第7次粉じん障害防止総合対策について

茨城労働局 労働基準部 安全衛生課
(さんぽいばらき 第32号/2008年7月発行)

このほど厚生労働省は、第7次粉じん障害防止総合対策を策定しました。今回の総合対策では、昭和55年当時と比べてじん肺新規有所見者の発生数は大幅に減少してきていますが、近年においては横這い傾向であり、また、ずい道等建設工事においては、近年の技術進歩や作業方法の変化により、粉じんの発生量が増加しており、そのため粉じん障害防止規則(以下「粉じん則」という。)等が改正され平成20年3月に施行されたこと、さらにアーク溶接作業については、いまだ粉じんの有害性及びその対策の必要性の認識不足が見られること等、これらの状況に鑑み、粉じん障害防止対策の一層の推進に努めることととしています。

第1 目的

本総合対策は、粉じん則及びじん肺法に定める措置を事業者が講じるため、過去6次にわたる粉じん障害防止対策の推進状況等を踏まえ、当該対策の重点事項及び労働基準行政が実施する事項を定めるとともに、事業者が特に実施すべき措置を「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」(以下「重点的措置」という。)として示し、その周知及び当該措置の実施の徹底を図ることにより、じん肺対策のより一層の推進を図ることを目的とする。

第2 推進期間

平成20年度から平成24年度までの5か年とする。

第3 重点事項

  1. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
  2. アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策
  3. 金属等の研ま作業に係る粉じん障害防止対策
  4. 離職後の健康管理

第4 都道府県労働局、労働基準監督署の実施事項

  1. 集団指導、個別指導及び監督指導等の実施
    重点的措置、粉じん則及びじん肺法の各規定に定める措置の必要な事項の周知徹底を図る。また、重大・悪質な法令違反が認められた場合は、司法処分を含め、厳正な措置を講ずる。さらに事業者に対して健康管理手帳制度の周知を図る。
  2. 計画の届出の徹底、適正な審査及び実地調査の実施
    労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出の徹底を図り、その適切な審査及び実地調査を行う。また、「ずい道等の建設等の仕事」に係る計画の届出の際には、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)に沿った計画となっているか確認し、必要な指導を行う。
  3. 関係団体等に対する指導等の実施
    1. 労働災害防止団体、事業者団体等に対する指導・要請
      構成事業場に対し、重点的措置、粉じん則及びじん肺法の各規定に定める措置の内容の周知徹底及び健康管理手帳制度の周知を指導し、事業者団体等に対しては、重点的措置の実施状況の自主点検及びその結果に基づき、構成事業者に対し自主的対策を実施するよう要請する。
    2. 啓発活動の実施
      1. 粉じん障害防止総合対策推進強化月間
        全国労働衛生週間準備期間の9月を強化月間とし、関係団体等に対しパトロール等の各種行事の開催を要請する。
      2. 粉じん対策の日
        粉じん作業を有する事業場に対し、保護具の点検、局所排気装置の点検、たい積粉じんの清掃等を定期的に実施させ、その定着を図るため毎月特定の日を「粉じん対策の日」とするよう指導する。
  4. ずい道等建設工事の発注者に対する要請の実施
    発注機関連絡会議等を通じて、ガイドラインに基づく対策を実施するための措置について要請を行う。
  5. 中小規模事業場への支援
    小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業等各種支援事業の利用の勧奨を行うとともに、産業保健総合支援センター及び地域産業保健センターの活用を指導する。
○「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」の概要は以下のとおりです。
  1. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策を進めましょう。
    平成20年3月に施行された粉じん障害防止規則等の改正内容を含んだ新しい「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づく対策を徹底しましょう。
    <ガイドラインの主な内容>

    • 換気装置による換気の実施等
    • 換気の実施等の効果を確認するための、ガイドラインで定めた方式による粉じん濃度測定の実施及びその結果に応じた換気装置の風量の増加その他必要な措置の実施
    • コンクリート等を吹き付ける場所における作業等に従事する労働者に対する電動ファン付き呼吸用保護具の使用
    • 発破の作業を行った場合において、発破による粉じんが適当に薄められた後でなければ発破をした箇所に労働者を近寄らせない措置
  2. アーク溶接作業にかかる粉じん障害防止対策を進めましょう。
    アーク溶接作業については未だに粉じん作業であるという認識が低いことから、アーク溶接作業が粉じん作業であり、この作業に従事する労働者は有効な呼吸用保護具の着用が必要であることなどを記したものを、アーク溶接作業場の見やすい場所へ掲示するとともに、「保護具着用管理責任者」を選任し、呼吸用保護具の適正な選択、使用及び保守管理を推進しましょう。
  3. 金属等の研ま作業にかかる粉じん障害防止対策を進めましょう。
    局所排気装置の設置等粉じん発生源に対する措置を徹底するとともに、「検査・点検責任者」を選任し、局所排気装置等の適正な稼働並びに検査及び点検を実施しましょう。また、特別教育等を実施するとともに、「たい積粉じん清掃責任者」を選任し、たい積粉じん除去のための清掃を推進しましょう。
  4. 健康管理対策を進めましょう。
    じん肺健康診断の実施はじん肺法に基づき事業者に義務づけられています。労働者の健康管理のためじん肺健康診断を実施しましょう。また、じん肺有所見者の方に対してはリーフレット「日常生活において気をつけること~じん肺と診断された方のために~」などを活用して禁煙など健康管理を進めましょう。
  5. 離職後の健康管理を進めましょう。
    じん肺管理区分2又は3の方は離職後、都道府県労働局に申請することにより健康管理手帳が交付され、無料で健康診断を年に1回受けることができます。じん肺は経過が長く長期的な健康管理が重要です。離職する方に対して、健康管理手帳制度についてお知らせください。
    詳しくは茨城労働局安全衛生課(電話:029-224-6215)にお問い合わせ下さい。