3-1 健康診断について(i~ii)
ⅰ 全般
この度、産業医を選任することとなりました。従来から健診機関に健康診断を依頼して実施していましたが、今後、健康診断は産業医に依頼しなければならないのでしょうか。
A3-ⅰ-1.
事業者は、労働安全衛生法第66条の規定に基づき、常時使用する労働者を雇い入れる際、及び1年以内ごとに1回定期、医師による健康診断を実施しなければなりません。
ここでいう「医師」は、必ずしも産業医をさすものではありませんから、健康診断を従来どおり健診機関に委託して行っても差し支えありません。
但し、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者(いわゆる「有所見者」)については、健康診断を担当した医師が「異常なし」「要観察」「要医療」等の区分を判断する(「医師の診断」)のとは別に、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、健康診断の行われた日より3ヶ月以内に医師や歯科医師の意見(「医師等の意見」)を聴取しなければならないことになっており、ことでいう医師とは産業医を想定しています(平成8年9月13日 基発第566号)。
つまり、事業者は、健康診断の結果、有所見がいた場合には、作業環境、労働時間、労働密度、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果等の当該労働者に関する情報や職場巡視、労働者との面接の機会等を産業医に提供し、「通常勤務」「就業制限」「要休業」と就業上の区分や作業環境管理及び作業管理についての意見を求め、健康診断個人票に記載しなければならないことになっています。
ちなみに、産業医の選任義務がない常時49人以下の労働者を使用する事業場においても、「労働者の健康管理等を行うに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見を聴くことが適当である」(前同通達)とされ、地域産業保健センターを活用することが望まれています。
したがって、健康診断を健診機関や産業医以外の医師に委託して行う場合であっても、労働者の健康管理について最後の判定は産業医が行うということになり、事業者は産業医の意見を踏まえ、具体的な措置を講じることになります。
健康診断結果報告書に産業医の確認欄がありますが何故でしょうか。健康診断を行った医師の確認では駄目でしょうか。
A3-ⅰ-2.
事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければなりません。
そして、常時50人以上の労働者を使用する事業者の場合は、ご質問の定期健康診断結果報告書(様式第6号)を所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。
では何故、この定期健康診断結果報告書に健康診断を行った医師ではなく、産業医のの確認が必要なのでしょうか。
産業医とは、職場で働く人々が少しでも健やかに少しでも長く労働できるよう、健康管理を担当する医師のことです。
健康診断を担当する医師は、健診結果に基づいて「異常なし、要精密検査、要治療」など一般的な判断を行うことはできます。
これに対し、産業医の職務は、職場の作業環境の改善を通して快適職場づくりを応援することにあり、例えば、一つの疾病について治療を行うだけでなく何が疾病の要因となったのか、その要因による影響をコントロールし健康を回復させるにはどうすればよいか、同じ職場に多発しているとすれば、それは職場環境に原因があるのか…ということを考えることを職務としています。
そのうえで、労働者の適正配置を上司に助言するか、労働者が置かれている職場環境を経営者に報告して改善策を考慮してもらったりもします。
このため、健康診断結果については産業医が意見を述べることになっており、監督署に対する健康診断結果報告書-これは単に結果報告であり、適正配置云々まで報告するものではありませんが-産業医がきちんと関与しているかどうかを判断するため、産業医の氏名・押印欄があるのです。
従業員の健康診断を行いますが、どこで受けるのがよいでしょうか。決まりのようなものはあるのでしょうか。
A3-ⅰ-3.
