いばらき産保ニュース 第40号

発行日:2009/2/25
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎

【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

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新着情報

心理的負荷評価表の見直し/厚生労働省検討会資料

今月17日、厚生労働省は「第2回職場における心理的負荷評価表の見直し等 に関する検討会」の資料をホームページ上で公開しています。 資料は、「心理的負荷評価表に係る業務上の出来事の追加・修正(たたき台)」、 「心理的負荷の強度を修正する視点」の見直し(たたき台)」ほか。 改正案では、新規に「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を負荷の 強度Ⅲに分類しています。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/s0206-8.html
【解説:職場における心理的負荷評価表と業務上外】
業務による心理的負荷を原因として精神障害を発病した事案については、 平成11年度に策定した「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」 (以下「判断指針」という。)に基づき、「職場における心理的負荷評価表」により 心理的負荷の強度等について評価し、業務上外の判断を行っています。 しかし労働者をとりまく状況が変化している中で、職場でのひどいいじめによる 心理的負荷など、新たに心理的負荷が生ずる事案が認識されるようになり、現行の 評価表における具体的出来事への当てはめが困難な事案が、少なからず見受けられ ていました。 このような状況をも踏まえ、厚生労働省は平成14年と18年に、ストレス 出来事の評価に関する委託研究を実施し、今般、これらの研究結果に基づき、 評価表における業務上の具体的出来事等に関する検証・検討を行っているところ です。 研究結果では、頻度、ストレスがともに高い職場関連ストレッサーとして、 「嫌がらせ・いじめ又は暴行をうけた」、「業務を一人で担当することになった」、 「職場で顧客が無理な注文をした」などが挙げられています。

新型インフルエンザ対策行動計画・ガイドライン改訂

政府は今月17日、新型インフルエンザが発生した際の、各省庁の協力関係 などを明記した「行動計画」と、自治体や医療機関、企業、地域の役割分担を 具体的に示した「ガイドライン」を改定しました。 新たな科学的知見や諸外国の対策状況などを受け、昨年4月から専門家会議で 協議を続け、昨年末にパブリックコメントを募集していました。行動計画は 平成19年10月以来3度目、ガイドラインは同年3月以来初の改定となります。 全文は内閣官房のホームページで公開しています。
新型インフルエンザ対策行動計画(平成21年2月17日最終改定)
↓新型インフルエンザ対策ガイドライン(平成21年2月17日策定)
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html

「心の病」10年で4倍/地方公務員、減員が背景か

全国の地方公務員のうち、2007年度に「心の病」で長期間休んだ人は10年前 の約4倍に増えていることが14日、総務省の外郭団体の調査で分かりました。 調査は、都道府県と政令指定都市、県庁所在市、それ以外の人口30万人以上の 33市のほか、各都道府県から2市2町村を抽出して計318自治体を対象に、地方 公務員安全衛生推進協会が実施したもの。 一般職のうち「精神および行動の障害」で1カ月程度以上休んだ職員数などを 聞いたところ、1997年度は調査対象80万695人で心の病の長期休職は1,977人 と0.25%だったのが、2007年度は1.03%の7,823人に増加。大けがや疾病など も含む長期休職者全体の42.7%が心の病でした。 また人事院によりますと、心の病で1カ月以上休んだ国家公務員も06年度で 全体の1.28%と増加傾向にあります。 総務省は「職員定数の削減で、一人当たりの負担が大きくなっているためでは ないか」。「国も地方も定数を増やすことはできない。研修会やセミナーなどメンタル ヘルス対策を充実させるしかない」としています。 (共同通信2月14日配信)

健康要因と社会的要因に留意/自殺予防対策について

厚生労働省は、今月30日、「現下の経済情勢を踏まえた緊急の自殺予防対策 について」を都道府県労働局等に発出しました。 現下の経済情勢により解雇及び雇止めに伴い住居の退去を余儀なくされる者が 相当数新たに発生したり、自殺の社会的要因である失業や倒産、多重債務問題の 深刻化が懸念されることなどが背景です。 自殺に至る可能性のある者が抱える課題は多様であり、健康要因と社会的要因 に対する医療、福祉、労働分野等の関係機関間の連携が重要です。 このため通達では、保健所、精神保健福祉センター、福祉事務所、産業保健 推進センター、地域産業保健センター等はもとより、弁護士会・消費生活センター 等多重債務に関連する相談機関、自殺予防活動を行う民間団体との間で適宜連携 を図ることとしています。
現下の経済情勢を踏まえた緊急の自殺予防対策について(安全衛生情報センター)↓
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-50/hor1-50-3-1-0.htm
自殺予防総合対策センター「いきる・ささえる相談窓口」
(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)↓
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
(茨城県の相談窓口一覧表)↓
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/seiho/seishin/regional-suicide-center.html

【関連セミナー】

  • テーマ:多様化する雇用形態とQOL
    日時:平成21年3月5日(木)14:00~16:00推進センター研修室
    概要:生活を形成する能力(ケイパビリティ)の向上は、労働能力(エンプロイ ヤビリティ)を高め、生産性を上げる基礎となります。講義では、勤労者の 精神と身体の回復つまり勤労者の生活の質(QOL)を向上することこそ、 企業のパフォーマンスの着実な改善に導くことを論証します。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

