1.健康管理手帳制度

 都道府県労働局長が発行する「健康管理手帳」には、性質の異なる二種類の
 「健康管理手帳」があります。

 一つ目は、労災保険により療養を受けていた方が治癒となった場合に、一定のケースに
 おいてはアフターケアが認められる場合があり、このアフターケアを受けるために
 必要となる健康管理手帳で、茨城労働局では労災補償課が事務を担当しています。

 二つ目は、一定の有害業務に就いていた方が退職後、健康診断を受けるために必要となる
 健康管理手帳で、茨城労働局では健康安全課(安全課と健康課に分かれている局においては健康課)
 が事務を担当しています。

 ここでは「有害業務の健康管理手帳」として、以下により説明します。

 2.有害業務の健康管理手帳

 有害業務の健康管理手帳は、労働安全衛生法第67条にその規定があり、がんその他の重度の
 健康障害を生ずるおそれのある業務のうち、労働安全衛生法施行令第23条に列挙する
 15の業務を対象としています。
 さらにそれらの業務ごとに、従事年数などの要件を付しており、具体的には労働安全衛生規則
 第53条に掲げられています。

 これらをまとめたのが表1健康管理手帳の交付対象業務です。
 この表に当てはまる職歴の方が、健康管理手帳の申請ができる方です。

 表1 健康管理手帳の交付対象業務 (令和5年1月14日改正)

業務 要件
1 ベンジジン及びその塩(これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)を製造し、又は取り扱う業務

2 ベーターナフチルアミン及びその塩 (これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。) を製造し、又は取り扱う業務

12 ジアニシジン及びその塩 (これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。) を製造し、又は取り扱う業務

当該業務に3月以上従事した経験を有すること。(注1)
3 粉じん作業(じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条第1項第3号に規定する粉じん作業をいう。)に係る業務(注2) じん肺法の規定により決定されたじん肺管理区分が管理2又は管理3であること。
4 クロム酸及び重クロム酸並びにこれらの塩 (これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。) を製造し、又は取り扱う業務(これらの物を鉱石から製造する事業場以外の事業場における業務を除く。) 当該業務に4年以上従事した経験を有すること。
5 無機砒(ひ)素化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除く。)を製造する工程において粉砕をし、三酸化砒(ひ)素を製造する工程において焙(ばい)焼若しくは精製を行い、又は砒(ヒ)素をその重量の3%を超えて含有する鉱石をポツト法若しくはグリナワルド法により製錬する業務 当該業務に5年以上従事した経験を有すること。
6 コークス又は製鉄用発生炉ガスを製造する業務(コークス炉上において若しくはコークス炉に接して又はガス発生炉上において行う業務に限る) 当該業務に5年以上従事した経験を有すること。
7 ビス (クロロメチル) エーテル (これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。) を製造し、又は取り扱う業務 当該業務に3年以上従事した経験を有すること。
8 ベリリウム及びその化合物 (これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3パーセントを超えて含有するものに限る。) を含む。) を製造し、又は取り扱う業務(これらの物のうち粉状の物以外の物を取り扱う業務を除く。) 両肺野にベリリウムによるび慢性の結節性陰影があること。
9 ベンゾトリクロリドを製造し、又は取り扱う業務 (太陽光線により塩素化反応をさせることによりベンゾトリクロリドを製造する事業場における業務に限る。) 当該業務に3年以上従事した経験を有すること。
10 塩化ビニルを重合する業務又は密閉されていない遠心分離機を用いてポリ塩化ビニル (塩化ビニルの共重合体を含む。) の懸濁液から水を分離する業務 当該業務に4年以上従事した経験を有すること。
11 石綿 (これをその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。) の製造又は取り扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務 (石綿を製造し、又は取り扱う業務に限る。) (1) 両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること。
 (直接業務及び周辺業務が対象)
(2) 下記の作業に1年以上従事していた方。(ただし、初めて石綿の粉じんに ばく露した日から10年以上経過していること。)
 (直接業務のみが対象)
○ 石綿等の製造作業
○ 石綿が使用されている保温材、耐火被覆材等の張付け、補修もしくは除去の作業
○ 石綿の吹き付け作業又は石綿が吹き付けられた建築物、工作物等の解体、破砕等の作業
(3) (2)の作業以外の石綿を取り扱う作業に10年以上従事していた方。
(直接業務のみが対象)
(4) (2)と(3)に掲げる要件に準ずるものとして厚生労働大臣が定める用件に該当すること。
(2)の作業に従事した月数に10を乗じて得た数と(3)の作業に従事した月数との合計が120以上であって、かつ、初めて石綿等の粉じんにばく露した日から10年以上経過していること。 (注3)
13  1,2-ジクロロプロパン(これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)を取り扱って、次の場所において、印刷機その他の設備を清掃する業務
(屋内作業場、船舶・車両・タンク・ピット・坑・ずい道・暗きょ・マンホール・箱桁・ダクト・水管の各内部、そのほか通風が不十分な場所)
当該業務に2年以上従事した経験を有すること。
14 オルト-トルイジン(これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)を製造し、又は取り扱う業務 当該業務に5年以上従事した経験を有すること。
15 MOCAを製造し、または取り扱う業務 当該業務に2年以上従事した経験を有すること。暖房

