いばらき産保ニュース 第41号

発行日:2009/3/12
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎

【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

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新着情報

労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱/労働政策審議会に諮問

厚生労働省は5日、労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱などを 労働政策審議会に諮問しました。 「労働基準法の一部を改正する法律」が第170回国会で成立し、1か月60時間 を超える時間外労働については割増賃金率が50%に引き上げられることになって います。
今回諮問されたのは、引き上げ分の割増賃金に代えて有給の休暇(代替休暇) を与える場合の労使協定における協定事項、代替休暇として与えるべき時間数の 算定方法など。
改正労働基準法は、平成22年4月1日から施行されます。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0305-2.html
労働基準法の改正について(厚労省)↓ http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html

製造業の残業時間、前年同月比40%減/1月の毎月勤労統計

厚生労働省が、2日発表した毎月勤労統計調査結果(速報、従業員5人以上) によると、1月の現金給与総額は前年同月比1.3%減の27万8,476円でした。 総実労働時間は137.0時間(前年同月比1.0%減)で、所定外労働時間は 8.9時間(同15.2%減)。とくに製造業の所定外労働時間が40%減と大幅に 減少していました。

労災保険率等の改定

労災保険率等の改定については、昨年12月、労働政策審議会労働条件分科会 労災保険部会において、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の 一部を改正する省令案要綱」に係る答申が出されました。
答申の内容に基づき、徴収則の一部を改正する省令が2月19日に公布され、 今年4月1日から施行されることとなりました。
今回の改訂では、ほとんどの業種で料率が引き下げられ、「金融業、保険業 又は不動産業」及び「その他の各種事業」については3/1000と、従来の 4.5/1000から大幅に引き下げられています。
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/03/tp0301-1.html

アスベスト対策せずに作業/労働基準監督署が内装工事業者など書類送検

アスベスト(石綿)の粉塵(ふんじん)対策をせずに内装工事をさせたとして、 大阪中央労働基準監督署は先月27日、労働安全衛生法違反の疑いで、大阪市の 内装工事会社と同社の現場責任者を大阪地検に書類送検しました。
労基署によると、昨年4月、ビルの内装工事で天井に石綿が吹き付けられていた にもかかわらず、男性作業員2人にマスクを着用させるなどの対策を取らずに、 ボルトを打ち込む作業などに従事させていました。 (2月28日配信産経新聞より)
厚生労働省石綿(アスベスト)情報
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/index.html
【解説:吹付け石綿】
石綿(アスベスト)は天然に産出する繊維状鉱物の総称で、不燃性、耐摩耗性 などに優れているため、耐火や防音の目的で梁や天井に吹き付けされていました。 吹付けされた石綿は経年とともに劣化し、外力が掛ると飛散することがあり、 空気中に浮遊した繊維を呼吸とともに吸い込んでしまうことによって、長期間を 経て健康障害を起こしていることが問題になっています。 このため石綿を切断、穿孔、研磨等する際には、石綿の粉じんが飛散しないよう するとともに、労働者にばく露を防止するための呼吸用保護具、作業衣または 保護衣を着用させる必要があります。(石綿障害予防規則第13条、第14条)
【関連セミナー】
テーマ:「労働衛生、健康管理担当者の職務について」
日時:平成21年4月21日(火)14:00~16:30茨城産業保健推進センター
概要:労働衛生の総括管理、環境管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生
教育管理について全体像を説明し、後半では職場におけるメンタルヘルス
活動など、いくつかのグループにわかれて意見交換をおこないます。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

中小企業のための新型インフルエンザ対策ガイドライン/東京商工会議所

企業における新型インフルエンザへの対応が焦眉となっておりますが、 東京商工会議所では、「中小企業のための新型インフルエンザ対策ガイドライン ~命を守り、倒産をまぬがれるために~」を公表しています。 新型インフルエンザへの対応が、とりわけ中小企業で立ち遅れていることを 受け、「新型インフルエンザ対策専門委員会」を設置し、策定したもの。
主な内容は

  1. 新型インフルエンザが発生したら
  2. お客様や従業員と家族の生命と健康を守ろう
  3. 職場・事業所で感染拡大を防止しよう
  4. 企業の存続のために

