県南さんぽだより 第54号 

2017/9/1発行  発行所:県南地域産業保健センター  発行人:大西 慶造

龍ヶ崎労働基準監督署長 岩瀬 和夫 「黒部五郎岳」
龍ヶ崎労働基準監督署長
岩瀬 和夫  

北アルプスに黒部五郎岳という変わった名前の山があります。あまり有名な山ではありませんが、深田久弥の日本百名山にも選定されている標高2,840メートルの高山で、氷河地形のカールを有する雄大な山です。今年7月、公務員の夏季休暇制度を利用して黒部五郎岳に登ってまいりましたので、ご紹介します。
(初日)
まず北陸新幹線「かがやき」で富山に向かいます。席に配置してあるパンフレットを見ながら旅気分になって駅で買った弁当を食べていたら、わずか2時間強で富山に到着し、北陸新幹線が開業して2年以上たってからその速さに驚いているのは自分くらいかなと思いつつ富山駅で下車しました。
富山では有名なご当地ラーメンである「富山ブラック」を食べることにしました。出てきた黒いスープのラーメンを見て、これが富山ブラックかあと思っていると店員さんが「よくかき混ぜて食べてくださいね。」というので、箸で念入りにかき混ぜて食べ始めると、第一印象は「塩辛いな」でしたが、厚めの輪切りにしたネギと一緒に食べ続けていると「これもありかな」などと思い始め、満足して食べ終わり店を出ました。
夕方、富山駅前で今回の登山の同行者である百名山ハンターの友人と合流し、近くの居酒屋に入り富山のお酒である立山を飲みつつ今回の計画の再確認をしました。今回の登山は、同行者の目的は日本百名山のうち薬師岳と黒部五郎岳に登頂することで、私の目的は黒部源流の山深い稜線を縦走することです。この日は翌朝に備え、お酒もほどほどにして早めに就寝いたしました。
(2日目)
翌朝5時半、富山駅前から夏山バスに乗り登山口に向かいます。7時ころ折立登山口に着きましたが、折立の標高は約1,300メートルです。今日は標高2,926メートルの薬師岳に登って薬師岳山荘に宿泊する予定です。元マラソンランナーであった同行者と違い年に1~2回しか登山をしない私にとっては厳しい1日となりそうです。
歩き始めは急な登りが続きます。標高1,300メートル以上だというのに全身汗だくになりながら、少しずつ歩を進め辛抱すること1時間半、ようやく尾根がなだらかになって展望も開けてきました。天気が良く、遠くには名峰剣岳も見えます。同行者は喜んで写真を撮っていましたが、この時の私にはまだその余裕はありません。歩くことによって昔の勘を取り戻すまでは今しばらく辛抱です。さらに歩を進め、北アルプスの主稜線上の標高2,300メートルに建つ太郎平小屋に着いた頃には昼前になっていました。黒部源流の深い谷を挟んで対岸には、昨年登った水晶岳が見えます。景色を見ていると、来て良かったなと思える程度に余裕が出てきました。
因みに黒部源流は、映画「黒部の太陽」で有名な黒四ダムがある黒部川の源流で、周辺には、いつかは行きたいと考えている雲ノ平や高天原などがあり、私にはとても魅力的な地域です。
太郎平小屋での休憩を終えて再び歩き始め、標高2,700メートルに立つ薬師岳山荘に着いた時には午後2時前になっていました。山荘で宿泊の手続きを手早く済ませ、最小限の荷物を持って薬師岳山頂を目指します。薬師岳にも多くのカールがあり、こちらは特別天然記念物に指定されているようです。残雪のたっぷり残ったカール群を眺めながら時には残雪の上を歩いて薬師岳に登頂しました。
今日は、折立登山口から標高差1,600メートルを登ったことになります。久しぶりに登山をする中高年齢者にはかなり苦しい行程でしたが、登頂したとたんにその苦しさをすべて忘れてしまうのはいつものことです。
(3日目)
今日は念願の黒部五郎岳に登る日です。天気も良く日に焼けそうです。(実際に焼けました。)初めは、昨日来た道を太郎平小屋まで戻ります。昨日と違って下りなので、昨日の半分くらいの時間で太郎平に到着し、ここから主稜線上につけられた道に入って、黒部五郎岳を目指すのですが、登頂は昼頃になる予定です。
主稜線といっても北海道の日高山脈のように細い稜線ではありません。草原の中につけられた道を、いたるところに咲いているイワカガミなどの高山植物を眺めたり、左下遠くに見える雲の平の池塘群を見て「いつかは行くぞ」と思ったりしながらのんびりと歩いていきます。湿原状になっているところでは設置された木道の上を進み、黒部五郎岳の手前では積み重なった岩を伝って歩き、最後は急な坂道を1時間くらい我慢すると、昼ごろにようやく黒部五郎岳に到着しました。
山頂では、一時的にガスや風が出てきて景色が見えなかったので、早々に先に進むことにしましたが、次に向かうのは今夜の宿泊地である黒部五郎小舎です。稜線上のコースではなく、黒部五郎岳の東側にある黒部五郎カールにつけられたコースをたどって小舎を目指します。薬師岳のカール群は特別天然記念物ですが個人的には黒部五郎カールのほうがいいななどと思いつつ歩き、2時間弱で小舎に到着しました。
黒部五郎小舎は五郎平という広々としたところに建てられており立地条件は抜群です。1本600円もする350ミリリットル入り缶ビールを何のためらいもなく小舎で購入し、同行者と黒部五郎岳登頂を祝いました。
(4日目)
いよいよ最終日です。三俣蓮華岳、双六岳、鏡平山荘を通って岐阜県の新穂高温泉に下山する予定です。入山3日目になり体も慣れてきているので軽快に歩いていきます。初めの三俣蓮華岳への登り以外はほぼ下るだけです。残雪が多いために双六岳の先のルートが変更になっていましたが、花の写真を撮ったり、鏡平山荘のベンチでお茶を沸かして休んだり、あるいは今までの2日間と比べると格段に増えた登山者とすれ違い時にあいさつをしたりしながら歩き続け、午後3時頃に小雨の降る新穂高温泉に下山しました。
新穂高温泉では日帰り入浴施設で入浴です。日に焼けた腕や首の後ろを初めは湯につけることができませんでしたが、少しずつ慣らしていくと湯につけても痛くなくなりました。不思議なものです。日に焼けた自分の顔を見て、3日後の県南地産保協議会のことを思い出し、今後はUVカットしようと思いました。