「YouTube」に厚生労働省公式チャンネル

厚生労働省では、今月10日からインターネット上の動画配信サイトである 「YouTube」に厚生労働省の公式チャンネルを開設し、動画配信を行っています。 現在、舛添厚生労働大臣からのメッセージのほか、「新型インフルエンザの発生 に備える」などが掲載されています。
厚生労働省公式チャンネルは↓ 
http://www.youtube.com/MHLWchannel

事業者向けに生活習慣病『医療講座』開設/毎週水曜日(水戸市医師会)

水戸市医師会では、生活習慣病の予防に関する正しい知識を得て、適切な生活 習慣を身につけることが出来るよう、生活習慣病「医療講座」を3月4日から 同25日までにかけて4回開講します。 事業者向けの講座は、水戸市医師会としては初めて。全プログラム参加者には 受講修了書を交付します。受講料は無料です。

  • 第1回目3月4日(水)午後2時~
    「メタボリックシンドロームについて」
    講師佐藤医院佐藤怜先生
  • 第2回目3月11日(水)午後2時~
    「糖尿病について」
    講師日製水戸総合病院大西晶子先生
  • 第3回目3月18日(水)午後2時~
    「高血圧と狭心症について」
    講師小川南病院諸岡信裕先生
  • 第4回目3月25日(水)午後2時~
    「息切れのしない老後のために-禁煙のすすめ-」
    講師水戸中央病院亀岡昌明先生

参加申込は、水戸市医師会医療講座係まで、住所、氏名、電話番号等をファックス、 またはEメールで。
FAX:029-305-7710
メール:mail@mito-med.or.jp

産業保健実践講習会を全国4会場で開催/産業医学振興財団

産業医学振興財団では、時代の変化に応じた課題に即応できる実践的な知識・ 技術を会得できるよう、実地研修を含めた産業保健実践講習会を開催しており、 平成21年度は全国4会場で開催します。 当講習会は、これから認定産業医になろうとする医師、既にご活躍中の認定 産業医、保健師、看護師、衛生管理者等を対象として休日に開催する講習会です。
開催会場・日程
・大阪会場 4月19日(日)・名古屋会場4月26日(日)
・福岡会場 5月9日(土)・横浜会場 5月31日(日)
認定産業医取得単位
基礎研修6単位(後期4.5単位、実地1.5単位)
生涯研修6単位(更新1.5単位、専門3単位、実地1.5単位)
※その他:日本産業衛生学会産業看護師実力アップコースの単位

セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ/厚労省パンフ作成

職場でのセクシュアルハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける行為であるとともに、労働者の能力の発揮を妨げ、企業にとっても不利益 をもたらす行為です。
厚生労働省は、労働者がセクシュアルハラスメントのない職場でいきいきと 働くことができるような雇用管理の実現に向けて、「あなたの会社のセクシュアル ハラスメント対策は万全ですか?」など、数種類のパンフレットを作成しています。
パンフレット等のダウンロードはここから↓
https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/supporter/files/kigyou01b.pdf

新着図書・教材情報(無料貸出し)

国民衛生の動向・厚生の指標臨時増刊2008年(図書504頁)

【概要】
国民衛生の現状と動向を、広範にわたる資料と精度の高い最新の統計データに 基づき編集したもの。産業保健スタッフにおすすめします。

産業保健Q&A

騒音障害防止のためのガイドラインを遵守させるには

【質問】
騒音職場がある工場の産業医をしています。 この工場では、年1回の定期健診で1000Hzと4000Hzの聴力検査を行って いますが、それに異常があった人に対する二次健診を実施しておりません。 事業主には厚労省の騒音障害防止のためのガイドラインを提示して、再三再四、 二次健診の詳しい聴力検査実施を促していますが、「努力義務」との認識で実施 が実現しません。 ガイドラインは事業主に義務付けるものではないのでしょうか。説得力のある 根拠を示すことはできないでしょうか。
【回答】
騒音の問題について、理解の無い経営者にいかに労働衛生の大切さをわかって もらうかがこの問題の本質だと思います。
等価騒音レベル85dB(A)以上の騒音作業は、製造業の有害業務としていまでも 最多ですし、推定100万人以上の労働者が騒音職場で働いているといわれています。 しかし騒音健診の受診者数は年間20万人強に過ぎず、騒音性難聴の労災認定 は年間500件前後を推移したままです。 騒音性難聴とは、慢性的に長時間にわたって騒音に曝露されて発症する慢性 進行の感音難聴の一つですが、現在、騒音性難聴には有効な治療法はありません。
また騒音作業による健康障害は個人差が大きいことから、各人の騒音健診結果 から就業措置を講ずることは非常に大切ですが、ご相談のケースのように一般健診 で代用されているような状況では、それ以降の保健指導や就業措置が不十分となる 可能性があり、大変危惧されるところです。 ではどうするかですが、・・・

