Q9-1. がん治療中の従業員の勤務時間について教えてください
Q9-1.
事業場の人事担当者です。1年半ほど前に社員が泌尿器がんの手術を受け、1か月間の休業の後、復職しました。当社の就業規則では、社員はフルタイム勤務と規定されていますので、復職後はフルタイムで勤務し、週1回通院のため年休を使って休んでいます。1年ほど前から薬による治療が始まり、体調が悪い様子で心配です。

A9-1.
まず、社員本人の同意を得て主治医の意見を聴き、治療や症状に関する情報を得て下さい。その上で、働き方について検討してください。
短時間勤務制度や時間単位有給休暇があると、体調に応じて、一定期間、短時間勤務にすることができます。
また、病気休暇が無給の場合、経済的な事情により病気休暇を取得しにくいことが考えられますので、例えば、賃金の一部を払う、あるいは休業期間の一部を有給にするといった制度にすることを検討してください。
病気になっていない従業員にとっても安心できる制度になります。

Q9-2. がん治療中の従業員の欠勤が続いています
Q9-2.
会社の健康管理担当者です。定年後に継続勤務している社員について相談します。その社員は2年前に泌尿器がんの診断を受け、抗がん剤による治療を受けながら働いていますが、最近2か月間は出勤していません。社員本人からは、毎日、私用で欠勤するという内容の連絡がありますので、無断欠勤というわけではありませんが、同僚からはサボっているように見られています。その社員は、無口で、職場でほとんど話をしませんので、会社としても、どのように生活や治療をしているのか、把握していません。どうすればよいでしょうか。

A 9-2.
本人の同意を得て、主治医から、その社員の病状、治療計画、就労上必要な配慮に関する情報を得てください。産業医に依頼して主治医と連絡をとってもらうとよいです。欠勤の原因が病気に伴うメンタルヘルス不調である可能性もあります。

Q9-3. 病気のため疲れやすくなり、働き続けられそうにありません
Q9-3.
1年契約の有期労働契約で働いています。病気のため休職していましたが、復職したところです。労働契約では1日8時間勤務、週休2日制、病休は5労働日となっています。病気のため疲れやすくなり、休みたいのですが、病休がほとんどないので、退職を検討しています。
主治医からは「休職して治療に専念することにより状態がよくなる病気ではなく、働きながら長期的に治療した方がよい」と言われています。
すでに数年間勤めている職場で、人間関係もよく、好きな仕事なので、できれば続けたいと思っています。同僚には短時間勤務の職員もいます。

A 9-3.
1日の勤務時間を短縮したり週の労働日数を減らす方法があります。
労働者には労働契約に基づき労務を提供する義務がありますが、病気のため、医師の意見に基づき、労務の一部を提供しないことは可能ですので、一定期間、例えば、1日6時間勤務、週3日勤務という働き方で働くことができます。
また、そのような措置が長期にわたって必要となる場合は、労働契約自体を変更する方法もあり、例えば、1日6時間勤務、週3日勤務という契約に変更することになります。

Q9-4. 復職した労働者が上司の指示に従いません
Q9-4.
脳血管疾患で休職していた社員が復職しました。この社員は外交的で積極的な性格で、仕事の能力が高く、発症前は管理職でした。復職時には負担の少ない業務に従事させたのですが、元来のアグレッシブな性質が顕著になり、上司の指示に従わないばかりか、上司や元部下に必要のない説教をしたり、仕事と関係のない話を長時間にわたってするようになり、困っています。

A 9-4.
その社員が組織の管理者の立場であれば、今後の両立支援での職場環境をコンプライアンスに基づいた組織の構築をしていく役割もあると思われます。社員自身の治療療養の経験を経営側・労働者側の双方の立場で企業の成長につなげていくことが理想です。
厚生労働省が示している治療と仕事の両立支援の枠組みには、キャリアコンサルタントの活用が含まれています。茨城県では、NPO法人キャリア開発協会が「両立支援キャリアカウンセリング」を実施しています。
社員が自身のキャリア形成をどのように考え、自己実現していくか、社員自身が自ら作り上げていく必要があるかなどキャリアコンサルティングを実施していく上で重要なポイントとなります。自身の現状を自己開示していく事からスタートし、カタルシス効果がうまく働ければよい方向に進むと思われます。
会社内でキャリアコンサルティングを利用するかどうかを検討し、社員本人の同意を得て、社員本人がカウンセリングを受けてみるという利用方法が適しています。

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