いばらき産保ニュース 第30号

発行日:2008/9/29
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


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新着情報

特定化学物質の追加、石綿健康管理手帳交付対象者の見直し
/ 労働安全衛生法施行令等改正を答申

労働政策審議会は9月22日、厚生労働大臣に対し「労働安全衛生法 施行令等の一部を改正する政令案要綱」及び「労働安全衛生規則等の 一部を改正する省令案要綱」について答申を行いました。
答申は、特定化学物質の追加と特殊健康診断及び健康管理手帳の交付 対象者の見直し等からなり、具体的には

  1. ニツケル化合物(ニツケルカルボニルを除き、粉状の物に限る)並びに 砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く)を「管理第2類物質」 とし、かつ、特定化学物質障害予防規則第38条の3の「特別管理物質」とすること
  2. ホルムアルデヒドの燻蒸について、燻蒸作業を行うときの措置の規制対象に 追加すること
  3. 石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務 (間接的な石綿ばく露)についても、健康管理手帳の交付の対象要件を定めること などです。

厚生労働省では、この答申を受け、今後、労働安全衛生法施行令等及び 労働安全衛生規則等の改正を行い、平成20年12月から順次施行する予定です。
政令案要綱等について 詳しくは↓ http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/s0922-4.html
間接的に石綿にばく露する作業に従事する労働者に対しても、健康管理手帳を 交付する必要性については「職業性間接ばく露者に係る健康管理についての 検討委員会」において指摘されていました。
同報告書について 詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/06/dl/s0603-6j.pdf#search
特定化学物質の追加について詳しくは↓
平成19年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/h0317-2.html

223施設で石綿粉じん飛散の危険性/厚労省実態調査

厚生労働省は今月11日、同省が所管する公共施設(病院、社会福祉施設等、 公共職業能力開発施設等)の吹付けアスベスト等の使用実態調査の結果を公表 しました。
それによると、「吹付けアスベスト等を使った場所が施設内にある」と 回答したのは、1,335の病院、4,558の社会福祉施設等、278の公共職業能力開発施設等。 このうちの223施設で石綿等の粉じんが飛散する危険性があるとしています。 今回の調査結果を踏まえ、アスベストが発見され、ばく露のおそれが判明 した施設については、直ちにアスベストの除去を行うなど、法令に基づき適切な 措置を講じるよう、改めて都道府県等に対して指導を要請しています。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0911-1.html
【解説:建築物の石綿粉じん対策】
事業者は、その労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿が損傷、 劣化等によりその粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露する おそれがあるときは、当該吹付け石綿の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を 講じなければなりません。 「除去」とは、吹付け石綿等をすべて除去して、他の非石綿建材に代替する ことで、最も効果的な粉じん発散防止対策です。 石綿等を保存しつつ、発散を防止する対策に、「封じ込め」と「囲い込み」 があります。「封じ込め」は、吹付け石綿の表面に固化剤を吹き付けること により塗膜を形成したりして、石綿粉じんの発散を防止する方法です。 「囲い込み」とは、石綿が吹き付けられている天井、壁等を非石綿建材で 覆うことにより、室内へ粉じんを発散させないようにする方法です。
石綿(アスベスト)対策のしおり(茨城労働局)↓
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/hourei_seido/kijun24.html

パンフレット「建築物からの石綿粉じん対策(建築物所有者・管理者向け)」 /石綿障害予防規則について(厚生労働省)↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0224-1.html

【関連セミナー】

  • テーマ:作業環境測定機器の取り扱いと簡易な作業環境測定方法について
    ~粉じん計、酸素濃度計、騒音計、照度計、風速計、ガス検知管、熱中症指標計など~
    日時:10月1日(水)14:00~17:00
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    酸素濃度計、微風速計、スモークテスター、温湿度計等の使い方を 説明し、実際に触って測定してみます。
日雇い派遣、例外業務を提示/厚生労働省労政審分科会部会