―――など。

経営者や従業員の、職場と家庭における対策のチェックポイント (チェックリスト)なども付いていて、対策のポイントをわかりやすく 解説しています。ダウンロードも可能。↓PDF
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=4606

【関連セミナー】

  • テーマ:インフルエンザ感染予防に必要な呼吸用保護具について~マスクの選択と着用方法
    日時:平成21年4月23日(木)14:00~16:30茨城産業保健推進センター
    概要:呼吸用保護具について、一般に使用されている不織布製マスク、N95(アメリカの規格)、DS2(日本の規格)等について、マスクの顔面への密着性を測定しながら、有効な着用方法などの検討を行い、マスクを使用 する際の参考に供します。
『うつ病』以外の精神疾患にも対応した職場復帰マネジメント/19年度調査研究

茨城産業保健推進センターの平成19年度調査研究(主任研究者松崎一葉) の結果を取りまとめた抄録、「『うつ病』以外の精神疾患にも対応した職場復帰 マネジメント手法の確立に関する調査・研究」ができました。 希望者には、無料で配布いたしますので、センターまでお申出下さい。 また、同内容はセンターホームページからもご覧になれます。
「うつ病」以外の精神疾患にも対応した職場復帰マネジメント手法の確立に関する調査・研究」↓ 
https://ibarakis.johas.go.jp/research/h19

【関連セミナー】

  • テーマ:職業性ストレス簡易調査票の使い方を学ぶ
    日時:平成21年4月25日(土)13:00~17:00茨城産業保健推進センター
    概要:「職業性ストレス簡易調査票」を実際にグループで使い、データの入力・ 分析を中心に、調査票の作成、回収、個人や職場へのフィードバックなど を実習します。
「”うつ”あれこれ」~うつ病を中心に~/東京医科大学市民公開講座

東京医科大学霞ヶ浦病院では、定期的に市民公開講座を開催しています。
4月18日(土)は、メンタルヘルス科小野講師による「”うつ”あれこれ」がテーマ。 市民対象ですが、企業の関係者の参加も歓迎とのことです。
日時平成21年4月18日(土)14時~15時
場所東京医科大学霞ヶ浦病院医療福祉・研究センター1F多目的ホール
入場無料、申込不要

新着図書・教材情報(無料貸出し)

今回はお休みです

 

産業保健Q&A

職場巡視の七つ道具は

【質問】
産業医が、工場巡視中に作業環境を測定できるような簡易な測定器具 (七つ道具)について、どのようなものがありますか。 使いやすく、かつコンパクトなものを紹介してください。
【回答】
職業性疾病などの労働災害を予防するには、作業環境管理中の化学的因子や 物理的因子など有害要因を測定し、そのデータの変動因子を明らかにして、 変動因子をコントロールすることが大切です。
このため労働安全衛生法では、特定の有害因子について作業環境測定を 義務づけていますが、これとは別に産業医が職場巡視中に行う測定も、 作業場の現状を把握するという意味で重要です。 有害職場における職場巡視に有効で、操作が簡便で手軽に持ち運びが出来、 かつ費用がかからない測定機器については、以下のようなものがあります。・・・・

産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2009年」

  • 3月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その2健康管理・メンタルヘルス編)」
  • 3月16日(月)19:00~21:00:茨城県産業会館研修室
    テーマ「各種うつ状態(現代型うつ病を含む)の診断と治療の実際」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)、実力アップ(Ⅳ-3-(4))
  • 4月6日(月)14:40~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「メンタルヘルス・ケースカンファレンス」
  • 4月9日(木)14:00~16:00:ワークヒル土浦(土浦市木田余)
    テーマ「メンタルヘルス疾患による休職者の職場復帰について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請、実力アップ申請
  • 4月17日(金)14:00~16:00:鹿嶋勤労文化会館(鹿嶋市宮中)
    テーマ「『エゴグラム』で心のワーク・ライフ・バランスを見る」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請、実力アップ申請
  • 4月21日(火)14:00~16:30:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「労働衛生、健康管理担当者の職務について」
  • 4月23日(木)14:00~16:30:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「インフルエンザ感染予防に必要な呼吸用保護具について~マスクの 選択と着用方法~」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)申請、実力アップ申請
  • 4月25日(土)13:00~17:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「職業性ストレス簡易調査票の使い方を学ぶ」
    実力アップ申請
  • 5月14日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    「カウンセリング技法講座初級コース第1日目」
  • 5月15日(金)18:30~20:30:県南生涯学習センター(土浦市)
    「企業の保健室の漢方薬~産業ストレスを漢方で対処する~」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)申請
  • 5月21日(木)14:00~16:00:ワークヒル土浦(土浦市)
    「作業環境測定結果の見方について」
    日医(基礎実地2、生涯実地2)申請、実力アップ申請

