いばらき産保ニュース第149号

発行日:2018年3月23日

ホームページ:http://ibarakis.johas.go.jp/
発 行:独立行政法人 労働者健康安全機構
茨城産業保健総合支援センター 所長 小松 満


【お知らせ】

これから受講できるセミナー案内(無料)4月~5月開催セミナー

【労働衛生専門職より】

【お知らせ】

◇◇「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」の実施について◇◇

厚生労働省では、労働災害防止団体などとともに、職場における熱中症(※1)予防対策の一層の推進を図るため、平成30年4月を準備期間、5月から9月までを実施期間とする「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します。

詳しくは、こちらをご覧ください 。

 

◇◇産業保健セミナーアンケートについて◇◇

産業保健セミナーの受講者のみなさまにはアンケートにご協力いただいております。
アンケートに記載していただいたご意見・ご要望のうち、研修事業の運営やセミナーの企画に関する事項について、対応や回答をホームページに掲載しております。

内容については、こちらをご覧ください。

 

◇◇報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン◇◇

厚生労働省では、平成30年2月22日、「報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を策定しました。 
本ガイドラインでは、労働基準関係法令の適用に関する留意点など、テレワークにおける労務管理の留意点を示しています。

 

◇◇労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目の取扱いが一部変更になります(平成30年4月から適用)◇◇

  • 平成29年8月4日基発0804第4号 「定期健康診断等における診断項目の取扱い等について」PDFを参照してください。
  • 診断項目自体に変更はありません
  • 変更のポイント
    血中脂質検査について
     →LDLコレステロールの評価方法が示されました。 
    血糖検査について
     →空腹時又は随時血糖の検査を必須とし、HbA1cのみの検査は認められません。 
    尿検査等について
     →医師が必要と認めた場合には、「血清クレアチニン検査」の追加が望まれます。

◇◇リーフレット 「産業医制度に係る見直しについて労働安全衛生規則等が改正されました」◇◇

健康診断の事後措置に必要な情報の提供、長時間労働者に関する情報の提供、定期巡視等産業医の情報収集の見直しについては、労働安全衛生規則が改正され、平成29年6月から施行されています。

こちらのリーフレットをご覧ください

 

▼「産業保健21」の送付について

情報誌『産業保健21』は、産業医をはじめ、保健師・看護師、労務担当者等の労働者の健康確保に携わっている皆様方に、産業保健情報を提供することを目的として、独立行政法人 労働者健康安全機構が発行しています。当センターより無料で送付しますので、当センターホームページよりお申込み下さい。
バックナンバーの送付をご希望の方も、当センターホームページよりお申込みください

『産業保健21』サンプル (労働者安全機構のサイトにリンクします。)

申込みは、こちらからどうぞ!
 ・「産業保健21」送付希望とご記入下さい。
 ・事業場と異なる場所への送付をご希望の際は、○○へ送付希望とご記入ください。

これから受講できるセミナー案内(無料)<平成30年3月~平成30年4月分>

<開催会場案内>
 水戸:水戸FFセンタービル会議室11階(旧、住友生命水戸ビル)
    (水戸市南町3-4-10 水戸FFセンタービル 11階)
 土浦:ワークヒル土浦(土浦市木田余東台4-1-1)<ワークヒル土浦のHPにリンクします。>
 鹿嶋:鹿嶋勤労文化会館(鹿嶋市宮中325-1)<鹿島勤労文化会館のHPにリンクします。> 
 日立:日立地区産業支援センター(日立市西成沢町2-20-1)<日立地区産業支援センターのHPにリンクします。>
 医師会:茨城県医師会(水戸市笠原町489)<茨城県医師会のHPにリンクします。> 
 労基協:茨城労働基準協会連合会中央安全衛生教育センター (水戸市渋井町字堺橋263-1)
     <茨城労働基準協会連合会のHPにリンクします>
 筑波大:筑波大学健康医科イノベーション棟(つくば市天王台1-1-1)<筑波大学のHPにリンクします>

