2022年4月号『胃腸のケアは全身のケア』

何となく胃や腸の調子が悪い…、という方はいらっしゃいませんか?
 胃や腸は、ちょっとした食事の変化やストレスに影響を受けやすいデリケートな器官なので、食べすぎ、飲みすぎ、疲れ、ストレスが溜まっているときなど、比較的早い段階で、何らかの症状を示して私たちに身体の異常を知らせます。

 特に、腸をケアすることは、免疫力(感染症やがんなどの病気と戦う力)を上げることに繋がります。→健康保健だより2020年5月号「免疫力は上げられます」参照


1.胃の不調

 原因は、食べすぎ、飲みすぎ、偏った食生活、早食い、ストレス、加齢に伴う機能の低下と言われています。精神面とのつながりも強く、ストレスがかかると、胃液の分泌をコントロールしている自律神経が乱れ、胃液のバランスを崩し胃酸が多く分泌されることで、粘膜に炎症を起こし、痛みが生じたりします。ストレスなどの原因を放置しつづけると、慢性胃炎や、胃の層に傷がつく胃潰瘍にもなりかねません。

 

2.腸の不調

 腸の不調の代表的なものは、便秘と下痢です。一般的に便秘は3日以上排便がない状態をいいます。腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱いことや、いきむ力が弱いことなどが原因としてあげられます。

 女性は男性よりも便秘になりやすい傾向です。腹筋が男性より弱いため、便を送り出す大腸の力が弱いことや、女性ホルモンが体に水分をため込むように指示を出すので、水分が不足し便が固くなる、又、体形を気にして、食事量を減らそうとすると、直腸に便がたまらず便意を催さないなどがあげられます。

 下痢は、便が送られるスピードが上がり、水分が十分吸収されないまま排出されるためです。水分やアルコールの過剰摂取、大食い、ウイルス性腸炎、ストレスによる自律神経の乱れなどが原因として挙げられます。

 腸は、ストレスから大きく影響を受ける器官とも言えます。

 

3.胃腸の調子を整えるには

①よく噛んで食べる

 よく噛むことで、食物が唾液と混ざり合い消化されやすくなります。

②決まった時間に食事をとる

 ちょこちょこ食べていると、胃での消化吸収力が低下して胃もたれなどを起こします。

③胃腸にやさしい食材や料理を食べる

 消化の良い食べ物の「おかゆ」が、胃に滞在する時間は、約1時間半と言われています。それに対し、脂肪の多い肉や揚げ物は、約4時間です。

 胃もたれの時には、胃の粘膜を整えてくれるビタミンUが含まれる、キャベツ、セロリ、レタス、ブロッコリーなどを、便秘解消には、食物繊維が豊富な、きのこ類、いも類、野菜を摂ることをおすすめします。

④生活習慣を整える

 胃腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。自律神経を整えるためには、睡眠時間の確保、規則的な生活、適度な運動、禁煙が大事です。

 自律神経の機能は、10代をピークに右肩下がりに衰えます。若い頃と同じような生活を続けると、自律神経は疲弊してしまうので、日頃から自律神経に優しい生活を意識すると、胃腸だけでなく、全身の調子が良くなります。

⑤ストレス解消

 ストレスは、自律神経を刺激し、身体を常に緊張状態にさせ、胃腸の不調を引き起こします。おすすめのストレス解消法は、ウォーキング、雑談をして笑う、甘いものを食べる、太陽の下で体を動かす、などです。どれも科学的根拠があることなので、試してみると良いでしょう。

 調子が悪いときに、上記のようなセルフケアをしてみて、2~3日で解消されない場合には、医療機関の受診をお勧めします。


 ▶ 保健師の庭 TOPへ戻る