ(Ⅰ-1-(3)1単位)
    ※セミナー修了後、産業看護職の交流会(11:30~13:00)を予定しております。
  • 4月17日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「メンタルヘルス疾患による休職者の職場復帰について」
    日医認定予定
  • 4月19日(土)13:00~17:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「職業性ストレス簡易調査票の使い方を学ぶ」
    実力アップ申請予定
  • 4月25日(金)18:30~20:30:鹿嶋勤労文化会館
    テーマ「企業保健室の漢方について」
    日医認定予定

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。

コラム水戸南町だより

プロレタリア文学がリアルに/「マンガ蟹工船」が評判

元学生運動家で作家の高橋源一郎さんと、今やフリーターら若年貧困層の代弁者となった 雨宮処凛(あまみやかりん=右翼活動家、作家)さんの対談記事を読みました。
その中で、雨宮さんが「たまたま昨日、『蟹工船(かにこうせん)』を読んで、今のフリーターと状況が似ていると思いました」 「プロレタリア文学が今や等身大の文学になっている」と語っていました。

「蟹工船」は作家小林多喜二の代表作です。高校の文学史にば必ずといっていいほど登場しますので、 おそらく名前を聞いたことはあるでしょう。
しかし、「プロレタリア文学」という言葉自体 “死語”となりつつあるいま、 20代の雨宮さんが「蟹工船」を読んで、「今のフリーターと状況が似ている」といったことに、ある種の驚きを感じました。 話しは大正末期から昭和初期の頃です。蟹工船とは、船内に缶詰製造工場を備えたカニ漁業の大型母船で、多くの船を引き連れて 北洋に出ました。それに海軍の駆逐艦が付いて行きますが、目的はソ連(当時)の監視船に対する対抗です。 船は、カムチャッカ半島西岸のソ連領海すれすれで操業します。不漁が続くと、 監視の目をかすめて蟹を追いかけることもあるからです。 蟹工船での労働は過酷を極めました。大正15(1926)年、蟹工船の博愛丸と英航丸での漁夫や雑夫の虐待事件が表面化し、 「工船博愛丸事件」の新聞報道によって実態が明らかになると、多喜二はこの事件を数ヶ月かけて綿密に取材し、 『蟹工船』を書き上げたといわれています。 「おい、地獄さ行(え)ぐんだで!」 小説は、この言葉で始まります。 乗り組み員の数は全体で4,000人をこえていたとされていますが、労働者といっても正式な「社員」などではなく 、多くが秋田、青森、岩手の北東北からの出稼ぎ農民でした。 一旦出航してしまうと船内は治外法権域で、ピストルを下げた監督が勝手気ままに制裁を行い、 労働者は過労や病気で倒れてゆきます。 監督の苛烈な仕打ちで一人の労働者が死んでしまいます。 それをきっかけに、自然発生的に監督らに対抗する組織が出来上がっていき、労働者はストライキに踏み切ります。 しかしストライキは同行していた海軍の手によって鎮圧され、首謀者9人は捕らえられてしまいます。 「俺達には、俺達しか、味方が無(ね)えんだな。始めて分った」 「俺達全部は、全部が一緒になったという風にやらなければならなかったのだ。そしたら監督だって、駆逐艦に無電は打てなかったろう。まさか、俺達全部を引き渡してしまうなんて事、出来ないからな。仕事が、出来なくなるもの」 目覚めた労働者たちは再び団結し、もう一度闘争に立ち上がったところで小説は終わっています。

昨年暮、厚生労働省から派遣労働者が対前年比で26%増加し、321万人になったと発表されました。 一方、派遣会社のグッドウィルが、労働者から「データ装備費」の名目で日給から200円を、任意と言いながら強制的に徴収していたことや、危険を伴うため禁止されていた港湾業務に労働者を派遣していたこと、二重派遣していたことなどが明るみにでました。 どうも対象となった派遣労働者の多くは、登録型の「日雇い派遣」のようでした。 「日雇い派遣」は、いきなりの携帯電話による雇用です。会社は、仕事を紹介してやったという紹介手数料的な考え方で、「データ装備費」も天引きしていたのではないかと考えられます。 「紹介」と労働者派遣とは“似て非なるもの”であり、それ自体が原則違法行為です。 「日雇い派遣」は、日当以外になんの補償もしなくていいという企業にとっては願ってもない便利な「使い捨て商品」なのでしょうが、その上派遣会社は、ただでさえ低い賃金の上前をピンハネしていく。まさに、「蟹工船」の世界のようにです。 「蟹工船」は、戦後しばらくはプロレタリア文学の代表作として多くの人に読まれてきましたが、高度成長が始まり、自分を「中流」と見る日本人が総人口の大半を占める「一億総中流」時代になると、他の作品同様忘れられてしまいました。 ところが、それがこのほどマンガに再現されてお目見えしたそうです。「マンガ蟹工船」(東銀座出版社)は、資本主義社会の矛盾としての「格差社会」を鋭く批判した内容が分かりやすく描かれ、高校生や大学生らの間で評判になっているというのです。 文学は時代を映す鏡といわれます。「格差社会」「日雇い」「ホームレス」などの言葉があふれる中、フリーターや派遣などの非正規雇用が現実となった現代の若者に、蟹工船の労働者たちの命がけの闘争はどのように写っているのでしょうか。

「蟹工船」をタダで読みたい方は、インターネットの電子図書館「青空文庫」↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/000156/card1465.html


次回の第15号は、平成20年2月上旬配信予定です。
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