2023年1月号『「ワークエンゲイジメント」を高める~ワクワク活き活き働く職場づくり~』

 

 ワークエンゲイジメントという言葉を知っていますか。 
 みなさんが、すぐに思いつくメンタルヘルス対策は、不調者を対象とした、又は、不調になることを予防する対策ではないでしょうか。いわゆる、「弱みを支える対策」とも言えます。

 それに対して、労働者の強み、成長、ポジティブさを促す対策の概念が、ワークエンゲイジメントであり、「強みを伸ばす対策」とも言えるでしょう。「弱みを支える」に加えて、「強みを伸ばす」対策が企業に求められるようになってきました。

1 ワークエンゲイジメントとは

 労働者のメンタルヘルス面での健康度を示す概念で、仕事に対する「熱意、没頭、活力」の3点が満たされている前向きな心理状態を示し、バーンアウト(燃え尽き)の反対の概念として位置付けられます。簡単に表現すると、「職場でワクワク、活き活きと働く心理状態」です。

 

 

2 ワークエンゲイジメントが高いとは

 バーンアウトした労働者は、仕事への熱意が低下しているのに対し、ワークエンゲイジメントが高い労働者は、仕事にやりがいを感じ、熱心に取組み、良いパフォーマンスができると言われています。さらには、企業全体の生産性の向上にも繋がります。

 

3 ワークエンゲイジメントの高め方

 個人の資源(自己効力感や柔軟性など)や、仕事の資源(仕事の裁量権、上司・同僚からの支援、組織との信頼関係などの強み)を上げていくことで、仕事の要求度(量や質の負担、身体の負担、対人関係の負担など)によるストレス反応を減少させることができます。具体的に実施できそうなことを下記に挙げます。

(1)個人ができること (2)企業ができること
・ストレス反応を低くするためのスキルを身につける。
例:「折れない心」、「立ち直る力」を身に付ける研修(レジリエンスプログラム)
・ストレスチェックの集団分析で、現状を評価し、職場環境改善を行う。
・仕事の生産性を向上させるためのスキルを身につける。
例:タイムマネジメント研修、コミュニケーションスキル研修
・仕事に今より少し大きい裁量権を与える。
・余暇を十分に取り、仕事のストレス要因から離れる時間を作る。 ・誰もが、部下・同僚を支援する風土を作る。
・心身を回復させるため、家族・友人と快適な時間を過ごす。 ・仕事の要求度と各労働者の能力の調整を図る。
・気分転換のため、運動・食事・音楽・森林浴・動物と触れ合う等を積極的に実施する。 ・健康経営に取り組む。
・頑張れば報われる環境を作る。

 

 労働者の弱みを支えることより、強みを伸ばすことに重点を置くことで、仕事の成果が出ることもあると言われています。ワークエンゲイジメントを高める対策を取り入れてみませんか。


 参考資料
 産業保健21 2019.10第98号 
 ワークエンゲイジメントを活かした産業保健活動

 メンタルヘルスマネジメント検定 公式テキスト


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