巻頭言

茨城労働局 労働基準部長
木下 正人
(さんぽいばらき 第32号/2008年7月発行)

4月に労働基準部長として着任して以来、早いもので3ヶ月が過ぎました。その間県内の様々な場所を廻りましたが、その度に地元の方々の人間味あふれる応対に心温まることばかりです。

さて、今年度は第11次労働災害防止計画の初年度に当たります。第10次労働災害防止計画期間(平成15年度から平成19年度)中の休業4日以上の死傷者数は14,816人で第9次労働災害防止計画期間(平成10年度から平成14年度)中の16,008人と比較して7.4%の減少となりました。第8次労働災害防止計画期間(平成5年から平成9年)中の死傷者数は18,773人であり、第9次労働災害防止計画期間中に死傷者数が14.7%減少したことと比べると減少傾向に鈍化がみられます。また、第10次労働災害防止計画期間中の死傷者数に減少が見られない(平成15年2,882人、平成19年2,993人)ことから、茨城労働局では第11次労働災害防止計画期間中の死傷災害を第10次労働災害防止計画期間中から15%減少させることを目標としています。

この労働災害による死傷者数を減少させることと併せて、第11次労働災害防止計画の目標として一般定期健康診断の有所見率の減少を掲げています。茨城県における一般定期健康診断の有所見率は平成10年が37.0%(全国平均41.2%)だったものが平成19年には51.3%(全国平均49.9%)と大幅に増加しており、特に血圧検査と血中脂質検査において全国平均を上回る有所見率となっています。これらの所見を有する労働者に長時間の時間外労働などの過重な負荷が加わりますと脳・心臓疾患が発症するリスクが高まるとされており、第10次労働災害防止計画期間中の脳・心臓疾患に係る労災認定件数は35件に及んでいます。また、本年4月から腹囲の測定の追加等を内容とする一般定期健康診断項目の改正が施行されるとともに、長時間の時間外労働をした労働者に対する医師による面接指導がすべての事業場に適用されたところです。

茨城労働局では茨城産業保健推進センターや各地域産業保健センターと連携を図りながら、県内の労働者が明るく元気に働ける職場の実現を目指してまいりたいと思っております。事業者の皆様も第11次労働災害防止計画の目標の達成へのご協力をお願いします。