従業員の健康診断は、労働安全衛生規則に定める項目について検査ができる機関であれば、病院、診療所、健康診断機関又は総合的な労働衛生をサービスしている機関など、どこで受診してもけっこうです。なお、検査項目は、今年4月から始まった「特定健診制度」に伴い、新しく「腹囲」「LDLコレステロール」が追加になり、「総コレステロール」が廃止されていますから、お申込の際には確認された方がよいと思います。
しかし労働安全衛生規則に基づく健康診断業務を行う健康診断機関だけでも、全国には1,000以上あるそうです。どこで受けたらよいか迷う場合もありますが、以下のような点に留意して、健診機関を選んだらよいでしょう。
専門の健康診断機関などは、健診車を持っていて巡廻健診に応じてくれます。つまり、いちいち病院等に足を運ぶ必要がありませんから、生産性のロスを少なく抑えるなどのメリットがあります。ただ、同じ日に全員が揃うとは限りませんから、コスト面よりも受診率アップのために、検診車での受診を取りやめ、医療機関に受診させるところもあります。
小さな事業場では、必ずしも希望した日に健診車が来てくれるとは限りませんから、むしろ地域の病院や診療所で受診した方が効率的な場合もあります。
次に、産業医がいない場合などは二次健診はもとより事後措置や保健指導、コンサルタント業務まで、事業者の求めに応じた幅広い支援ができるかどうかもポイントになるでしょう。
また専門の健康診断機関などは、大量の受診者に対応するため、場合によっては検査の精度が劣ったり、疾病を見落とす危険性を心配される方もいます。そうした場合は、第三者による「臨床検査精度管理事業」に参加している機関を選択するとよいでしょう。各種臨床検査の精度管理評価は、施設の測定値の正確さを評価する上で重要なものです。
精度管理調査の評価結果は、次のホームページ等で確認することも可能です。
健康診断を実施するのに要する費用については、事業者が負担すべきものとされていますが、再検査・精密検査等の費用についてについては、労働者本人に負担させてもよいのでしょうか。
それとも安全配慮義務の履行のため、事業者負担とすべきでしょうか。
A3-ⅰ-4.
ご承知のとおり、健康診断を実施するのに要する費用については「(労働安全衛生)法により、事業者に健康診断の実施が義務づけられている以上、当然に事業者が負担すべきもの」(昭47.9.18基発第602号)とされており、労働者に負担させることは認められておりません。
では定期健康診断で異常が見つかり、再検査・精密検査等が必要とされた場合ですが、現状では法律上に根拠規定がありませんので、通常、労使協議等の任意の取扱いに委ねており、結果として労働者本人に負担させてもよいことになっています。
ただし、会社には安全配慮義務がありますから、健康診断の結果、従業員が何らかの疾病にかかっている疑いなどが明らかになった場合には、事業主がどのような対応を取るのかは極めて重要です。
労働安全衛生法上も、有所見とされた従業員については医師の意見を聞くことが必要であるとされており(66条の4)、当然、その意見を尊重して当該従業員に対する適切な職場安全配慮の措置(勤務時間の短縮・変更、勤務内容・勤務場所の変更、休業等)を講ずることが求められます(66条の5)。
従いまして、実際に再検査・精密検査なりを受けることを事業者が強制できるものではありませんが、すくなくとも精密検査を受けることのできる職場環境を整備したり、再検査等を拒否する従業員に対しては、積極的に受診を働きかけるなどの努力は必要です。
特に長時間残業を行っている従業員については、健康診断の結果何らかの所見があったりした場合には、労働者本人が必要な精密検査や医療を受けるまでは残業をさせない等の措置などにより、労働者(同時に会社の)リスクを減らしていかなければなりません。
また、脳・心臓疾患等生活習慣病の予防・増悪防止にあたっては、これら再検査等の勧奨と事後措置の徹底のほか、生活習慣病予防のための行動変容等、労働者本人の自覚を促す取り組みも不可欠です。
健康診断の個人票は、本人に原本を渡すのか?会社が保管するのか?
A3-ⅰ-5.
労働安全衛生法の健康診断は会社に義務付けられているため、会社の費用で実施し、原本は会社が保管します。 本人にはコピーなどを渡します。
労働者が50人未満の事業場で、産業医がいません。 健康診断実施後に医師からアドバイスをもらって、労働者に指導をしたいと考えています。よい実施方法がありますか。
A3-ⅰ-6.
