いばらき産保ニュース 第28号

発行日:2008/9/1
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

平成20年度全国労働衛生週間実施要綱決定

10月1日から10月7日までを本週間、9月1日から9月30日までを 準備期間とする全国労働衛生週間が今年も実施されます。
全国労働衛生週間は、国民の労働衛生に関する意識を高揚し、さらに、 事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康の確保と 快適な職場環境の形成を図ることを目的として、昭和25年から実施されており、 本年で第59回を迎えます。
今回のスローガンは あなたが主役明るい職場と健康づくり
厚生労働省発表文、平成20年度全国労働衛生週間実施要綱について↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0708-1.html#h20

伝えてください、あなたの思い/9月10日から自殺予防週間

9月10日の世界自殺予防デーに因んで、毎年9月10日からの一週間、 自殺予防週間が展開されます。
自殺対策を推進するためには、自殺について、誤解や偏見をなくし、 正しい知識を普及啓発することが重要です。
自殺予防週間は、当該期間中における集中的な啓発事業等の実施を 通じて、国民に自殺や精神疾患についての正しい知識を普及啓発し、 これらに対する偏見をなくしていくとともに、命の大切さや自殺の 危険を示すサイン、また危険に気づいたときの対応方法等について 国民の理解の促進を図ることを目的とするものです。

「石綿肺」も救済対象に/環境省が法改正を検討

環境省は、アスベスト(石綿)による被害救済を目的とした 石綿健康被害救済法(石綿新法)で、現在は指定疾病となっていない 「石綿肺」についても新たに救済対象にする方向で検討に入りました。
具体的には、2010年度までに予定されている同法改正に盛り込む ことを視野に、全国の労災病院から症例を集めて分析するなどして 救済方法の検討に入ります。 アスベスト被害について、労災保険が仕事を通じてアスベストを 吸ったことが確認された労働者について肺がんと中皮腫、石綿肺などを 救済対象としていますが、労災保険が適用されない一般住民などを対象 にした石綿新法では「肺がん」と「中皮腫」の患者に限定しています。

【石綿(アスベスト)肺とは】
石綿肺は、石綿を大量に吸入することにより、肺が線維化する「じん肺」 の一つです。
肺の線維化が進行していき、酸素-炭酸ガスの交換を行う機能が 損なわれるため、呼吸困難が生じます。肺の線維化を起こすものとしては 石綿以外の鉱物性粉じんをはじめ多くの原因があげられますが、石綿のばく露 によっておきた肺線維症を特に石綿肺とよんで区別しています。
通常、石綿を職業性に大量に吸入ばく露した労働者に起こり、石綿ばく露 開始から10年以上経過して石綿肺の所見が現れます。つまり、石綿肺は 高濃度の石綿ばく露の医学的所見の一つともいえます。
一般環境ばく露による 石綿肺の発症例はこれまでに報告されていません。
初期症状として労作時の息切れ、咳、痰が多くみられます。石綿ばく露を中止した後も症状が徐々に進展して肺機能の著しい低下をきたしますが、 肺がん、中皮腫と異なり、短期間で死に至ることはありません。
また、 肺がん、中皮腫、気胸、胸水、気管支炎などを合併することもあるため、 注意が必要です。石綿ばく露作業に従事したことがあり、石綿肺の所見が 見られる者では、肺がん発症の危険が2倍以上に高まると考えられています。 (独立行政法人環境再生保全機構ホームページより)

熱中症、今夏、過去最高に迫る勢い/寒・暖に体がついていけず

今夏、熱中症が増えています。
通常、熱中症は「暑さ指数」が高いと 増えますが、今年は平年並み。しかし、国立環境研究所の調査では、 今年の熱中症患者数は過去最高の昨年に迫る勢いです。
専門家が指摘する要因は「気温差」。気温の乱高下が激しく、体がついて いけなくなったようです。
専門家は「9月も急に暑くなる日の外出は注意して」と呼びかけています。

