2021年3月号『燃え尽き症候群』

メンタルヘルス不調の一つに、「燃え尽き症候群」というものがあります。それまで使命感をもって一つの物事に集中的に取り組んでいた方が、急に燃え尽きたようにやる気を失って社会に適応できなくなった状態です。
一生懸命働く社員ほどこの症状をまねきやすいとも言われていますが、突然の離職につながることも多く、貴重な人材を失うことにもなりかねません。予防や対策が望まれるところです。


1 燃え尽き症候群の症状

 うつ病の一種とも考えられていますが、内服治療後に仕事に復帰しても、仕事のスタイルを変えなければ再び同じ状態になってしまうこともあります。下記のような急な変化が見られたら燃え尽き症候群かもしれません。周りの方もしくはご自身に下記のような症状の方はいらっしゃいませんか?

  ・急に欠勤や遅刻が増える
  ・イライラする
  ・やる気が起きない
  ・朝起きられない
  ・お酒の量が増える
  ・人とのコミュニケーションをうまくとれなくなる

 

2 原因やリスクの高い職種

 一つのことに集中して頑張りすぎることが原因としてあげられます。
「頑張ること」は大事なことですが、過度になると慢性的な疲労状態が続き、心身の限界を超えてしまいます。医療や福祉の業務・教師など対人サービスを仕事にしている方に多いとも言われています。このような職種は心のエネルギーをたくさん必要とする仕事なのに、人が相手なので努力に見合った成果が得られないことが多く、それがストレスになってしまうことがあります。

 

3 対処方法

 企業としては、社員が不調を予防できるように研修を実施することや、いろいろな機会を利用して繰り返しセルフケアについての啓発を行うことが重要です。また環境の改善も必要な場合もあります。
この症状は、段階的に進行していくものなので、気が付いた時点で、早めの対処をすることが重要になってきます。今までの自分の考え方のパターン・行動パターンを変えることが、セルフケアになります。

 セルフケアのポイント

  方法 解説
1 兆候に早めに気づく 症状について知識を持ち自分を客観的に見て自覚をする。
2 仕事とプライベートの境界をはっきりとする 仕事とプライベートの境界線がないことは強いストレスの原因ともなる。プライベートのときは仕事のことを思い出さないように勉めることが一番ですが、切り替えがうまくいかないときは、掃除をするなど全く別の作業に夢中になるとよい。
3 息抜きをする 趣味に没頭する。友人や家族とたくさん会話をするなど。
4 バランスの取れた食事を心がける 偏ったものばかり食べないことで体調が整う。
5 適度な運動をする 運動することで、自律神経のバランスがとれる。散歩やウォーキング、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かすとよい。
6 睡眠をしっかりとる 熟睡することで身体と精神の両面の回復を促す。

 

 自分を褒めてあげて、頑張り過ぎないことが長続きの秘訣ですね。

 


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