いばらき産保ニュース 第37号

発行日:2009/1/08
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎

【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

糖尿病疑い成人5人に1人/平成19年国民健康・栄養調査結果

糖尿病が疑われる成人は予備軍も含めて約2,210万人で、5年前の1.4倍 に増えたことが先月25日、平成19年の厚生労働省の「国民健康・栄養調査」 で分かりました。 ヘモグロビンA1cの値が6.1%以上、または、質問票で「現在糖尿病の 治療を受けている」と答えた人「糖尿病が強く疑われる人」は約890万人。 ヘモグロビンA1cの値が5.6%以上の「糖尿病の可能性が否定できない人」は 約1,320万人で、成人のほぼ5人に1人が該当する計算です。 また、糖尿病に関する知識について、「正しい食生活と運動習慣は、糖尿病の 予防に効果がある」は約9割、「糖尿病は失明の原因になる」は約8割と高い 正答率で、理解は進んでいるものの実行できない状況もうかがえました。 このほか睡眠・休養の状況について、「睡眠による休養が充分にとれていない」 と回答したのは男性で34.2%、女性で40.8%あり、ストレスの状況については、 「大いにある」、「多少ある」という回答が、男女ともに20~40歳代で7割を 超えていました。
喫煙の状況についても調査結果が発表されています。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1225-5.html
【関連セミナー】
テーマ:「うつ病」以外の精神疾患にも対応した職場復帰マネジメント手法について 日時:平成21年2月19日(木)14:00~16:00茨城県立図書館(水戸市三の丸) 概要:調査研究結果を説明するとともに、様々な精神疾患にも対応した 職場復帰マネジメント手法を検討します。

労災保険料率の改定を答申/労働政策審議会

労働政策審議会は先月22日、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行 規則の一部を改正する省令案要綱」について「妥当と認める」と答申しました。 過去3年間の災害率などを考慮して業種ごとに設定される労災保険料率を改定 するもので、労災保険率の加重平均は現在の0.7%から0.54%に下がる見込みで、 事業主の保険料負担は年間約1,827億円減額されることとなります。 厚生労働省としては、この答申を踏まえ、今後省令の制定に向けて作業を 進めることとしており、施行は平成21年4月1日から。 「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の概要
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1222-2c.pdf

結核二次感染/請負業者労働者の診断書を偽造

神奈川県相模原市の建設請負業者の男性労働者(48歳)が結核を発症し、 同僚社員(30歳)が二次感染したと、市保健所が先月29日発表しました。 保健所によると男性は昨年2月に日雇いで入社し、昨年11月12日、横浜市 の現場で血を吐き結核と診断されました。周囲の従業員らを検査したところ、 男性を車で送迎していた社員の二次感染が分かりました。 同社は従業員に一度も健康診断を受けさせずに働かせており、社長は虚偽の 病院名を書いて偽造した診断書を契約先に出したこともわかっています。 相模原労働基準監督署は、健康診断を実施しなかった労働安全衛生法違反 の疑いで、同社を調べています。 
【解説:労働安全衛生法における結核健康診断】
労働安全衛生法では、適正配置、入職後の健康管理に資するために、常時 使用する労働者に対する雇入時の健康診断と、その後の年1回の定期健康診断 の実施を事業者に義務づけています。 定期健康診断等で、結核のおそれがあると診断された労働者に対しては、 おおむね6月後にX線直接撮影による検査および喀痰検査等の結核健康診断を 行わなければならないことになっています(労働安全衛生規則46条)。 結核予防法令においては、事業者が定期の結核健康診断を行わなければ ならない対象が、学校、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設及び 社会福祉施設の従事者に限定されていますが、一般事業場においても、最近 各地で結核の二次感染が報告されています。

  • 40歳代の男性会社員が結核発症、接触者について健康診断を随時実施 したところ、発病者の男性会社員の他に感染者14人を確認。(広島県)
  • 会社に勤める女性(20)が結核に感染し、同僚12人も集団感染。(宮城県)
  • 弘前市職員らが結核に集団感染し22人が発症。(青森県) (いずれも最近の報道による)
月80時間の時間外労働を前提/過労死男性の遺族、飲食チェーン店を提訴

