県南さんぽだより 第52号 

2016/9/1発行  発行所:県南地域産業保健センター  発行人:大西 慶造

三浦かをり「私の最も暑い経験」
茨城産業保健総合支援センター
副所長 三浦 かをり

私の最も暑い経験は、仕事中のことでした。私は、現在の勤務先である労働者健康安全機構へ出向する前、労働基準監督署や労働局で働いており、労働災害の調査を行うことがありました。高速道路工事に付随して発注された小道の法面工事の作業中に負傷する事故があり、職員3人で調査に行きました。私の上司である班長、私、技官の3人です。調査に立ち会ったのは、高速道路工事を請け負ったゼネコンの現場所長と数名の職員、ゼネコンの支店の安全担当者、関係請負人の作業指揮者、被災労働者の同種作業従事者、現認者など10人以上、でした。
調査を実施した時期は9月でしたので、盛夏を過ぎていましたが、山間部を通る高速道路の工事現場でしたから、無風で、直射日光が当たり、ものすごく暑い場所でした。労災事故が発生した現場は、竹林に続く山道で、高速道路を作る時には、地元住民の利便性向上のために、このような道路も併せて整備されるとのことでした。
調査は、午前中に着手し、正午過ぎまでかかりました。これほど暑いのに、誰も水を携行していませんでした。周辺には自動販売機やコンビニはなく、水道もありませんでした。
湧き水でも、近くに湧き水がありました。作業員の人たちが湧き水を飲み始め、それを見ていた私と技官も湧き水をがぶがぶ飲みました。私の上司は「飲んだらだめだ!O157に感染するかもしれない」と言い、制止しました。が、指示に従わず、制止を振り切って湧き水を飲みました。上司は湧き水を飲みませんでした。すごい忍耐力だと思いました。
湧き水を飲んでしまったことが、正しい行動だったのかどうか、わかりませんが、この場所は、サントリー山崎蒸留所の近くにあり、湧き水はとても美味しかったです。
さて、今年は「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が示されました。ますます企業の負担が増すのではなかろうかと懸念する経営者や人事部長もいらっしゃることと思います。
2人に1人ががんになると言われており、仕事を持ちながら、がんで通院している人は約33万人、がんで1か月以上休業している従業員がいる企業の割合は21%です。おそらくみなさまの職場にも、がんで治療を受けている人や休業中の人がおられることと思います。病気休暇や短時間勤務が、すでに制度化されている企業もあると思います。しかし、病気や治療方針は一人ひとり異なりますので、上司や人事担当者としては「仕事をさせてもいいのだろうか」「どのような仕事をしてもらったらよいのかわからない」と困っている方もいらっしゃるかと思います。

両立支援のためのガイドライン

両立支援のためのガイドライン

茨城産業保健総合支援センターでは、保健師1名、社会保険労務士1名を「両立支援促進員」に委嘱しています。保健師の両立支援促進員は、企業に勤務し、医療と産業保健の両方の業務に従事してきたプロフェッショナルで、管理職経験もあります。社会保険労務士の両立支援促進員は、すでに、茨城県内のがん診療拠点病院の労働相談の仕事をしている経験者です。「両立支援促進員」が企業の人事担当者や産業保健スタッフのみなさまからの個別の相談に対応します。茨城産業保健総合支援センターにご連絡ください。
茨城産業保健総合支援センター TEL:029-300-1221

【県南地域産業保健センターから】

  • これからの行事日程
    • 平成28年度龍ケ崎地区全国労働衛生週間準備打合せ会
      主催:(一社)龍ケ崎労働基準協会
      日時:平成28年9月2日(木)13時30分~16時
      場所:龍ケ崎市文化会館小ホール
      特別講演:「災害への備え」    ~被災地での取材を通して感じたこと~
      講師:流通経済大学スポーツ健康科学部教授  龍崎 孝 氏
      併催:県南地域産業保健センターの健康イベントは11時30分~特定健康相談会
      (従業員の健康管理・講話・過重面接・ストレスチェック等)

      • 血圧測定・協力産業医無料健康相談
        (当日の産業医は五十嵐 栄治先生)是非ご参加ください。
      • 10月12日(水)茨城県産業安全衛生大会
      • 10/19~10/21全国産業安全衛生大会(仙台市)
      • 11月13日(日)取手市健康まつり(ウエルネスプラザ)
      • 12月中旬 平成28年度労働衛生管理セミナー

事業主の皆様へ

事業主は、職場の定期健康診断を実施した結果、異常がある(有所見)と診断された労働者について産業医等の医師から意見を聴くことが必要です。(事業者の責務)労働安全衛生法第66条の4

  • 意見の聴取は、健康診断実施後3か月以内に行う必要があります。
  • 意見の聴取方法は、医師に健康診断個人票の医師の意見欄を記入するよう求めることにより行います。
    • 産業医の選任義務のある事業場(労働者数が50人以上の規模の事業場)においては産業医から意見を聴くこととなりますが、労働者数50人未満の規模の事業場については産業医の選任義務がないので、「県南地域産業保健センター」を活用して医師による意見を聴くことができます。
    • 「県南地域産業保健センター」のご利用は、「無料」です。
    1. 就業区分およびその内容についての意見
      就業区分 内容 就業上の措置の内容(例)
      通常勤務 通常の勤務でよいもの (特段の制限も配慮も要しない。)
      就業制限 勤務に制限を加える必要のあるもの 勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、交替作業の禁止、高所作業の禁止、就業場所の変更、深夜業の禁止、深夜業回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じる。
      要休業 勤務を休む必要のあるもの 療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。
    2. 作業環境管理および作業管理についての意見
      健康診断の結果、作業環境管理および作業管理を見直す必要がある場合には、作業環境測定の実施、施設または設備の設置、改善および作業方法の見直し、改善その他の適切な措置について意見を求めます。

労働衛生工学専門員が事業場を訪問・アドバイスします。

~職場(作業場)の改善でお困りの小規模事業場の産業保健スタッフの方へ!~
作業環境管理、作業管理の作業現場の改善の専門家「労働衛生工学専門員」が職場を訪問の上、事業場が抱える問題の解決に向けて、具体的なアドバイスを行います。

職場(作業場)が抱える問題は・・・・・

  • 改善が必要なことが多々あるが、どのような順で手を付ければ、よいか?
  • 有機溶剤の作業環境測定結果が思わしくない。効果がでる改善方法は?
  • 騒音が気になる職場。従業員が受ける騒音を低減させる工夫とは?
  • 古い局所排気装置だが、効果的に稼働させたい。そんな方法は?

費用が必要?

  • アドバイスを受けるのに一切費用は伴いません。ご利用は無料です。

労働衛生工学専門員とは・・・・

  • 労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)、第一種作業環境測定士、衛生工学衛生管理者などの専門資格を有する専門家です。

労働衛生工学専門員による個別訪問希望事業場は、県南地域産業保健センターもしくは茨城産業保健総合支援センターへご相談ください。