(注1) ベンジジン、ベーターナフチルアミン又はジアニシジンに関する業務の従事期間を
     合計すれば3月以上となる方は交付要件を満たします。

 (注2) 粉じん作業には、石綿を取り扱う作業も含まれているため、石綿を取り扱う作業に
    従事した方については、交付要件を満たす場合、「11」だけでなく「3」の
    健康管理手帳の交付を受けることができます。

 (注3) (例) (2)に6ヶ月間、(3)に6年間従事していた場合、

    (6ヶ月×10) + 6年 (72ヶ月) = 132ヶ月 ≧ 120ヶ月
    ⇒ 手帳を受けることができる。

 この表1健康管理手帳の交付対象業務をご覧になってお解かりのとおり、
 ほとんどの対象業務においては、その従事年数が要件となっています。

 しかし、3号の「粉じん作業にかかる業務」、8号の「ベリリウム及びその化合物を
 製造し、又は取り扱う業務」、11号の「石綿を製造し、又は取り扱う業務」においては
 一定の所見があることが要件となります。

 また、この表における、3号の「粉じん作業にかかる業務」については、
 表2 じん肺法第2条第1項第3号に規定する粉じん作業となります。

 (表2 じん肺法第2条第1項第3号に規定する粉じん作業)

1 鉱物等(湿潤な土石を除く。)を掘削する場所における作業(次号に掲げる作業を除く。)。ただし、次に掲げる作業を除く。
イ 坑外の、鉱物等を湿式により試錐(すい)する場所における作業
ロ 屋外の、鉱物等を動力又は発破によらないで掘削する場所における作業
1の2 ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、鉱物等を掘削する場所における作業
2  鉱物等(湿潤なものを除く。)を積載した車の荷台を覆し、又は傾けることにより鉱物等(湿潤なものを除く。)を積み卸す場所における作業(次号、第3号の2、第9号又は第18号に掲げる作業を除く。)
3  坑内の、鉱物等を破砕し、粉砕し、ふるい分け、積み込み、又は積み卸す場所における作業(次号に掲げる作業を除く。)。ただし、次に掲げる作業を除く。
 イ  湿潤な鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業
 ロ  水の中で破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業 
3の2 ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業
4  坑内において鉱物等(湿潤なものを除く。)を運搬する作業。ただし、鉱物等を積載した車を牽(けん)引する機関車を運転する作業を除く。
5  坑内の、鉱物等(湿潤なものを除く。)を充てんし、又は岩粉を散布する場所における作業(次号に掲げる作業を除く。)
5の2 ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、コンクリート等を吹き付ける場所における作業
5の3  坑内であって、第1号から第3号の2まで又は前2号に規定する場所に近接する場所において、粉じんが付着し、又は堆積した機械設備又は電気設備を移設し、撤去し、点検し、又は補修する作業
6  岩石又は鉱物を裁断し、彫り、又は仕上げする場所における作業(第13号に掲げる作業を除く。)。
 ただし、 火炎を用いて裁断し、又は仕上げする場所における作業を除く。
7  研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、 若しくはバリ取りし、若しくは金属を裁断する場所における作業(前号に掲げる作業を除く。)。
8 鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業(第三号、第十五号又は第十九号に掲げる作業を除く。)。ただし、水又は油の中で動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業を除く。
9  セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料若しくは炭素製品を乾燥し、袋詰めし、積み込み、又は積み卸す場所における作業(第3号、第3号の2、第16号又は第18号に掲げる作業を除く。)