労働政策審議会職業安定分科会の労働力需給制度部会が12日開かれ、 労働者派遣法の改正に向けた原案が事務局から示されました。
日雇い派遣については、30日以内の労働者派遣を原則禁止。その際、 日雇い派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務等について、 政令によりポジティブリスト化して認めるとしています。 また、登録型派遣について、派遣労働者の希望を踏まえ、期間を定めないで 雇用するか通常の労働者として雇用するなどについて、努力義務を派遣元 事業主に課すことが適当であるとしています。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0912-3a.pdf

セクハラ訴訟逆転判決/菓子メーカー店長発言に賠償命令

東京の洋菓子店の契約社員だった女性が、配属先の男性店長にセクハラ 発言を繰り返され精神的苦痛を受けたとして、同社に約650万円の損害賠償を 求めた訴訟の控訴審判決が、今月10日東京高裁であり、女性の請求を退けた 1審東京地裁判決を変更し、同社に約170万円の支払いを命じました。
問題となったのは、店長の発言。「キスされたでしょ?」などの店長発言 について、判決は「性的に辱めるだけの言動で、名誉を公然と害した。 女性は店長の下で働くことに恐怖を抱き、就労意欲を失った」と指摘しました。
また店長が仕事の時間内にこれらの発言をしていたため、会社も店長を 十分に監督していなかったと指摘、同社の賠償責任を認めています。 女性は店長の下で働くことに恐怖を抱き、就労意欲を失ったとして、 06年7月から休職し、今年3月に退職しています。 (毎日新聞等より)
【関連セミナー案内】

  • テーマ:労働者のメンタルヘルス不全への対応について
    日時:11月14日(金)18時30分から20時30分 茨城産業保健推進センター
    概要:メンタルヘルス不全の徴候をできる限り早期に発見し、対処するには、 労働者の訴えを評価せずに聴く姿勢が産業保健スタッフに求められています。
    本研修会では、労働者のメンタルヘルス不全への対応について、実技を 交えながら理解を深めていきます。
20~30代ビジネスマン8割が「朝食」食べる
/人間ドックで「健康な人」初の上昇

アサヒ飲料が20~30代のビジネスマンを対象に朝の生活実態を調査 したところ、朝食を食べる人が8割近くに上り、生活も朝型になったと 感じている人が多いことがわかりました。
同社は「健康志向が高まり、朝型のライフスタイルがメタボリック・ シンドロームなどに効果的であることも影響しているのではないか」と 分析しています。
調査は、インターネットを通じ東京、大阪、名古屋など7大都市の男性 1200人に聞いたもの。朝食は「必ずとる」が56.9%で、「とることが多い」 19.8%を合わせると76.7%に達しました。 また、ここ2~3年の生活リズムの変化を聞いたところ「朝型になった」と 感じている人が42.9%で、「夜型になった」の20.3%を大きく上回っています。
これとは別に、昨年、全国で人間ドックを受診した人のうち、「異常なし」 (A判定)と「軽度異常だが現在心配がない」(B判定)を合わせた 「健康な人」の割合が、24年に及ぶ調査で初めて前年(06年)を上回ったことが、 日本人間ドック学会の発表でわかりました。 上昇幅はわずかですが、学会は「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群) が茶の間で話題になり、市民の健康意識が向上したのではないか」と推測しています。
学会は1985年から毎年、その前年の受診者の検査結果を調べています。今年は全国799施設を対象に実施し、718施設が回答しました。
それによると、受診者は前年より1万人多い約296万人。このうち、 健康な人は11.8%の約35万人で、前年比0.4ポイント(約1万6000人)増と 初めて増加に転じました。 健康な人の割合は、調査を始めた84年の29.8%が最も高く、減少し続けてきました。 (いずれも毎日新聞より)