派遣労働者の労働災害による死傷者、前年比60%増/厚労省まとめ

昨年に労災で被災した派遣労働者(休業4日以上の死傷者数)は5,885人 (うち死者36人)に上り、製造業への派遣が解禁された04年に比べ 約9倍に増加したことが20日、厚生労働省のまとめで分かりました。
まとめによると被災者数は04年の667人から年々増加。労働者全体の 被災者数は04年が13万2,248人、07年も13万1478人で、派遣労働の 労災だけが急増しています。
派遣労働者数も、04年の227万人から07年には321万人に増えて いますが、労災件数の伸びはそれを大きく上回っています。 日雇い派遣などの派遣労働者が十分な安全教育を受けないまま危険な業務に従事させられている可能性があり、労働者派遣法改正の 議論にも影響を与えそうです。
「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」について(厚生労働省)↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0728-1.html

「勤労者心の電話相談」に23,829件/労働者健康福祉機構

独立行政法人労働者健康福祉機構では、労働環境の急激な変化に伴い、 職場におけるストレスが増加していることや自殺者数が急激に増加して いること等の状況を踏まえ、勤労者やその家族が抱える心の問題について 助言等を行うため、平成12年から専門のカウンセラーによる 「勤労者心の電話相談」を実施しています。
この度、平成19年4月から平成20年3月までの1年間に、全国20の 労災病院に併設している「勤労者心の電話相談」の相談件数や相談内容を 取りまとめました。
取りまとめ結果、勤労者及びその家族等からの相談件数は、23,829件となり、 相談内容は、職場の問題では、「上司との人間関係」に関する相談が2,092件と 最も多く、次いで「同僚との人間関係」に関する相談が1,686件と、 職場における人間関係についての相談が多くなっています。
精神の問題では、「将来に対する不安感」が7,226件と最も多く、 次いで「落ち着けない」が5,540件、「イライラ・不安定」が4,012件と なっています。 また、「自殺念慮」は1,252件でした。
労働者健康福祉機構の発表文について↓
http://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kanrenshisetu/pdf/h20kokoro_sodan_press.pdf

【関連セミナー案内】

  • テーマ:行動分析学の視点に基づく職場の人間関係改善法
    日時:10月2日(木)14時から16時茨城産業保健推進センター
    概要:ストレス予防策として、人間関係の改善が叫ばれます。
    本研修会では、行動分析学の視点から、職場の人間関係の 改善法としてどのようなものが考えられるのか検討します。
  • テーマ:労働者のメンタルヘルス不全への対応について
    日時:11月14日(金)18時30分から20時30分茨城産業保健推進センター
    概要:メンタルヘルス不全の徴候をできる限り早期に発見し、対処するには、 労働者の訴えを評価せずに聴く姿勢が産業保健スタッフに求められています。 本研修会では、労働者のメンタルヘルス不全への対応について、実技を 交えながら理解を深めていきます。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

自殺予防無料ダイヤル相談/日本産業カウンセラー協会

日本産業カウンセラー協会では、メンタルヘルス不調者および自殺遺族を 対象とした電話相談を実施することとなりました。 実施期日は、自殺予防週間の9月10日から3日間で、午前10時から 午後10時まで。 自殺予防ダイヤル相談働く人の電話相談室の電話番号は、下記のとおりです。
0120-583-358
(9月10日~9月12日までの期間内のみの臨時電話回線です)

職場のメンタルヘルス対策をサポート/勤労者メンタルヘルス・ チェックシステム/研究協力事業所を募集中

横浜労災病院勤労者メンタルヘルス研究センター(センター長 山本晴義) では、モニターとして、勤労者メンタルヘルス・チェックシステムを 実際にお使いいただき、アンケート調査および利用データの提供にご協力 いただける事業所を募集しています。
勤労者メンタルヘルス・チェックシステム(MENTAL-ROSAI)は、 メンタルヘルス指針に沿って、企業が進めるメンタルヘルス対策を 幅広く支援するためのWebシステムです。
個人情報保護の下で、「個人向けアプローチ」では、従業員を対象に インターネットによるメンタルヘルスチェックを実施し、その結果を 個別にフィードバックします。
さらに、結果によりメンタルヘルス不調と思われる回答者には、 産業医等への相談推奨・医療機関の情報提供等を行います。
「事業所向けアプローチ」では、調査結果を集計・分析し従業員の メンタルヘルス状況、職場環境の問題点等を専門スタッフがまとめ、 事業場内産業保健スタッフに報告します。
<お問い合わせ・お申込みはこちらまで>
メール:mental-tel@yokohamah.johas.go.jp
メンタルヘルス・チェックシステムの概要は、↓こちらでも確認できます。
http://www.research12.jp/h13/pdf/10-1.pdf