50人未満の事業場では、地域産業保健センターが活用できます。地域産業保健センターでは、健康相談窓口の開設や事業場への個別訪問により、健康診断結果に基づいた健康管理の方法などについて医師や保健師が指導、助言をしています。無料で利用できますので、お近くの地域産業保健センターにお問い合わせください。
茨城県内の地域産業保健センターは、► こちら
産業医がいる事業場ですが、産業医以外の医師が健康診断を実施しました。個人票に産業医が見たというサインや押印は必要ですか。
A3-ⅰ-7.
健康診断の個人票には、健康診断を実施した医師の署名・押印は必要ですが、産業医以外の医師が健康診断を実施した場合には、産業医の署名・押印等は必要ありません。 ただし、健康診断の結果報告書には、産業医の署名・押印が必要となっています。
ii 一般健康診断
入社予定日以前3ヶ月以内に健康診断を受診した者が、その結果を証明する書類を会社に提出した場合は、あらためて雇入れ時の健康診断を行う必要はないと聞いていますが、それでよろしいのでしょうか。
AQ3-ii-1.
結論から言えばそのとおりです。
雇入れ時の健康診断は、労働安全衛生規則第43条にもとづき、「常時使用する労働者を雇入れるとき」に実施するものとされていますが、同条但し書きに「医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目については、この限りでない」とあります。
しかし、この但し書きの規定を理由に(曲解して)、新規学校卒業者の採用選考時に、いわゆる「血液検査」を含む健康診断を一律に実施し、こうした採用選考時の健康診断をもって雇入時の健康診断に当てるケースが見受けられますが、これには問題がないとはいえません。
ご質問の「雇入時の健康診断」は、常時使用する労働者を雇入れた際における適性配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務づけたものではなく、ましてや応募者の採否を決定するために実施するものではないからです。
こうした健康診断の必要性を慎重に検討することなく、採用選考時に健康診断を実施することは、応募者の適性と能力を判断する上で必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれもあります。
厚生労働省でも、「採用選考時にいわゆる「血液検査」等の健康診断を実施する場合には、健康診断が応募者の適性と能力を判断する上で真に必要かどうか慎重に検討していただきますようお願い」(平成5年5月10日付け事務連絡)しいるところであり、最近は、採用選考時の健康診断を実施しない企業もあります。
また、入社予定日前に健康診断を実施したとしても、それは雇い入れを前提に、従業員に実施する健康診断と同様の位置づけで実施すべきものであって、その結果、何らかの疾病が見つかった場合には、治療するよう指導するか、仮に業務に就けないほどの病状であれば内定取消の理由にもなりうると考えるのが正しいと思います。
従業員から「人間ドックを受けるので、定期健康診断ではやらなくていいですか?」との問い合わせがありました。
この様な場合は、本人の希望どおり定期健康診断は実施しなくてもよいのでしょうか。
またこの場合は、人間ドックを実施した病院から、結果をもらう必要があるのでしょうか。
A3-ii-2.
労働者を使用する事業主には、安全衛生法に定められた健康診断を実施することが義務付けられていますので、原則としては、従業員が事業主が実施する健康診断以外によそで健康診断や人間ドックなど(以下「他で健康診断等」といいます)を受けても、それでもって事業主の責務が免除されるものではありません。
しかし、健康保持増進のための健康測定、健保組合が行う成人病検診、人間ドック又は通院時の検査などが、事業主による健康診断に近接した時期に行われていた場合は、改めて健康診断を行うことは労働者の負担(経済的にも、生体に対しても)を増大することにもなりかねません。
このため、近接した時期に行われた他の健康診断等に、法で定める健康診断に相当する内容が含まれているときは、それを利用することも考えてよいと思います。といいますのも、労働安全衛生法第66条5項に次のような規定があるからです。
第66条5項「労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。」
つまり、従業員側の事情で会社の定期健康診断を受診せず、独自に健康診断を受けた場合には、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは事業者が行なう健康診断を受けなくともよいということを規定しています。
但し、従業員が自主的に受けた健診結果のデータを、そのまま会社の健康診断として利用するのが適当かどうかは、一応、産業医の専門的な観点からの意見を聴いておいたほうがよいでしょう。
このほか個人情報保護の観点から注意すべきこととして、人間ドック等の結果を本人が自発的に提出する場合は問題ないのですが、人間ドックを実施した病院或いは健保組合等からデータを求める場合には、病院等として本人の同意を取り付けておくことが必要です。
また事業者は、利用した人間ドックのデータについては、法に定められた健診結果として記録し保存する義務があります。
なお、人間ドックの結果には法定外の項目が多く含まれています。法定健診項目について事後措置を行うのは当然ですが、法定外項目について結果の提供を受け、事業主がそれを知った場合は、その範囲においても健康配慮義務の遂行を求めるという考えがあることも考慮する必要があります。
当社では、深夜勤務を行う従業員(特定業務従事者)の健康診断を年に2回、4月と10月に実施しています。
ところが11月から12月が業務の繁忙期にあたり、長時間の残業を行う者もいて、健康を害さないか心配です。そこで、2回目の健康診断を10月でなく12月とすることは可能でしょうか。
A3-ii-3.