開催日時 テ ー マ / 講 師 開催会場 定員
4月10日(火)
18:00-19:00
「健康診断と事後措置」 
講師:田中完先生(産業保健相談員、新日鐵住金株式会社鹿島製鐵所産業医) 
【概要】病気との両立支援や安全配慮義務など最近の話題から、健康管理の基本である健康診断が、改めて注目されています。
企業が行う健康診断の意義と有効性、正しい就労配慮、事後 措置の実施率を上げるためのヒントなどを、事例を通してご紹介したいと思います。
新日鐵住金(株)人材育成センター 40
4月13日(金)
14:00-16:00
「騒音性難聴を予防する ~現場でできること~」 
講師:和田哲郎先生 
  (産業保健相談員、筑波大学医学医療系耳鼻咽喉科准教授、騒音性難聴担当医) 
【概要】騒音性難聴は典型的な業務上疾病ですが、未だに有効な治療法が確立していません。 しかし予防は可能です。 
騒音作業は、金属の研磨や機械加工など多くの作業が該当します。厚生労働省は「騒音障害防 止のためのガイドライン」により騒音障害防止対策を示しています。このガイドラインは、金 属製品製造業のほか鋳物業、プラスチック製品製造業、ゴム製造業、印刷業、ダンボール製造業など多くの工場に適用されます。
茨城産業保健総合支援センターでは、平成26年度以降に全国の産業保健総合支援センターに寄せられた騒音性難聴に関する相談や質問を整理集計し、回答をまとめ、「騒音性難聴に関わるすべての人のためのQ&A」第1版を作成しました。 
この内容を基に騒音性難聴について解説します。騒音測定の実習も実施します。 
専属産業医にとっても有益な内容です。
水戸 30
4月17日(火)
14:00-16:00
「職場のメンタルヘルス対策~心の健康づくり計画の策定に焦点を当てて~」 
講師: 田村清俊先生(メンタルヘルス対策促進員、産業カウンセラー) 
【概要】皆さんの事業場では心の健康づくり計画を策定されたでしょうか?「作りたいと思うけどなかなか時間がとれない。」「どこから着手して良いか分からない。」「具体的に何をすれば良いのかピンとこない。」…メンタルヘルス対策促進員として事業場を訪問するとそのような声を聞くことが少なくありません。
平成18年に公示された「労働者の心の健康保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」では、心の健康づくり計画を各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置づけることが望ましいとしています。しかし、公示後10年を経過する現在でも多くの事業場では策定の途上にあるようです。
このセミナーでは、心の健康づくり計画をよりスムーズに策定できるよう、事前に確認しておくべき事項や、策定のための手順、実施項目の具体例などを紹介します。また、心の健康づくり計画のための助成金や産業保健総合支援センターの支援(無料)についても説明します。
心の健康づくり計画を策定しようとしている皆様の参加をお待ちしております。
水戸 30
4月25日(水)
14:40-16:00
「メンタルヘルス・ケースカンファレンス」
講師 : 山村 邦男:産業保健相談員、山村医院院長
【概要】メンタル不調者や新型うつ病が年々増える傾向にあり、企業の担当者が対応に苦慮している事例も多数見受けられます。
 本セミナーでは、参加者が提示するメンタルヘルス事例について、全体で討議を行い、当連絡事務所の産業保健相談員(精神科医:メンタルヘルス担当)が総括とアドバイスを行います。
現場でメンタルヘルス対策に苦慮されている方々にとってとても参考になるセミナーです。
水戸 10
5月9日(水)
14:00-16:00
「労働安全衛生法に基づく保健指導」
講師: 山海知子先生(産業保健相談員、筑波大学医学医療系保健医療学域准教授)
【概要】労働安全衛生法は、「事業者は、健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師または保健師による保健指導を行うように務めなければならない。」としています。
また、長時間労働者と高ストレス者については、医師による面接の結果により、保健指導を行います。
本セミナーでは、保健指導対象者の選定、保健指導の内容など保健指導の基本的事項について説明します。
また、メンタルヘルスに関する指導についても説明します。非常勤の産業保健師、嘱託産業医、労働者数300人未満の事業場の健康管理担当者に役立つ内容です。
水戸 30
5月16日(水)
13:30-15:30
「法に基づくストレスチェック制度実践編 ~職場環境改善活動につなげる健康経営の考え方~」
講師:石見忠士先生(厚生労働省委託事業「こころの耳」運営事務局 事務局長)
【概要】産業保健スタッフおよび事業場内メンタルヘルス推進担当者(人事労務担当者等)が、経営トップに説明したり、労働者に研修したりする際に、「使えるネタ」を提供します。
法に基づくストレスチェック制度を実施した後、集団分析結果を踏まえた職場環境改善活動時に使えるツールや手法について、解説いたします。また、各種事業場の取り組み事例もご紹介いたします。
その他、今年から始まった経済産業省が推し進めている、労働者の健康作りに力を入れる「健康経営」に取り組む中小企業を認定する制度「健康経営優良法人認定制度」(2017年度は、大企業236法人、中小企業318法人が認定)についても、詳しく解説いたします。
本講義を通じ、自社に持ち帰った上で、働く人のメンタルヘルスに関し説明する力が身につけられることを願っております。
土浦 30
5月23日(水)
18:30-20:30
「産業医による職場巡視」
講師:中谷敦先生(産業保健相談員、(株)日立製作所水戸健康管理センタ長)
【概要】産業医による職場巡視は、衛生管理者による職場巡視とは異なる視点が必要です。
本研修では製造業の写真を用いて職場巡視について解説し、グループワークを行います。
土浦 30
5月29日(火)
18:00-20:00
「企業に寄り添う健康経営の取組とその効果」
講師:村松賢治先生 (東京大学政策ビジョン研究センターデータヘルス研究ユニット受託研究員、健康経営アドバイザー)
【概要】最近「健康経営」という考え方が広まり、従業員の健康を経営資源と捉え、職場の環境改善に積極的に取り組むことにより、組織の生産性の向上を図る取り組みが話題になっています。
このような取り組みは、経営者や産業保健スタッフにとって理想的な活動です。茨城県の企業としては、1社が健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定されています。
本セミナーでは、健康経営の概要とともに、実際の健康経営の取組事例に基づき、企業に寄り添いながら職場の健康づくりを進めるポイントと、それによる経営者・従業員、双方にとっての効果を解説します。
事業場における健康づくりの要である産業医や産業看護職、健康経営優良法人の認定を目指す企業の経営者や健康管理担当者は、是非、ご参加ください。
水戸 30


