休暇は明日への活力の根源です

社団法人 茨城労働基準協会連合会 事業部長 小林 幸夫
(さんぽいばらき 第29号 巻頭言/2007年7月発行)

ゴールデンウィーク、夏季、年末年始の休暇取得については、多くの事業上に浸透し、人民大移動が年中行事の一つとして、テレビ等で報道されています。しかしながら、年次有給休暇の取得状況は、付与された日数の半分程度の取得にとどまっています。いや、見方によっては、半分程度も取得できているとも言えます。十人十色受け止め方は異なるかと思います。

私は、半世紀前に、J事業所に就職することが出来ましたが、当時の経済環境は極めて悪く就職難でしたが、幸運にも自分の選んだ事業場に入社することが出来、両親は勿論多くの方々に祝福され喜び味わったことが、昨日のように想い出として残っています。
先輩の生き生きとした働きぶりに感化され、キザですが働くことの喜び、幸せを教えられました。当然ながら「休む」「休暇を取ろう」等考えも及びませんでした。
日曜日や祭日も、野球試合や山登り等先輩の企画した行事に多くの社員が参加し楽しんだものです。今日、振り返りますと当時は、休まない休暇を取らない社員が優秀と位置づけられており、給与規定にも休みがない社員に対し、出勤手当と証して満額支給される特典がありました。そのようなこともあって休みを取らない要因でもあったかと思います。

近年の休暇の考え方は、監督官庁の休暇取得推進指導等もあって、休暇に対する受け止め方は、労使共に、大きな変わりようで、取組姿勢が前向きとなり多くの事業場が諸々の名称の休暇制度を導入してきており、休暇は取得しやすい体制となっているかと思いますが、実施するに当って、危惧する点や課題を解消して、初めて制度が生きるものと考えます。
例えば、休暇取得者が一部の社員になっていないか、公平性であるか、引継者社員に負担とはなっていないか…。
休暇制度を導入した趣旨、メリット等についてご紹介しますと、
連続休暇は、社員の健康増進、福祉の向上及び勤労意欲の高揚が期待される。休暇を与えることにより、引継者が別の目で仕事を見ることが出来、事務ミスの発見や効率化が図られます。
永年勤続慰労休暇は、日頃の労をねぎらい、健康増進、福祉の向上、自己啓発等機会を与え、一層の勤務意欲の向上を期待出来ます。
特別休暇は、福祉の向上及び社会貢献活動(ボランティア)への参加が図れます。
総合的に見て、このような制度を取り入れることにより社員の人材確保につながり事業場のイメージアップとなることは間違いないと思います。休暇は疲れを癒し、明日への活力の根源です。事業場あっての社員、社員あっての事業場です。

労使が共通のメリットを認識して有給休暇取得推進が成功することを願っています。