定期健康診断の実施時期について、法令では「1年以内ごとに1回、定期に」又は「6月以内ごとに1回、定期に・・・行わなければならない」と規定しています。
このことについて、「定期とは、毎年一定の時期に、という意味であり、その時期については各事業場毎に適宜決めさせること」(S23.1.16基発第83号、S33.2.13基発第90号)という通達が出されており、多くの企業では、実施する月を決めて健康診断を行っているのではないでしょうか。
ご質問のケースでは、これを4月と10月と決めていらっしゃいますが、4月と12月とでは8ヶ月も間隔が開いてしまい、「6月以内ごとに1回」の要件に抵触する可能性があります。
たしかに、健康診断については「一定の時期に」に実施すればよいものですから、どうしてもやむを得ない事情があって、かつ健康管理上問題がないと産業医等が判断する場合には、1~2ヵ月程度の時期の変更は問題ないものと考えられます。但し、そのことを許容した行政通達等はありませんので、正しい解釈かどうかは自信ありません。
また、どうしても次の健康診断までの期間が長すぎる場合は、別途その間に、必要な項目係る健康診断を実施するのが望ましいのではないでしょうか。
育児休業中で、定期健康診断を受診しなかった労働者がいました。このような育児休業中の労働者に、定期健康診断を受けさせる事業者の義務はあるのでしょうか?
A3-ii-4.
労働安全衛規則は「事業者は常時使用する労働者に対して医師による健康診断を行わなければならない」と規定しています。
休業中の労働者について、これを適用除外する規定はありませんので、原則的に健康診断の対象となります。
しかし、厚生労働省労働基準局長から通達(平4.3.13 基発第115号「育児休業等により休業中の労働者に係る健康診断の取扱いについて」)が示されていて、育児休業や療養等により休業中の労働者に係る労働安全衛生法の健康診断(定期一般健康診断のほか、特殊健康診断などが含まれます)やじん肺法の定期健康診断及び指導勧奨による特殊健康診断の取扱いについて、「定期健康診断を実施すべき時期に、労働者が、育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくてもさしつかえないものであること。」としています。
従いまして、育児休業中に定期健康診断の実施期間がきても、実施しなくても問題はありませんので、ご安心ください。
但し、同通達では「労働者が休業中のため、定期健康診断を実施しなかった場合には、休業終了後速やかに当該労働者に対し、定期健康診断を実施しなければならないものであること」ともいっておりますので、復帰したら速やかに健康診断を実施してください。
ちなみに定期健康診断の目的は、単なる異常・正常の篩い分けだけではありません。
もちろんスクリーニングも大切ですが、身体の形態、心身機能及び健康状態を継続的に観察することにより、異常を発見したときの評価と判断の重要な基礎データにもなります。
また、健康上の異常や疾病を早期に発見した場合、保健指導及び健康相談などの医療上或いは健康支援の措置のほかに、就業禁止(休業や配置転換)や就業制限(作業内容や作業時間の制限)などの就業上の措置を講じ、適正な就労を確保するためにも大切なものです。
さらには、設備、工程、作業方法、原材料及び労働条件などの調査により、健康への有害因子を見出し、健康障害の業務上起因性や業務影響製を追求していくにも健康診断は重要です。
余談になりましたが、せめて年1回の健康診断です。一度機会を逃すと2年間もの間、健康診断を受けずに過ごさなければならなくなる可能性もあります。定期健康診断の重要性・必要性をご理解のうえ、確実な実施をお願いします。
50名未満の事業場は、一般健康診断の結果報告書の提出義務がありますか?