【注】「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。申請中、又は申請予定も含みます。
また、「予定」とあるのは、変更されることがあります。

コラム水戸南町だより

知は力/労働関係法制度の知識の理解状況に関する調査報告書

雇用関係は「契約」に基づく相互関係であり、雇用者の割合が8割を超える 我が国においては、労働者・使用者双方が労働関係法制度に関する知識等を 身に付けることが不可欠です。 しかしながら、非正規労働者が増加し、また労働契約が個別化している中で、 労働関係法制度をめぐる知識、特に労働者の権利に関する知識が十分に行き 渡っていない状況が問題となっています。 これまでの研究でも、本当に知識を必要としている人と実際に知っている人 との間で「知識のミスマッチ」がある、例えば学歴が高くない者や中小企業の 従業員あるいはフリーターなど、相対的に低い労働条件で働いている人ほど、 必要な知識を理解していない可能性が高いといった指摘がなされていました。

今年2月厚生労働省は、「労働関係法制度の知識の理解状況に関する調査報告書」 を公表しました。 労働関係用語の認知状況と、各種事例に対する法違反認識についての解答状況から、 労働関係法制度の理解度指標を高いほうからレベル3、2、1の3区分に分け、 働き方の属性を分析したところ、パート・契約社員・アルバイトは理解度の 低い層が多く、一方管理職は他の就業形態に比して理解度は高いという結果が でました。 また、規模の大きな会社に勤める人の方が理解度が高く、理解度の高い層ほど 有給休暇を取得する割合が高くて労働時間が短いという事実も認められました。 例えば、週の実労働時間について、平均時間は『理解度レベル3』の層は 『理解度レベル1』の層に比べて4.5時間も短いというのです。 不当な扱いを受けた際の行動については、「何もしなかった」がもっとも多く、 「転職した・辞めた」が続いています。労働基準監督署や労働局・地方自治体など 公的機関へ相談した割合はほんのわずか。いずれの層でも5%に満たないという 結果も出ています。 労働者の権利を「知っている」ことが「行動」に直結するとは必ずしも言えません。 しかし、労働者の権利を知らないことで、不当な扱いを受けてもそれを”自分のせい” と感じてしまったりもします。 クビになったのは「努力が足りかったからだ」、「怠け者だからだ」。 よく言われる言葉ですが、整理解雇の四要件など解雇の法理に照られして見ると、 企業側の責任の方が大である場合はよくあります。

Aさんは、いま会社から解雇通知を受け、それをはね返そうと、粘り強く 交渉を続けています。当初、仕事上のミスを社長から咎められて「お前が悪い」 と言われ、不安と自責の念が心の中を占めていました。 しかし、地域労組に相談したり、市販の書籍やホームページで勉強した結果、 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効 であることを知りました。 また交渉過程で、Aさんに対する解雇通知が、実はリストラの一環であること がわかってきました。 たとえ結果がどうなろうと、労働者の権利を知ったことでAさんは、今後、 職場で同じような問題に直面しても、これまでのように不安に苛まれることは ないだろうとおっしゃっています。 “知は力”です。働きつづけることをやめない社会の中で、人間らしい生活を 取り戻すには、働く人が持つ権利を知り、仲間といっしょに考え、ときには力を 合わせて行動することも大切です。 また、トラブルの発生は労働者側の知識不足だけでなく、会社側の法的無知に よって引き起こされている場合もあります。 企業経営にとっても、労働関係法制度を理解しその遵守を徹底する環境を作る ことは、労働者が安心して働ける基盤となるものですから、企業のコンプライアインス、 社会的な責務の観点からも必須の事項であると思います。


次回の第42号は、平成21年3月下旬配信予定です。
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