10  粉状のアルミニウム又は酸化チタンを袋詰めする場所における作業
11  粉状の鉱石又は炭素原料を原料又は材料として使用する物を製造し、又は加工する工程において、粉状の鉱石、炭素原料又はこれらを含む物を混合し、混入し、又は散布する場所における作業(次号から第14号までに掲げる作業を除く。)
12  ガラス又はほうろうを製造する工程において、原料を混合する場所における作業又は原料若しくは調合物を溶解炉に投げ入れる作業。ただし、水の中で原料を混合する場所における作業を除く。
13  陶磁器、耐火物、けい藻土製品又は研磨材を製造する工程において、原料を混合し、若しくは成形し、原料若しくは半製品を乾燥し、半製品を台車に積み込み、若しくは半製品若しくは製品を台車から積み卸し、仕上げし、若しくは荷造りする場所における作業又は窯の内部に立ち入る作業。ただし、次に掲げる作業を除く。
 イ  陶磁器を製造する工程において、原料を流し込み成形し、半製品を生仕上げし、又は製品を荷造りする場所における作業
 ロ  水の中で原料を混合する場所における作業
14  炭素製品を製造する工程において、炭素原料を混合し、若しくは成形し、半製品を炉詰めし、又は半製品若しくは製品を炉出しし、若しくは仕上げする場所における作業。ただし、水の中で原料を混合する場所における作業を除く。
15  砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂型を造形し、砂型を壊し、砂落としし、砂を再生し、砂を混練し、又は鋳ばり等を削り取る場所における作業(第7号に掲げる作業を除く。)。ただし、水の中で、砂を再生する場所における作業を除く。
16  鉱物等(湿潤なものを除く。)を運搬する船舶の船倉内で鉱物等(湿潤なものを除く。)をかき落とし、若しくはかき集める作業又はこれらの作業に伴い清掃を行う作業(水洗する等粉じんの飛散しない方法によって行うものを除く。)
17  金属その他無機物を製錬し、又は溶融する工程において、土石又は鉱物を開放炉に投げ入れ、焼結し、湯出しし、又は鋳込みする場所における作業。ただし、転炉から湯出しし、又は金型に鋳込みする場所における作業を除く。
18  粉状の鉱物を燃焼する工程又は金属その他無機物を製錬し、若しくは溶融する工程において、炉、煙道、煙突等に付着し、若しくは堆積した鉱さい又は灰をかき落とし、かき集め、積み込み、積み卸し、又は容器に入れる場所における作業
19  耐火物を用いて窯、炉等を築造し、若しくは修理し、又は耐火物を用いた窯、炉等を解体し、若しくは破砕する作業
20  屋内、坑内又はタンク、船舶、管、車両等の内部において、金属を溶断し、又はアークを用いてガウジングする作業
20の2 金属をアーク溶接する作業
21  金属を溶射する場所における作業
22  染土の付着した藺(い)草を庫(くら)入れし、庫(くら)出しし、選別調整し、又は製織する場所における作業
23 長大ずい道(じん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)別表第二十三号の長大ずい道をいう。別表第三第十七号において同じ。)の内部の、ホツパー車からバラストを取り卸し、又はマルチプルタイタンパーにより道床を突き固める場所における作業

そもそも、表1 健康管理手帳の交付対象業務に掲げられている業務に関し、在職中の労働者に対して事業者は特殊健康診断を実施しなければなりません。つまり、これらの業務に現在従事している方や、過去に就いていたことがある方については、雇い主の義務として特殊健康診断を実施しなければなりません。そのことは、労働安全衛生法第66条第2項に定められています。しかし、退職者に対してまでは雇い主の義務は及びません。

そのため、これらの業務を過去に行った方で、現在は退職、または無関係な他社に転職したという方のために、有害業務の健康管理手帳があります。有害業務の健康管理手帳は、本人の申請により交付されます。この手帳の交付を受けていると、じん肺については年1回、それ以外の業務については半年に1回の頻度で、定期に特殊健康診断の案内が届きます。その案内により、国費で指定病院の特殊健康診断を受けることができ、検診結果は健康管理手帳に記入されて本人の手に戻ります。