産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2009年」

  • 2月26日(木)14:00~16:00:つくば国際会議場(つくば市竹園)
    テーマ「新型インフルエンザ対策~準備・対応・対策ガイドライン等について~」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)
  • 2月27日(金)18:30~21:30:水戸市医師会(水戸市笠原町)
    テーマ「じん肺症と健康管理について~じん肺症の症状と診断、 じん肺管理区分決定、胸部X線写真の読影等~」
    日医(基礎後期2・実地1、生涯専門2・実地1)
  • 3月5日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「多様化する雇用形態とQOL」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 3月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その2健康管理・メンタルヘルス編)」
  • 3月16日(月)19:00~21:00:茨城県産業会館研修室
    テーマ「各種うつ状態(現代型うつ病を含む)の診断と治療の実際」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)、実力アップ(Ⅳ-3-(4))
  • 4月6日(月)14:40~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「メンタルヘルス・ケースカンファレンス」
  • 4月9日(木)14:00~16:00:ワークヒル土浦(土浦市木田余)
    テーマ「メンタルヘルス疾患による休職者の職場復帰について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請予定、実力アップ申請予定
  • 4月17日(金)14:00~16:00:鹿嶋勤労文化会館(鹿嶋市宮中)
    テーマ「『エゴグラム』で心のワーク・ライフ・バランスを見る」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請予定、実力アップ申請予定
  • 4月21日(火)14:00~16:30:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「労働衛生、健康管理担当者の職務について」
  • 4月23日(木)14:00~16:30:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「インフルエンザ感染予防に必要な呼吸用保護具について~マスクの 選択と着用方法~」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)申請予定、実力アップ申請予定

【注】「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。申請中、又は申請予定も含みます。
また、「予定」とあるのは、変更されることがあります。

コラム水戸南町だより

バレンタインデー/そもそも愛とは

今年のバレンタインデーは土曜日となり、義理チョコのおこぼれに与れません でしたが、家で妻と娘から、特大のチョコレート・ケーキをプレゼントされ、 胸が一杯になる前にお腹が一杯になってしまいました。 なんとも色気のない話しで恐縮です。

――バレンタインデーの起源は?毎年多くの人がこのイベントに夢中になる のはなぜ? 世の中には、バレンタインデーの由来や愛の脳科学について探っている方も おられます。 コロラド大学ボルダー校の古典学者ノエル・レンスキ氏によると、ローマ帝国 では毎年、男性が裸になり、多産を祈願して、ヤギや犬の皮でできたムチで未婚 女性をたたくという騒々しい祭りが開かれていたそうです。 「ルペルカリア祭」というこの祭りは毎年2月15日に開催され、ローマ皇帝 コンスタンティヌス1世が西暦313年にキリスト教を公認してからも150年ほど 続き、5世紀まで広く行われていたようで、キリスト教会がこの祭りを聖ウァレン ティヌス(バレンタイン)の伝説と結び付け、現在のような形になったという のです。

バレンタインデーは愛の祝日ですが、そもそも愛とは何でしょうか。 ラトガース大学の人類学者ヘレン・フィッシャー氏は、恋愛について、求愛と 生殖を可能にする3つの本能的な脳のシステムに分類しています。

  • 性欲
  • ロマンチックな愛(妄想、情熱、夢中)
  • 愛着(長期間のパートナーに対する穏やかさと安心感)

「性欲が進化したのは外へ出てパートナーを見つけられるようにするため。 ロマンチックな愛が進化したのは、一度に1人の相手にだけ求愛のエネルギーを 注げるようにするため。愛着が進化したのは、チームとして一緒に子どもを育てる のに十分な期間だけ相手を容認できるようにするため」とフィッシャー氏はいって います。 まさに人は愛のために歌い、愛のために踊る。そして愛について語り、愛の ために生きる。時には愛のために殺人も犯せば、死もいとわないというわけです。

去年1年間に自殺した人は3万2000人余りに上り、11年連続で自殺者が 3万人を超える深刻な状況にあることが、このほどNHKの全国の警察に対 する取材でわかりました。 警察によっては自殺の動機についても分析していて、「経済的な問題による自殺」、 「生活苦」や「事業の不振による自殺」が増えているそうです。 11年前の98年。この年の自殺者は32,863人で、前年より8千人以上増え、 初めて3万人を突破しました。経済がマイナス成長となった転機の年でもあり、 その時の状況と似ているとの指摘もあり、内閣府などは危機感を強めていますます。 なぜこの国はかくも自殺者が急増したのでしょうか。不景気、職場や家庭内 の人間関係、健康の問題。
・・・しかし、最も根本的な問題はこの国の社会から 「愛」が失われてしまったことにあるのではないでしょうか。 研究によると、恋に落ちたばかりの人は、欲求や集中力、やる気、目的志向の 行動などに関係のある化学物質、ドーパミンを製造する脳内の報償系が活発に 活動しているそうです。

もしも、――自分は世の中から嫌われ、誰からも必要とされてない――と悲観 している人がいたら、そっとチョコレートを渡してみるなんていうのもいいかも しれません。


次回の第41号は、平成21年3月上旬配信予定です。
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