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

茨城産業保健懇談会の発足
/第1回研修会「第11次労働災害防止計画について」

産業保健業務に従事する者は、労働の実態に精通し、常に専門能力の向上に努め、 最新の科学的知見に基づいて事業者・労働者が進める産業保健活動を、専門的 立場から支援することが求められます。
このたび、茨城県内において産業保健業務に従事する者の研鑽・交流・ 連携の場として「茨城産業保健懇談会」が発足しました。
茨城産業保健懇談会は、働く人の健康を支援する視点から、研修会や 会員間の情報交換を、計画的かつ継続的に実施することにしています。 産業医、産業看護職、衛生管理者、安全・衛生コンサルタント、 作業環境測定士、産業カウンセラー及び研究者、行政関係者など幅広い 関係者が交流する場として、また健康管理、メンタルヘルス、過重労働、 口腔保健、作業環境等と多岐にわたるテーマを取り上げる予定です。
会費は無料。奮ってご参加いただきますよう、お願い申し上げます。

  • 第1回研修会平成20年11月13日(木)午後6時~午後8時
    会場茨城県医師会(水戸市笠原町489番地)
    次第

    1. 講演テーマ第11次労働災害防止計画について
      講師茨城労働局労働基準部長木下正人氏
    2. 質疑と意見交換

【入会・研修会参加申込方法】
ご芳名、勤務先又は連絡先名称、同所在地、連絡先(電話番号、FAX番号、 Eメールアドレス等)、職種等を明記の上、「茨城産業保健懇談会入会・研修会参加」 と記載して、当センターあてFAXまたは、こちらからEメール
なお、茨城産業保健懇談会入会か、研修会参加のいずれかを希望する方は その旨記載願います。 茨城産業保健懇談会に「入会」をご希望された方には、研修会等開催の都度、 直接ご案内させていただきます。

平成20年度産業保健調査研究発表会開催のお知らせ/労働者健康福祉機構

各都道府県産業保健推進センターにおける産業保健に関する調査研究の発表会が、平成20年10月16日(木)・17日(金)の両日、川崎市幸区 堀川町580番地ソリッドスクエアホールにおいて開催されます。
産業保健推進センターが平成19年度に実施した調査研究について、 研究内容を広く一般に公表し、成果の普及を図ることを目的に開催するものです。
産業医、産業看護職、衛生管理者、労働衛生コンサルタント等産業保健関係者の皆様の御来場をお待ちしております。
入場は無料ですが、FAX(044-556-9918)による事前申し込みが必要です。

新着図書・教材情報(無料貸出し)

今回はお休みです。

 

産業保健Q&A

使い捨て式防じんマスクに記載されている使用限度時間

【質問】
使い捨て式防じんマスクに記載されている使用限度時間について、 どのようにして決めていますか。

【回答】
使い捨て式防じんマスクは、フィルターが粉じんマスクの面体を兼ねていて、 メンテナンスの手間もなく、軽量で使いやすいため、軽粉じん作業などで 広く使用されています。 この使い捨て式捨て防じんマスクには、「13時間」とか使用限度時間が 記載されていますが、これは労働安全衛生法第42条の規定に基づく規格により 定めたものではなく、各メーカーが独自に定めたもので、使用にあたっての法的な 拘束力はありません。
実際の使用限度時間、つまりろ過材を有効に使用することのできる時間は、作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況及び濃度に影響を受けます。
たとえば、吸気抵抗上昇値が高いものほど目詰まりが早く、より短時間で 息苦しくなることから、有効に使用することのできる時間は短くなります。 従いまして、・・・