3.石綿とじん肺

「石綿を製造し、又は取り扱う業務」に就いていた方で「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚の陰影がある」場合は、石綿業務の健康管理手帳の交付が受けられます。

また、「石綿を製造し、又は取り扱う業務」に就いていた方で石綿肺に罹りじん肺管理区分が管理2又は管理3と決定している方は、じん肺の健康管理手帳の交付が受けることができるほか、その両方の要件に該当する場合には、両方の健康管理手帳を申請することができます。

4.有害業務の健康管理手帳の申請手続き

 申請用紙は、各地の労働基準監督署で入手できますが、申請先は都道府県労働局です。
 都道府県労働局の健康安全課(安全課と健康課に分かれている局においては健康課)が
 事務を担当しています。

 退職時に申請する場合は、その事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に申請します。
 事業場が茨城県内にある場合は茨城労働局健康安全課 (電話029-224-6215) に
 申請書を提出することになります。

 申請に当たって必要な書類等については、次のとおりです。

 1.健康管理手帳交付申請書 (全ての手帳申請において必要となります)(様式第7号)

 2.申請者本人が記載した業務歴 (全ての手帳申請において必要となります)(様式第1号)

 ★石綿業務、ベンジジン等業務、クロム酸業務、三酸化砒素業務、コールタール業務、
 ビス (クロロメチル) エーテル業務、ベンゾトリクロリド業務、塩化ビニル業務の場合は、
 上記1及び2の書類に加えて、交付対象業務に従事していたことを証明する下記書類が必要です。

 (1) 事業者による健康管理手帳交付対象業務従事期間証明書
 (石綿以外は様式第2号、石綿は様式3号)

 (2) 上記(1)の証明書が得られない場合、本人が記載した従事歴申立書(石綿以外は様式第4号、
 石綿は様式5号) に加えて、(1) の業務に同時期に従事していた者で、その他当該業務に
 従事していたことを証明できる2名以上の同僚証明書(石綿以外は様式第6号、石綿は様式7号)

 (3) 上記 (1)、(2) のいずれも得られない場合、本人が記載した従事歴申立書
  (石綿以外は様式第4号、石綿は様式5号) に加えて、事業場における健康診断の本人への
 結果通知、社会保険の被保険者記録、給与明細、雇用保険に係る証明書等を添付してください。

 なお、石綿業務で交付要件の (1) に該当される方の場合は、
 次の ① 又は ② のどちらかが必要となります。

 ① 胸部エックス線写真等及び石綿による不整形陰影又は胸膜肥厚の陰影がある旨の記述等の
 ある医師による診断書 (同様の所見の記載のある石綿健康診断個人票又はじん肺健康診断
 結果証明書の写しでも可。)

 ② 管理2以上のじん肺管理区分決定通知書及び当該決定に関して都道府県労働局長に
 提出されたじん肺健康診断結果証明書の写し

 ★粉じん業務の場合は上記1及び2の書類に加えて次の書類が必要です。

 じん肺管理区分決定通知書(管理2、管理3イ又は管理3ロ)の写し

 ★ベリリウム業務の場合は上記1及び2の書類に加えて次の書類が必要です。

 胸部エックス線直接写真又は特殊なエックス線撮影による写真及びび慢性の結節性陰影が
 ある旨の記述のある診断書 (同様の記載のある特定化学物質健康診断個人票の写し又は
 じん肺健康診断結果証明書の写しでも可。)

 (注1) 健康管理手帳による受診医療機関については、健康管理手帳を交付する際に
 通知いたします。(具体的な受診日は、該当医療機関と相談してください。)
 (元地方公共団体の職員を除く。)

 (注2) じん肺健康診断結果証明書及びじん肺健康診断において撮影されたエックス線写真は
 7年間(じん肺法第17条)、石綿に係る特定化学物質等健康診断個人票は40年間(石綿則第41条)、
 事業者に保管義務があります。

 申請先については、次のとおりです。

  • 退職の際に既に交付要件を満たしている場合

    → 対象業務に従事していた事業場の所在地を管轄する都道府県労働局

    (※なお、当該事業場が2以上ある場合は、直近の事業場を管轄する都道府県労働局) 

