平成21年度・小規模事業場における主体的産業保健活動 スパイラルアップのための継続的支援方法と効果検証
主任研究者
茨城産業保健推進センター相談員 池田智子
共同研究者
茨城産業保健推進センター所長 小林敏郎
茨城産業保健推進センター基幹相談員 河島美枝子
茨城産業保健推進センター特別相談員 武田繁夫
茨城産業保健推進センター基幹相談員 伊藤進一
和田弘,倉持勝男,大西慶造,根来健造,
奥田恭子,高嶋靖子,武澤千尋
1 はじめに
我々の前年度の研究は、事業主と従業員が自らの職場の健康問題を正しく把握し、 問題の抽出、産業保健活動の選択、実施、評価を主体的に行えるような活動を、 地域産業保健センターのコーディネーターと保健師が支援して行く方法を開発してきた。 さらに本年度は、これらの小規模事業場がより自立して産業保健活動を定着できるようになることを目的として、 継続支援の方法を開発し、スパイラルアップ効果を測定した。
2 方法
1)支援活動
前年度の研究報告の上、本年度も引き続き協力の得られた、 I県地域産業保健センター全9ヵ所のうち6ヵ所のコーディネーター6名と、 地域産業保健センター嘱託保健師及び茨城産業保健推進センター相談員保健師、大学院生保健師ら計5名が、 前年度に引き続き協力の得られた小規模事業場16ヵ所と、新規に協力の得られた事業場2ヵ所に参加型保健活動を提供した。
2)記録の分析
全18事業場へのアプローチの記録を録音に撮り、分析した。
3)スパイラルアップ効果の分析
従業員への自記式アンケートによる効果評価を、前年度と本年度の各活動前後に行い、分析した。
3 結果と考察
事業場が自立して活動を継続して行けるスパイラルアップのための支援過程を分析した結果8段階が抽出された。 各段階における支援過程と解説を図1に示す。
効果評価においては、保健活動を通して仕事のコントロール、外在的報酬、上司の支援が高められ、 ワーク・エンゲイジメントの上昇につながり、更には仕事のパフォーマンスの向上にも結びついたことが示唆された。 生活習慣については、継続事業場において、喫煙本数の減少傾向(10%水準で有意)が認められた。
4 研究結果の活用方法
1)学会発表
ICOH-WOPS conference Amsterdam 2010, ICOHN&ACOHN joint conference Yokohama 2010, メコンデルタ10周年記念国際シンポジウム Can Tho 2010, 日本産業衛生学会 島根 2010, , 日本産業精神保健学会 金沢 2010,日本産業ストレス学会 神戸 2011にて発表。
2)活動方法と効果評価のシステム化
活動方法と効果評価方法をシステム化して、インターネットで公開する予定。
【図1】スパイラルアップのための支援過程の分析
【解説】謝辞 厳しい経営状態の中、本研究の産業保健活動にご理解とご協力を賜りました事業場の皆様に、 研究関係者一同、心より敬意を表すると同時に深く感謝申し上げます。