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土浦地産保通信(第23号)

平成28年12月28日

土浦地産保通信は、皆様に産業保健に関するニュースや役に立つ情報をお届けしています。
この通信はEメール(PDF文書添付)で送信しています。送信先の変更、送信停止等を希望される場合は、当センターまでご連絡ください。

ニュース

◎ 厚労省「過労死等ゼロ」緊急対策/違法認定は企業名公表へ
 厚生労働省は、企業が労働時間の実態を把握することなどを盛り込んだ、緊急対策をまとめました。
 電通新入社員の過労自殺については労災が認定されましたが、実際の残業時間を会社に過少申告していたことなどが、問題視されています。これを受け、厚労省は、実際の勤務時間と、会社に申告した勤務時間に「差」がある場合、会社側に実態調査を求めることなどを盛り込んだ「過労死等ゼロ」緊急対策をまとめ、26日に公表しました。
 その中で、是正指導段階での企業名公表制度については、現行の要件を「月100時間超」から「月80時間超」に拡大、さらに過労死等・過労自殺等で労災支給決定した場合も対象とし、これらが同一企業で2事業場に認められた場合に、企業本社の指導を実施、是正されない場合には企業名を公表するとしています。
  クリックこちらをご覧ください 厚生労働省のサイトにリンクします。

オルト-トルイジン◎ 福井の化学工場で膀胱がん、従業員7人の労災を認定
 福井県の化学工場で、化学物質の「オルト-トルイジン」を扱っていた従業員7人が相次いで膀胱がんを発症したことについて、このたび福井労働基準監督署は労災と認定しました。この物質による膀胱がんで労災が認められるのは初めてです。
 労災が認められたのは、「オルト-トルイジン」を製造作業で扱っていた40代から70代の男性従業員、いずれも膀胱がんを発症していました。
 厚労省の調査では、オルト-トルイジンを扱う事業所で従業員が膀胱がんを発症したケースは、このほか全国で17人確認されています。
 オルト-トルイジン(o-toluidine)は「芳香族アミン」というベンゼン環にアミノ基(-NH2)をもった化合物の一種です。芳香族アミンのなかには発がん性が指摘されている化合物があり、例えば、かつて線維工場の従業員に膀胱がんが多発し、その原因物質として同定された2-ナフチルアミンなどが含まれています。
 なお、厚生労働省は、化学物質のリスク評価の結果に基づいて特定化学物質障害予防規則等を改正し、オルト―トルイジンを発がんのおそれのある物質として特定化学物質障害予防規則の措置対象物質(「特定化学物質(第2類物質)」のうち「特定第2類物質」)に追加することにしています。(平成29年1月1日施行予定)
 主要な措置としては
◆特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選任
◆尿路系腫瘍等を予防・早期発見するための特殊健康診断の実施
◆作業環境測定結果、健康診断結果、作業記録等の30年保存等の義務付け・・・など。 もっと詳しく知りたい方は→化学物質のリスク評価検討会報告書(オルト−トルイジンに対する今後の対応)
クリックこちらをご覧ください 厚生労働省のサイトにリンクします。

話題

◎ 「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を公表
  〜「長時間・過重労働」に関する相談が340件(47.7%)で最多〜
 厚生労働省では、先月の「過重労働解消キャンペーン」の一環として実施した「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果をまとめました。相談事例も公表されています。
クリックこちらをご覧ください 厚生労働省のサイトにリンクします。

小耳にはさんだいい話

◎ フォークリフト事故4割減少
 健康相談で訪れた事業場、そこはフォークリフトの乗務員が働く職場。フォークリフトと人との接触事故が甚大な災害をもたらすことから、独自の安全活動に取り組んでいるとのことでした。
 「フォークリフトやトラックを自分の愛車のように大切に扱う」ことを乗務員に呼びかけ、少しでも傷をつけたりしたら直ちに補修をして、いつでもピカピカの状態で使用するようにしているといいます。なずけて『愛車運動』。それが何故安全につながるかというと、所長さんいわく
 「なぜフォークリフトが傷つき汚れるのかを考えたとき、運転技術だけではなく、倉庫内のレイアウトや導線にも原因があると気付きます。危険箇所を予知し、予防的な措置を施すことで、それが災害防止にもつながっています」
 この活動は驚くべき効果を生み出し、フォークリフトに関わる事故が約4割も削減できたそうです。 “神は細部に宿る”。ふと、この言葉を思い出しました。
【穴埋めコラム めざせ衛生管理者〜過去問の実戦的解説 その20】
 今回は、労働衛生に関する問題です。
問題)
 化学部室による健康障害に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1.昨酸メチルによる中毒では、再生不良性貧血や白血病がみられる。
2.ノルマルヘキサンによる中毒では、多発性神経炎が見られる。
3.シアン化水素による中毒では、細胞内の酸素利用障害による呼吸困難や痙攣が見られる。
4.二酸化硫黄による慢性中毒では、慢性気管支炎や歯牙酸蝕症が見られる。
5.弗化水素による慢性中毒では、骨の硬化や斑状歯がみられる。
解説)
 昨酸メチルによる中毒では視神経障害が見られます。再生不良性貧血や白血病と言ったら、ベンゼンによる中毒ですね。化学物質と障害名、あるいは標的臓器の関連は、衛生管理者試験では定番中の定番です。出題される物質数はそれほど多くはありません。なんどか繰り返しているうちに憶えることは可能です。
 では、良いお年を!

土浦地域産業保健センターでは、国の補助事業として、次のような支援を行っております。
・メンタルヘルスを含む労働者の健康相談(不調者への保健指導等)
・健康診断の結果についての医師から意見聴取(有所見者の健康保持についての意見)
・長時間労働者に対する面接指導(医師等による指導)
・医師、保健師等の個別訪問による保健指導(健康相談、労働者への教育等)
H28年4月からは、これら従来の業務に加え
・小規模事業場における「高ストレス者に対する面接指導」を実施します。【新規】

※衛生管理者試験過去問の正解は1です。


発行者:独立行政法人 労働者健康安全機構
 茨城産業保健総合支援センター 土浦地域産業保健センター
発行責任者:コーディネーター 野口 清
 〒300-0052 土浦市東真鍋町2-5真鍋事務所庁舎内
  電話:029-825-2911   FAX:029-825-2912   E-mail: アドレスibarakis.johas.go.jp
※ この通信は、これまでに土浦地産保をご利用いただいた事業場に発信しております。