新『VDT作業ガイドライン』

茨城産業保健総合支援センター
(さんぽいばらき 第15号/2002年09月発行)

平成14年4月に新しく「VDT作業のガイドライン」が示されました。

対象となる作業は、事務所において行われるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT(Visual Display Terminals)機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業)です。
ガイドラインの概要(労働衛生管理)は以下のとおりです。

VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン
(平成14年4月5日付け基発第0405001号)

作業環境管理

作業者の疲労等を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、照明、採光、グレアの防止、騒音の低減措置等について基準を定め、VDT作業に適した作業環境管理を行うこと。

表1 ディスプレイ上等の照度
ディスプレイ画面上:500ルクス以下
書類上・キーボード上:300ルクス以上

 

  1. 作業時間等
    1. 作業時間管理(※表2を参照)
      作業者が心身の負担が少なく作業を行うことができるよう、作業時間、作業休止時間等に ついて基準を定め、作業時間の管理を行うこと
    2. 業務量への配慮
      作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない 適度な業務量となるよう配慮すること。
  2. VDT機器等の選定
    VDT機器等、関連什器については、基準に適合したものを選定し、適切なVDT機器等を用いること。
    VDT機器等⇒デスクトップ型機器、ノート型機器、携帯情報端末、ソフトウェア、椅子、机(又は作業台)
作業管理
表2 作業時間管理基準
一日の
作業時間
他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施すること等により、一日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。
一連続
作業時間
1時間を越えないようにすること。
作業
休止時間
連続作業と連続作業との間に10~15分の作業休止時間を設けること。
小 休 止 一連続時間内において1~2回程度の小休止を設けること。
  1. VDT機器等の調整
  2. VDT機器等及び作業環境の維持管理

健康管理

  1. 健康診断等
    VDT作業に新たに従事する作業者に対して、作業の種類及び作業時間に応じ、配置前健康診断を実施し、その後1年以内ごと1回定期に、定期健康診断を行うこと。
表3 作業の種類と作業時間に応じた健康診断項目
作業区分 作業の
種類
作業時間 配置前健康診断
(新たにVDT作業を行う場合)
定期健康診断
(1年以内毎に1回)
A 単純
入力型
拘束型
1日4時間
以上
イ、業務暦の調査
ロ、既往歴の調査
ハ、自覚症状の有無の調査(問診)
ニ、眼科学的検査
 A.視力検査
  a.5m視力の検査
  b.近見視力の検査
 (50cm又は30cm視力)
 B.屈折検査
 C.眼位検査
 D.調節機能検査
ホ、筋骨格系に関する調査
 A.上肢の運動機能、
圧痛点等の検査

 B.その他医師が必要と認める検査
イ、業務暦の調査
ロ、既往歴の調査
ハ、自覚症状の有無の調査(問診)
ニ、眼科学的検査
 A.視力検査
  a. 5m視力の検査
  b.(b)近見視力の検査
 (50cm又は30cm視力)
 B.その他医師が必要と
認める検査

ホ、筋骨格系に関する調査
 A.上肢の運動機能、
圧痛点等の検査

 B.その他医師が必要と認める検査
B 単純
入力型

拘束型
1日2時間
以上
4時間未満
イ、ロ、ハの調査及び二の検査を実施し、医師の判断により必要と認められた場合にホの検査を行うこと。 イ、ロ、ハの調査及び二の検査を実施し、医師の判断により必要と認められた場合にホの検査を行うこと。
監視型、
対話型

技術型、
その他の型
1日4時間
以上
C 単純入力型
拘束型
1日2時間
未満
自覚症状を訴える作業者に対して作業区分Aと同様の健康診断を行う。 自覚症状を訴える作業者に対して作業区分Aと同様の健康診断を行う。
監視型、対話型
技術型、その他の型
1日4時間
未満
  1. 健康診断結果に基づく事後措置
    健康診断の結果に基づき、産業医の意見を踏まえ、必要に応じ有所見者に対して保健指導等の適切な措置を講じること。また、作業方法、作業環境等の改善を進め、予防対策の確立を図ること。
  2. 健康相談
    メンタルヘルス、健康上の不安、慢性疲労、ストレス等による症状、自己管理の方法等についての健康相談の機会を設けるよう努めること。
  3. 職場体操等
    就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等を行うことが望ましいこと。

労働衛生教育

VDT作業に従事する作業者及び当該作業者を直接管理するものに対して労働衛生教育を実施すること。また、新たにVDT作業に従事する作業者に対しては、VDT作業の習得に必要な訓練を行うこと。

配慮事項

高齢者、障害等を有する作業者及び在宅ワーカーに作業者に対して必要な配慮を行うこと。

表4 VDT作業の型の概要
作業の型 作業の概要 作業の例
単純入力型 すでに作成されている資料、伝票、原稿等を機械的に入力していく作業(CADへの単純入力を含む)。 データ、文章等の入力
拘束型 コールセンター等における受注、予約、照会等の業務のように、一定時間、作業場所に在籍するよう拘束され、自由に席を立つことが難しい作業。 受注、予約、照会等の業務
対話型 作業者自身の考えにより、文章、編集、修正等を行う。
データの検索、照合、追加、修正をする。
電子メールでの受信、送信等を行う。
窓口での金銭出納を行う。
文章、表等の作成、編集、修正等データの検索、照合、追加、修正電子メールの受信、送信、金銭出納業務
技術型 作業者の技術等により、コンピューターを用い、プログラムの作成、修正を行う。
コンピューターの支援により、設計、製図等を行う作業(CAD業務等において、主に機械的に入力する作業を行う場合は、単純入力作業型に分類する。)
プログラミング業務
CAD業務
監視型 交通等の監視の業務のように、常にディスプレイに表示された事項、画像等を監視する必要のある業務。 監視業務
その他の型 携帯情報端末の操作、画像診断検査等の業務のように、ディスプレイを備えた機器を操作する必要のある各種の作業。 携帯情報端末の操作、画像診断検査等

 

表5 作業の種類と作業時間による作業区分
作業の種類 作業時間 作業区分
単純入力型、拘束型 4時間以上 A
単純入力型、拘束型 2時間以上4時間未満 B
対話型、技術型、監視型、その他の型 4時間以上 B
単純入力型、拘束型 2時間未満 C
対話型、技術型、監視型、その他の型 4時間未満 C