 (2) 退職の後始めて交付要件を満たすこととなった場合

    → 申請者の住所を管轄する都道府県労働局

 なお、表1 健康管理手帳の交付対象業務 に掲げられている業務の「どの業務に従事したのか」
 「その業務の従事期間はいつからいつまでだったか」「いつその事業場を退職したのか」に
 ついて、その事業主に証明書を書いてもらって申請書に添付してください。

 退職後時間が経ちすぎて事業場が消滅しているなど、事業主に証明してもらえない場合も
 あると思いますが、そのような特殊なケースについては申請先の地方労働局にご相談下さい。

 また、3号の「粉じん作業にかかる業務」、8号の「ベリリウム及びその化合物を製造し、
 又は取り扱う業務」、11号の「石綿を製造し、又は取り扱う業務」においては一定の所見が
 あることが要件となっております。そのため、レントゲンフィルムや健康診断結果証明書などを
 添付することが必要になります。

 詳しくは申請先の都道府県労働局にお尋ねください。

5.有害業務の健康管理手帳の書替・再交付の手続き

 健康管理手帳所持者で、氏名又は住所を変更したときや手帳を滅失・損傷したときは、
 次の方法で健康管理手帳の書替・再交付を受けなければなりません。

 申請用紙は、各地の労働基準監督署で入手できますが、申請先は申請者の(新)住所を
 管轄する都道府県労働局です。都道府県労働局の安全衛生課 (安全課と労働衛生課に
 分かれている局においては労働衛生課) が事務を担当しています。

 申請に当たって必要な書類等については、次のとおりです。

  1. 健康管理手帳書替・再交付申請書 (様式第10号)
  2.現在お持ちの健康管理手帳
  3. 添付書類
   (1) 変更したときは氏名、住所の変更を証する市町村長の証明書(住民票等)
   (2) 手帳を損傷したときは損傷した手帳、滅失したときは申請先にお問い合わせ下さい。
  4.申請先については、、申請者の (新) 住所を管轄する都道府県労働局となります。

 

 別表(第二条関係)

 平成19年10月1日より、健康管理手帳(石綿)に関連する改正労働安全衛生規則等が
 施行されました。改正内容は次のとおりです。

 ・健康管理手帳(石綿)の交付要件の追加(緩和)について

 1 趣旨
 健康管理手帳は、労働安全衛生法第67条第1項等の規定に基づき、がんその他の重度の
 健康障害を発生させるおそれがある14の業務に従事した方に対し、一定の要件を
 満たした場合に交付されています。
 石綿取扱業務については、平成8年から手帳を交付されることとなっているところであり、
 その要件は胸部エックス線検査等で、 「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は
 石綿による胸膜肥厚があること」 とされています。
 この交付要件が制定されてから10年以上が経過し、これら胸部エックス線検査等で
 胸膜肥厚等の所見が認められない場合でも、石綿肺がん等の悪性腫瘍が発症するという
 報告があることから、厚生労働省では、専門家を集め最新の医学的知見に基づいた
 交付要件の考え方を検討してきたところです(石綿業務に従事した離職者の健康管理に
 ついての検討委員会。以下「検討委員会」という。)。
 今回の改正は、検討委員会の報告書に基づき、交付要件を見直す(緩和する)等、
 所要の措置を行うものです。

 2 改正の内容
 石綿等(石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物。)を製造又は
 取り扱う業務に従事した方について、健康管理手帳を交付する対象者として、次の(1)~(3)の
 いずれかに該当する方を追加します。

(1) 石綿等の製造作業、石綿等が使用されている保温材等の張付け、除去等の作業、石綿等の吹き付けの作業又は石綿等が吹き付けられた建築物等の解体等の作業(吹き付けられた石綿等の除去の作業を含む。)に1年以上従事した経験を有し、かつ、初めて石綿等の粉じんにばく露した日から10年以上を経過していること。
(2) 石綿等を取り扱う作業((1)の作業を除く。)に10年以上従事した経験を有していること。
(3) ((1)の作業に従事した月数)×10+((2)の作業に従事した月数)≧120であって、かつ、初めて石綿等の粉じんにばく露した日から10年以上を経過していること。

 

 ・施行日
 平成19年10月1日
 詳しくは、「石綿に関する健康管理手帳」の交付についてをご覧ください。(厚生労働省のページへ)