A3-ii-5.
一般健康診断の提出義務はありませんが、有機溶剤健診等の特殊健診については50名未満でも提出が必要です。
深夜業従事者の健診は、一般健康診断とは別に行わなければならないのでしょうか。
A3-ii-6.
労働安全衛生規則第45条(特定業務従事者の健康診断)において、第13条第1項第2号に掲げる業務(深夜業を含む、イ~カまでの業務)に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回、定期に、第44条(定期健康診断)の健診項目を行うことになりますが、胸部エックス線検査については、1年以内に1回、定期的に行えばよいとされています。
産業医です。労働安全衛生法に基づく一般健診の結果について、心電図結果が「ブルガダ症候群」、指示事項が「経過観察」とそれぞれ記載されています。健診結果に基づく就業上の措置に関する意見についてどのような意見を述べればよいのでしょうか。
A3-ii-7
ブルガタ症候群はTypeⅠとTypeIIがあります。
ブルガタ症候群の治療は埋め込み方自動除細動器の埋め込みしかありません。
埋め込みの適応はTypeIかつ
(1) 失神の既往
(2) 突然死の家族歴
(3) 電気生理検査で心室細動が誘発される場合
となります。
逆に、TypeⅠで上記に当てはまらない場合および、TypeIIの場合は、積極的な治療は行われず経過観察となります。
健康診断結果では、心電図を見た医師が指示事項として「経過観察」を記載しています。この場合、一般健康診断の産業医意見として、通常勤務可ということになります。
私が健康診断の判定をする医師(産業医ではありません)ならば、初見でTypeⅠを発見したら「要精密検査」を直ちに指示します。
TypeIIならば、高位肋間心電図をとり異常なく、問診上失神の既往がなく家族の突然死が無ければ「経過観察」とします。
健診結果をそのまま受け入れることに不安があれば、心電図をとって、本人の問診を行い、更なる検査が必要かどうかを考えて、全ての検査を実施してから記入することになりますが、通常ここまではしないのではないでしょうか。
深夜業に従事する派遣労働者について、一般健康診断の結果に基づき産業医から意見を聴いたところ、深夜業の回数を減らすことを指示されました。派遣元としてはどのように対応すればよいのでしょうか?
A3-ii-8
派遣労働者の就業上の措置については、派遣元事業主及び派遣先事業主が連携して実施すべき事項です。
通達「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」では、
派遣元事業者は、一般健康診断の結果に基づき派遣労働者に対し就業上の措置を講ずるに当たって、派遣先の協力が必要な場合には、派遣元事業者は、派遣先事業者に対して、当該措置の実施に協力するよう要請することとし、派遣先事業者は、派遣元事業者から要請があった場合には、これに応じ、必要な協力を行うこと。 この場合において、派遣元事業者は、派遣先事業者への要請について、あらかじめ、当該派遣労働者の同意を得なければならないこと。
とされています。
血糖検査をヘモグロビンA1cで代替していますが、平成30年4月1日以降は代替できなくなるのでしょうか?
A3-ii-9
平成20年基発0117001号においては、定期健康診断においては、従来から空腹時血糖を中心に検査を行ってきており、今後も空腹時血糖を測定することとするのが望ましいが、受診前に摂食した者等、随時血糖の測定を行わざるをえない場合には、HbA1c検査で代替させることも可能であるとされていましたが、 労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会の検討を踏まえ、平成30年4月1日以降の血糖検査は空腹時血糖又は随時血糖が健康診断項目となりました。