飲食チェーン店の店員だった男性労働者(当時24歳)が過労死したのは、 長時間にわたる時間外労働が原因として、京都市に住む両親が先月22日、 同店を展開する「大庄」(本社=東京)を相手に、慰謝料など約1億円の賠償を 求める訴訟を京都地裁に起こしました。 男性労働者は昨年4月に入社し、調理業務などを担当していましたが、 8月、自宅で就寝中に急性心不全で死亡しました。勤務記録では、月平均の 残業は100時間弱あり、労働基準監督署は先月、労働者の死亡を労災認定 しています。 原告側によれば、同社は月80時間を超える時間外労働を前提とした給与体系 を取っており、長時間労働が常態化。給与体系表上の最低支給額は194,500円 でしたが、欄外に「時間外80時間に満たない場合、不足分を控除する」と記載 され、実際の最低支給額は123,200円でした。

【解説:国が定めた「疲労の蓄積」の目安】
現在の過労死労災認定基準では、「長期間の過重業務についての過重負荷の 有無の判断」について、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる 労働時間に着目します。 労働時間が長いほど業務の過重性が増すとし、具体的には発症日を起点とした 1カ月単位の連続した期間をみるとした上で、下記のような規定を設けています。

  1. 「発症前1か月間におおむね100時間以上」、「発症前2か月ないし6か月間 におおむね80時間以上」の時間外労働時間(週40時間を超える労働時間)が あれば、業務との関連性が強いと評価する。
  2. 発症前1か月ないし6か月間の時間外労働時間がおおむね45時間を超える 場合は、それが長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価する。
  3. 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を 超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症の関連性が弱いと評価でき、 労働時間以外の負荷要因による身体的、精神的負荷が特に過重と認められるか 否かが重要となる。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

「働く人の心の健康相談室」/21年1月からは月4回に

茨城産業保健推進センターでは、勤労者のメンタルヘルスについて、 面談又は電話により無料で、専門のカウンセラーが相談を受けています。 このたび利用者の増加傾向をうけ、従来、月に2日だった相談日を本年 1月からは月4日(第1~第4月曜日午後3時~午後6時)に拡大しました。 対象者は、勤労者本人とその家族、上司・同僚及び産業保健関係者、企業の 労務担当者。プライバシーに関しては十分に配慮し、相談内容は所属会社も 含め外部に対して秘密を守ります。どうぞ、ご利用ください。
詳しくは↓
https://ibarakis.johas.go.jp/consultation/mendan/kokoro-2

「自分流楽しく続ける健康づくり」/生活習慣病予防週間のスローガン

厚生労働省健康局では、今年度の生活習慣病予防週間の期間中(平成21年 2月1日~7日)使用するスローガンを募集していましたが、このたび 「自分流楽しく続ける健康づくり」 と決定しました。
スローガン、平成20年度生活習慣病予防週間実施要綱について↓ 
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p1222-1.html

「父親のWLB(ワーク・ライフ・バランス)応援サイト」を開設

女性の仕事と家庭の両立が進みつつある一方で、男性は仕事中心の生活を 余儀なくされています。 しかし、男性自身の両立願望がないわけでもありません。男・女が共に安心 して働き続けるためには、男性においても仕事と育児の両立を促進することが 必要です。 厚生労働省では、(株)産業社会研究センターに委託し、主に育児期の男性 労働者を対象として、「父親のWLB(ワーク・ライフ・バランス)応援サイト」 を開設しました。 平成21年2月4日(水)には東京で「父親の仕事と子育て応援シンポジウム」 も開催予定です。
応援サイトについて詳しくは↓
https://www.papa-wlb.jp/

【関連セミナー】

  • テーマ:多様化する雇用形態とQOL
    日時:平成21年3月5日(木)14:00~16:00推進センター研修室
    概要:生活を形成する能力(ケイパビリティ)の向上は、労働能力 (エンプロイヤビリティ)を高め、生産性を上げる基礎となります。 講義では、勤労者の精神と身体の回復つまり勤労者の生活の質(QOL) を向上することこそ、企業のパフォーマンスの着実な改善に導くこと を論証します。
「特定健康診査・特定保健指導に関する「Q&A集」、「手引き」の追加・修正

厚生労働省では特定健康診査・特定保健指導に関し、準備や実施を通じて 明らかとなった関係者等からの指摘事項等や、新たに周知しておくべき事項等 が生じた場合、手引きやQ&A集を随時、必要に応じ追記・修正等を行い ホームページで公開しています。
「Q&A集」↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info03e.html
「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」↓ http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info03d.html

新着図書・教材情報(無料貸出し)

