事務所の照度基準(JIS Z9110-2011)

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事務所の照度基準:労働安全衛生規則とJISのどちらが優先?

照度については、労働安全衛生規則の基準とJISの基準に大きな開きがありますが、どちらの基準を優先すればよいのですか。? という問合せが寄せられます。
答えは、『労働安全衛生法が優先されます。』
労働安全衛生法第1条では、『職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること』を目的とし、労働安全衛生法第3条では事業者の責務として『事業者は単にこの法律で定める労働災害防止のための最低基準を守るだけではなく…』とし、あくまで『最低照度』を示しているにすぎません。JISの照明基準は、作業内容や空間の用途に応じた『推奨照度』を定めているものです。

【理由】

労働安全衛生規則第604条(照度)の規程は、労働者が作業を行う場所の作業面について、その明るさが不足することによる眼精疲労や視力の低下といった健康障害と共に、作業ミスや標識の見落とし、合図の不徹底などによる災害の原因を作るなど危険であることから、その作業区分に応じて最低限の照度を確保すべきことを定めたものです。
照度の基準については、旧労働安全衛生規則第195条において、精密な作業、普通の作業及び粗な作業については、それぞれ100ルクス以上、50ルクス以上及び20ルクス以上と規程されていましたが、昭和47年規則が制定された際、日本工業規格(JIS)等を参考に、それぞれ300ルクス以上、150ルクス以上及び70ルクス以上として改正されました。
この日本工業規格は、東日本大震災による夏の電力需給対策として、平成23年6月にはより低い照度の利用促進策として、改正前の照度範囲のほぼ中央値に当たる推奨照度値に加え、どの程度の範囲で照度値を上げたり、下げたりしてよいのかの照度範囲が明示されました。
※最新のものはJIS規格のHPにてご確認下さい。

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)

第3編 衛生基準  第4章 採光及び照明
(照度)第604条
事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の左欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の右欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。

作業の区分 基 準
精密な作業 300ルクス以上
普通の作業 150ルクス以上
粗な作業 70ルクス以上

日本工業規格は平成23年6月、照度範囲のほぼ中央値にあたる推奨照度値に加えて、どの程度の範囲で照度値を上げたり、下げたりしてよいかの範囲が明示されました。