シンポジウム「メンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰対策について」

心の健康問題により休業している労働者が増加し、その職場復帰が いま問題となっています。また、復職後に調子を崩して休職を繰り返す ケースも少なくなく、スムースな職場復帰へのサポートが欠かせません。
茨城産業保健推進センターでは、9月20日(土)午後3時から、 メンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰対策についてシンポジウムを 開催いたします。
シンポジウムでは、主治医、産業医はもとより、研究者や労働関係法の 専門家の方々から事例なども含め様々なご意見を賜り、参加者の皆様とともに メンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰対策について考えていきます。

  • 日時平成20年9月20日(土)15時~18時
  • 会場茨城県医師会4階会議室
  • 主な対象者産業医、精神科・心療内科医、産業看護職、人事労務担当者等
  • パネリスト/コーディネーター(司会) 産業保健相談員 山村邦男先生
    パネリスト

    • (研究者)筑波大学大学院社会医学系講師 笹原信一朗先生
    • (主治医)温心会ヒヨドリ医院院長 志井田孝先生
    • (産業医)水戸健康管理センタ産業医 中谷敦先生
    • (労働法学者)流通経済大学法学部教授 大場敏彦先生

新着図書・教材情報(無料貸出し)

脳・心臓・精神障害業務上起因性と安全配慮義務(新日本法規出版全513頁)

近年増加する脳・心臓・精神疾患の労災認定、使用者の安全配慮義務が 争われた裁判例を病態別に分類・整理しているのが特徴。
事故に至るまでの労働者の勤務状況を詳細に分析した上で、裁判所の判断を 労働基準監督署や下級審の判断と対比した表形式で掲示しています。

  • 第1章 労基法上の災害補償義務と損害賠償
  • 第2章 病態別労災認定と安全配慮義務
  • 第3章 安全配慮義務を踏まえた雇用管理

産業保健Q&A

今回はお休みです。

産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2008年」

  • 9月3日(水)14:00~17:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「心肺蘇生法とAED(自動体外式除細動器)を用いた救急蘇生法」
  • 9月4日(木)14:00~16:00:ワークヒル土浦(土浦市木田余東台4-1-1)
    テーマ「局所排気装置・プッシュプル型換気装置のしくみ ~有害物の使用量と換気能力」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 9月20日(土)15:00~18:00:茨城県医師会(水戸市笠原町489)
    シンポジウム「メンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰対策について」
    日医(基礎・後期3、生涯・専門3)
  • 10月1日(水)14:00~17:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「作業環境測定機器の取り扱いと簡易な作業環境測定方法について ~粉じん計、酸素濃度計、騒音計、照度計、風速計、ガス検知管、 熱中症指標計など~」
  • 10月2日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「行動分析学の視点に基づく職場の人間関係改善法」
    実力アップ申請予定
  • 10月7日(火)18:30~20:30:日立メディカルセンター
    テーマ「長時間労働対策に関する面接指導の手法とその実践」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)予定
  • 10月15日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会その1(基礎知識・作業環境管理・法令)」
  • 10月16日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「スライドでみる職場視のポイントについて」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)予定
  • 10月23日(木)15:00~17:00:茨城障害者職業センター(笠間市鯉淵6528-66)
    テーマ「精神疾患で休職中の社員の職場復帰支援について ~リワーク支援事業を学ぶ~」
    日医(基礎後期1・実地1、生涯専門1・実地1)予定
  • 10月28日(火)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「第1回目独り職場の駆け出し産業看護職勉強会」
  • 11月6日(木)13:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「産業保健のためのデータ収集と分析について」
    実力アップ予定
  • 11月12日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会その2(健康管理・メンタルヘルス)」

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。

コラム水戸南町だより

今回はお休みです。

 

次回の第29号は、平成20年9月下旬配信予定です。
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