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産業保健Q&A

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これから受講できるセミナー案内(無料)
「2009年」

  • 1月15日(木)14:00~16:00:ホテルレイクビュー水戸(水戸市宮町)
    テーマ「石綿関連疾患診断技術研修~基礎研修」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)
  • 1月19日(月)15:00~17:00:国民宿舎水郷多目的中ホール(土浦市大岩田)
    テーマ「心の病を予防する~インターネットによるメンタルヘルスチェック の有用性について~」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)、実力アップ(Ⅳ-5-(3))
  • 1月22日(木)15:00~17:00:つくば国際会議場(つくば市竹園)
    テーマ「化学物質ばく露による健康障害-診断・治療と予防、管理について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)、実力アップ(Ⅳ-5-(3))
  • 2月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その1基礎知識・作業環境管理・法令編)」
  • 2月19日(木)14:00~16:00:茨城県立図書館(水戸市三の丸)予定
    テーマ「うつ病」以外の精神疾患にも対応した職場復帰マネジメント手法について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 2月26日(木)14:00~16:00:つくば国際会議場(つくば市竹園)
    テーマ「新型インフルエンザ対策~準備・対応・対策ガイドライン等について~」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 2月27日(金)18:30~21:30:水戸市医師会(水戸市笠原町)
    テーマ「じん肺症と健康管理について~じん肺症の症状と診断、 じん肺管理区分決定、胸部X線写真の読影等~」
    日医(基礎後期2・実地1、生涯専門2・実地1)申請中
  • 3月5日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「多様化する雇用形態とQOL」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 3月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その2健康管理・メンタルヘルス編)」
  • 3月16日(月)19:00~21:00:茨城県産業会館研修室
    茨城産業保健懇談会第2回研修会
    テーマ「各種うつ状態(現代型うつ病を含む)の診断と治療の実際」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中、実力アップ申請中

【注】「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。申請中、又は申請予定も含みます。
また、「予定」とあるのは、変更されることがあります。

コラム水戸南町だより

炭素の足跡、労働の足跡

温室効果ガス(GHG)が地球環境に与える影響のレベルを、二酸化炭素 (CO2)に換算した「カーボン・フットプリント」という指標が関心を 集めています。これを商品やサービスに表示することで、企業による製品・ サービスなどが、地球温暖化にどの程度影響を与えているのかを把握する ことができるというものです。 いまや企業の行動を見て消費者も行動をきめる時代。このプロジェクトに 参加する企業は、自社の環境への取り組みを製品を通じて消費者にアピール することで、市場において優位を獲得するメリットがあると考えられています。

「月80時間残業しないと減給」。 インターネットで配信された記事を見て目を疑いました。全国チェーンの 居酒屋従業員(当時24)が急性心不全で死亡したのは過酷な残業が原因だ として、京都市に住む両親がチェーン店を経営する「大庄」(東京)に約1億円 の賠償を求める訴訟を起こしたとの記事です。 両親側によると、大庄の担当者が作成したとされる「給与体系一覧表」では、 一般職から管理職の店長・調理長まで8分類について最低支給額などが表に なっており、一般職が最も低く月194,500円。しかし、欄外に1行の但し書き があり、「時間外80時間に満たない場合、不足分を控除するため、本来の 最低支給額は123,200円」とされていたそうです。 このため、亡くなるまでの4カ月間の時間外労働は月平均98時間余にも のぼり、「2ヵ月以上にわたって月平均80時間以上」という厚生労働省の 「過労死ライン」を超えていました。また、労働基準監督署もその死を労災と 認める決定をしています。 本来の最低支給額である123,200円を月平均法定労働時間数(173時間と します)で割ると、時給712円にしかなりません。 記事の中で、朝日新聞の取材に対して大庄の広報担当者は「月額194,500円は 80時間残業した場合の給与の一つのモデル、長時間の時間外労働を強いている わけではない」と反論。「給与体系は採用時の会社説明会などで詳細に伝えている」 と説明しているそうですが、両親が「事前に説明を受ければ入社せず、過労死 することもなかった」と語っているように、眉につばをつけてよーく見ないと、 いや聞かないと中々分かりません。

急成長した企業にはどこか裏があるものですが、そこで働く人々の不幸の上 に成り立っているような企業は、消費者としてもご免蒙りたいものです。 カーボン・フットプリントにあやかり、せめて上場企業くらいは、例えば 実際に残業時間はどれくらいなのか、有給休暇は取れているか、育児介護休暇は あるか、過重労働、メンタルヘルス対策とその運用実績など、「労働の足跡」に ついても公表して欲しいものです。


次回の第38号は、平成21年1月下旬配信予定です。
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