<産業保健セミナーを受講される皆様へ> 

 最近、産業保健セミナーの開始時間に遅刻する受講者が見受けられ、他の受講者の妨げとなっています。
 つきましては、以下の事項を守っていただくようお願いします。

  1. 受講者は、産業保健セミナーが開始される5分前には、席に着いていただくようお願いします。
  2. 日本医師会認定産業医制度産業医学研修会の単位については、開始時間に遅れた場合、会場に入れないことがありますので、特に注意してください。

<産業保健セミナーの受講を申し込まれた皆様へ>
 産業保健セミナーの受講を申し込まれても受講されない方が見受けられ、他の方に迷惑を及ぼしています。
 つきましては、以下のようにさせていただきますので、ご了承ください。

  1. 欠席される場合は、必ず当総合支援センターに電話・メール等でご連絡ください。
  2. 欠席が目立つ方は、ご連絡をさせていただき受講をお断りする場合があります。

<認定産業医の皆様へ> 
 現在お持ちの生涯研修手帳(3~5年前更新時に発行された手帳)の番号と産業保健セミナーでお渡ししている日医シールの番号が若干違っています。これは平成22年度版から日医産業医制度実施要綱が改正になっているためです。番号が違っている場合は、似た項目のところに貼っていただければ手帳の更新時に茨城県医師会で確認します。

※ 先着順になりますので、お早めにお申込みください。

※ 有料駐車場をご利用の場合、参加者のご負担となりますので、ご了承ください。
    できるだけ公共交通機関をご利用ください。

※ 受講のお申込みは、当総合支援センターのホームページ、FAX、メール等でお申込みください。

※ セミナーに関する講話の概要並びに主な受講対象者、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修、講師等セミナーについての詳細はこちらをご覧下さい。

総合支援センターからのご案内

▼産業保健の「相談」をお待ちしています!! 
 当総合支援センターでは産業保健に関するあらゆるご相談に応じています。電話、FAX、メールでも結構です。
(※「メール」が便利です。)
費用は「無料」ですので、お気軽にご相談ください。
また、「個人情報」は守られていますので、ご心配いりません。最近はメンタルヘルスに関する相談が大変増えてきました。

