6 作業管理について

Q6-1. 使い捨て式防じんマスクに記載されている使用限度時間とは
Q6-1.
使い捨て式防じんマスクに記載されている使用限度時間について、どのようにして決めていますか。

A6-1.
使い捨て式防じんマスクは、フィルターが粉じんマスクの面体を兼ねていて、メンテナンスの手間もなく、軽量で使いやすいため、軽粉じん作業などで広く使用されています。
この使い捨て式捨て防じんマスクには、「13時間」とか使用限度時間が記載されていますが、これは労働安全衛生法第42条の規定に基づく規格により定めたものではなく、各メーカーが独自に定めたもので、使用にあたっての法的な拘束力はありません。
実際の使用限度時間、つまりろ過材を有効に使用することのできる時間は、作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況及び濃度に影響を受けます。たとえば、吸気抵抗上昇値が高いものほど目詰まりが早く、より短時間で息苦しくなることから、有効に使用することのできる時間は短くなります。
従いまして、使用限度時間に達しなくとも、やぶれや型くずれ、湿り、または著しい汚れを起こした場合、目詰まりなどによって息苦しさが感じられるような場合には、新しいものと交換します。
また、石綿、ひ素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材について1回使用ごとに廃棄する必要があります。
ここで注意しなければならないことは、防じんマスクは一般に粉じん等を捕集するに従って吸気抵抗が高くなりますが、RS1、RS2、RS3、DS1、DS2又はDS3※の防じんマスクでは、オイルミスト等が堆積した場合に吸気抵抗が変化せずに、急激に粒子捕集効率が低下するものがあります。
このような場合は、吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないことが大切です。
防じんマスクの選択・使用等に当たっては、衛生管理者等の労働衛生に関する知識及び経験を有する者のうちから、各作業場ごとに防じんマスクを管理する「保護具着用管理責任者」を事業者が指名し、防じんマスクの適正な選択、着用及び取扱方法について必要な指導を行わせるとともに、防じんマスクの適正な保守管理に当たらせるようにしましょう。
Rはリプレイサブル(取替え式)、Dはディスポーザブル(使い捨て式)の意味です。またSは試験粒子に固体の塩化ナトリウム(NaCl)を使用していることを意味し、数字は防じんマスクの捕集効率区分を表します。1は80%以上、2は95%以上、3は99.9%以上の粒子捕集効率性能を持っています。