産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2008年」

  • 10月1日(水)14:00~17:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「作業環境測定機器の取り扱いと簡易な作業環境測定方法について
    ~粉じん計、酸素濃度計、騒音計、照度計、風速計、ガス検知管、 熱中症指標計など~」
  • 10月7日(火)18:30~20:30:日立メディカルセンター
    テーマ「長時間労働対策に関する面接指導の手法とその実践」
    日医(基礎・後期2、生涯・更新2)予定
  • 10月15日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会その1(基礎知識・作業環境管理・法令)」
  • 10月16日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「スライドでみる職場視のポイントについて」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)予定
  • 10月23日(木)15:00~17:00:茨城障害者職業センター(笠間市鯉淵6528-66)
    テーマ「精神疾患で休職中の社員の職場復帰支援について~リワーク支援事業を学ぶ~」
    日医(基礎後期1・実地1、生涯専門1・実地1)予定
  • 10月28日(火)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「第1回目独り職場の駆け出し産業看護職勉強会」
  • 11月6日(木)13:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「産業保健のためのデータ収集と分析について」
    実力アップ予定
  • 11月13日(木)18:00~20:00:茨城県医師会4階会議室
    茨城産業保健懇談会第1回研修会
    日医(基礎後期2、生涯更新2)、実力アップ(Ⅲ-7-(1)1単位))
  • 11月20日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「騒音の評価と改善の進め方」
    日医(基礎後期1・実地1、生涯専門1・実地1)
  • 11月27日(木)14:00~16:00:旭硝子鹿島工場
    テーマ「産業医の職務の実際と職場巡視について」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)

【注】「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。申請中、又は申請予定も含みます。
また、「予定」とあるのは、変更されることがあります。

コラム水戸南町だより

働く働きアリとサボる働きアリ

インターネット配信の記事によりますと、パワハラ上司に、ゴマすり同僚、 無気力部下・・・そんな社員は洋の東西を問わずどんな企業にもいるそうで、 西の方の国では”アスホール”(くそったれ社員=イヤな奴)というそうです。 しかも組織行動学の世界的権威、ロバート・サットン・スタンフォード 大学教授によれば、「周囲の生産性は落ち、同僚は辞め、特に管理職にいる 場合は、深刻な訴訟問題に発展することもある」ため、イヤな奴1人の存在で 企業が被る損害額は、人件費は別として、年間最大16万ドル(約1,600万円) にも上るそうです。

先月25日、海上自衛隊佐世保基地の護衛艦さわぎりの艦内で、男性3等海曹 (当時21歳)が自殺したのは上司のいじめが原因として、両親が国に対し 2,000万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が、福岡高裁でありました。 福岡高裁は「上司の侮辱的な言動でうつ病になり、自殺した」と認定。 1審長崎地裁佐世保支部判決を変更し、国に350万円の支払いを命じましたが、 サットン教授に言わせれば、”安すぎる賠償額”ということになるでしょうか。

サットン教授の話しの続きです。 「イヤな奴の性格は波及性があるので、周りもイヤな人間になる」。 さらに、「日中イヤな奴を相手にしていると、夜帰宅しても家族との生活に 悪影響を与えかねない」。だから、「企業はイヤな奴の存在を許しては ならない」とサットン教授は説いていますが、はたしてそんなことが可能 でしょうか。 「パレートの法則」といのがあります。80対20の法則ともいい、「組織全体の 生産性のうち80%ほどは、20%くらいのメンバーが作り出している」又は、 「売り上げの8割は、2割の商品で生み出している」というものです。 これは、昆虫のアリの世界でも当てはまるそうで、大阪府立大大学院工学 研究科の西森拓助教授らがアリの行動をコンピューターで再現した結果、 働きアリのうち、サボるアリと、働くアリとが、その割合で分かれるそうです。 しかも面白いことに、その中から働くアリのみを取り出しても、さらに、 その割合でサボるアリと働くアリとが分かれるそうです。 西森助教授らの研究では、優秀なアリは目印を忠実に追うため、エサを 効率よく集めますが、目印に固執するあまり新たなエサは発見しにくかった そうです。 一方、鈍いアリはうろうろすることで、新しいエサを発見するチャンスが 高まるらしいようです。 ただ、実際にエサを集めるのはほとんどが優秀なアリだったようで、 西森助教授は「特に状況の変化が著しいときには、人間でも手堅い”秀才” ばかりでは駄目なのかもしれない」と話しています。 たしかに、イヤな奴はイヤな奴。しかし、イヤな奴を排除してもまた イヤな奴が出てくるとしたら、ただ排除すればよいというものはありません。 そもそも、ゴマスリが出てくるのも持ち上

次回の第31号は、平成20年10月上旬配信予定です。
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