※相談フォームはこちらをご利用ください。

労働衛生専門職より

昭和30年代には、岩戸景気などの好景気が続き、日本人の暮らしにも大きな変化が見られ、家庭電化製品の普及が目覚ましく、生活水準は著しく向上しましたが、その裏に労働災害の大型化、新しい職業病の発生という「ひずみ」がありました。
 特に、中小企業での労働災害は激増し、昭和32年の支障年千人率は、昭和27年当時の49%増となり、大企業に比べて安全についての指導も少なく、自主的安全活動も乏しく、さらに、爆発や落盤も頻発して、我が国の健全な産業発展の上からも、ゆるがせにできない状態となっていました。
 そのため、政府として昭和33年8月に、5年後の労働災害を半減させるために「産業災害防止総合5ヶ年計画」を発表しました。
平成30年度からは第31次労働災害防止5ヶ年計画がスタートします。
 労働災害は、昭和36年の48万1千人(休業8日以上)をピークに減少していきましたが、一時に3人以上の死傷者を伴う「重大災害」は増加傾向を示し、作業行動災害は減少していき、動力運転災害が増加しました。こうした現象は、生産技術の変化によるものと考えられました。
 労働衛生面でも、労働の緊張と単純化のために、労働者は精神的肉体的に疲労を招きやすくなり、精神障害に陥る例も多く、新しい原材料の使用による工業中毒の対策を講じる必要が生じてきていました。
また、重化学工業における雇用の急速な拡大は、労働衛生上有害な業務に従事する労働者を増加させ、職業病対策の対象が拡がっていきました。
 製造業で働く労働者数を見ても、昭和30年の530万から昭和40年には1,130万人と増加していきました。
 昭和30年代は、安全衛生関係の法規が新たに制定されたり、改正された時代であり、特に、労働安全衛生規則は4回も改正されました。いずれも、労働災害が多発していた作業や死亡率の高い作業について、新たな安全衛生基準を設けたものでした。

その主だったものは、

  • 昭和34年:足場(丸太足場から鋼管足場へ)関係及び動力機械(杭打機などの利用範囲の拡大)関係
  • 昭和35年:電気災害の防止(活線作業などでの感電防止)、林業作業(造林など)の機械化による災害防止及び港湾荷役作業における腐食性液体の取扱いに関する改正など。

また、労働安全衛生規則から独立し、単独の法規として制定されせたものは、

  • 昭和34年:ボイラ及び圧力容器安全規則
  • 昭和37年:クレーン陶等安全規則

労働衛生関係では、

  • 昭和34年:電離放射線障害防止規則、
  • 昭和35年:有機溶剤中毒防止規則、
  • 昭和36年:高気圧障害防止規則、
  • 昭和42年:鉛中毒防止規則、
  • 昭和46年:酸素欠乏症防止規則、事務所衛生基準規則、特定化学物質等障害予防規則。

これらの法規は、産業の復興とともに、安全衛生上のさまざまな問題を提起されたための対応でした。
昭和33年から2度に渡る「産業災害防止総合5ヶ年計画」もそれなりの成果を上げましたが、産業構造の高度化、労働力不足の深刻化の時代を迎えて、今後の安全衛生の進め方を国として何らかの抜本的な対策を立てる必要に迫られ、それには、総合的な労働災害防止体制の整備と充実を図らねばなりませんでした。

そこで、国の行う監督指導に合わせて、労働者の安全衛生について直接の責任を持つ事業主の自主的な災害防止活動を促進することの重要性が改めて見直され、この活動の中心母体となる事業主の団体を組織させる必要がありました。

労働省は、欧米諸国の労働災害防止体制の実態を参考に法案を作成し、昭和39年「労働災害防止団体等に関する法律」が公布、施行されました。

  • 中央労働災害防止協会(昭和39年8月1日発足)
  • 建設業労働災害防止協会(同年9月1日設立)
  • 陸上貨物運送事業労働災害防止協会(同年8月15日設立)
  • 林業・木造製造業労働災害防止協会(同年9月1日設立)
  • 港湾貨物運送事業労働災害防止協会(同年9月1日設立)
  • 鉱業労働災害防止協会(同年10月1日設立、平成26年3月31日解散)

次回は、労働基準法の見直しを記載いたします。

次回の第150号は、平成30年4月配信予定です。

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