【県南地域産業保健センターから】

  • これからの行事日程
    1. 平成29年度龍ケ崎地区全国労働衛生週間準備打合せ会
      主催:(一社)龍ケ崎労働基準協会
      日時:平成29年9月1日(金)13時30分~16時
      場所:龍ケ崎市文化会館小ホール
      内容:
      (1) 全国労働衛生週間実施要綱の説明
      (2) 産業保健活動総合支援事業の説明
      (3) 特別講演
      「ハラスメントに係る法的 トラブルの現状とその対応策について」
      講師 法テラス 牛久法律事務所  弁護士 漆川 雄一郎 氏
      ◇ 当日は、開演2時間前より県南地域産業保健センターによる健康イベント、協力産業医による健康相談会を同時に開催いたしますので、ぜひ参加ください。
    2. 茨城県産業安全衛生大会
      主催:茨城労働基準協会連合会・他
      日時:平成29年10月12日(木)13時00分~
      場所:茨城県立文化センター大ホール
      ●特別講演:「夢があるから強くなる」
      日本サッカー協会 キャプテン 川淵 三郎 氏

眼精疲労について

誰でもが経験したことがあるでしょう。目のつかれは、パソコンの作業や読書など、細かい物を見る作業を長時間続けると、目の疲れだけでなく、時には肩凝りや頭痛まで引き起こします。こうした、目の酷使による症状全般を眼精疲労といいます。
眼精疲労の原因は個人によって違いがあります。近視、遠視や乱視の人が眼鏡、コンタクトレンズを使っている場合は、その度数があっていないケースが多いです。また、軽度の斜視が隠れている場合や、ドライアイが原因のこともあります。
例えば、景色を何時間眺めていても目はつかれませんよね。私たちは普段、遠くのものがよく見える状態で生活しています。その状態から、パソコンや本の文字などを見ようとすると、ピントを近くに寄せるために「毛様体筋」という目の筋肉を使うことになります。
目の酷使により、この筋肉が疲れているのに、さらに目の作業を続けていると、指令を出している神経がより興奮して、頭痛や肩凝りを引き起こすといわれています。
防止対策は、長時間にわたり、連続して目の作業をしないようにすることです。パソコン作業や読書を1時間したら、10分程度の休憩を取りましょう。そして、眼鏡やコンタクトレンズの度数を近くのものが楽に見える度数に変更してみてください。
眼鏡をかけてない人は近くを見るための眼鏡を作ることも一つの方法です。そして睡眠を十分に取り、目を休めてあげてください。 目は命の次といってもいいくらい大切な器官です。日頃から目をいたわって、いつまでも守ってください。
休憩と睡眠を十分にとり、健康な目で健康な毎日を!