「働く人のこころの健康相談室」 平成29年度の利用状況

茨城産業保健総合支援センターでは、2007年12月から、「働く人のこころの健康相談室」を設け、勤労者のメンタルヘルスに関する相談を受け付けてまいりました。
このたび、平成29年度の利用状況を、下記のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。

1.相談期間 平成29年4月7日~平成28年3月23日

2.相談日数
(3時間/日)

29年度 28年度 27年度
47日 46日 44日
3.相談者数 30名/55件
(実人数30名)
41名/65件
(実人数41名)
延50名/82件
(実人数46名)

4.相談結果・概要:

  • 40台が4割を占め最多だが、2位以降は働き盛りの全世代がほぼ同数だった。
    男:女=6:4
  • 労使双方共に「言えずに現状打開出来ずにいる」対応困難事例の打開策の相談が多かった。
    ①職場の問題  ②個人の性格特性関与する職場対応困難な相談が増加している。
  • 職場問題: 仕事・人間関係が68%を占めた。(パワハラ・生き方含む) ストレスチェック制度の法制化で、産業医面談の効果が出たと思える。相談者が減少傾向にある。
  1. 年代別:
    40代(40%)・20代(23%)・50代(20%)・30代(17%)の順だった。
    企業側: 余裕のない職場環境の中、対応困難な不調者の対応・復職対応に悩む相談。
    労働者側:  重い事例相談が増えた。

    1. 人間関係問題(パワハラ含む)
    2. 事例性: 性格傾向と職務・組織の要求間で仕事が上手く出来ない。
    3. 疾病性: 心身疾患で病状・体調の波に悩みつつ何とか復職したい。対処方法の悩みなど。
  2. 男女比   男:女=6:4、 男性が多かった。
    (28・27年度=5:5 26・25・24年度=6:4 23年度=7:3)
  3. 相談内容:
    ①職場の問題 (68%)
    ②メンタル疾患(27%)
    ③家庭の事  (  5%)の順に多かった。
    企業側
    ①問題者・不調者の対応相談
    ②休業前・復職中後の対処方法の相談
    本人側: 人間関係(パワハラ含む)・仕事不適性からメンタル不調症状発生の相談が多かった。
    中途採用者が増加。→ 馴染めない。
    社員と軋轢・仕事や条件の格差に士気低下する。
    メンタル不調だが就業、仕事で問題が顕在化し将来が不安である(雇用継続・生活苦)。
  4. メンタル問題: 職場の問題+個人の性格特性関与の職場での対応困難な相談が増加している。

5-1.相談の対応

  • 複数重複する重症の面談者は、傾聴により変動する気持ちに添いつつ状況把握をし、問題の整理と明確化をして「自己理解」を支援した。納得・了解を得られた場合はリファーまで支援した。
  • 高リスク者・転職希望者は、適職・必要条件探しの情報収集、資格取得の準備等の情報提供をした。
    1. 傾聴しつつ、現状が少しでも軽減する方法・対処法を一緒に考え、出来る事を探した。
    2. 複数重複する事例、問題発生リスクの高い相談者対応の初回対応は難しいが、事故防止の必要度に応じて、優先度の高い問題の可能な対応を提案した。再度相談も可能と伝え最善を尽くした。
    3. 状態改善のため、①自己の現状理解支援 ②生活リズム改善(睡眠・生活習慣) ③受診勧奨をした。
    4. 企業側相談事例は、面談内容から問題の把握、適応のための職場対応の支援をした。
      また、問題の明確化・適切な支援のために、可能なら問題者の面談を推奨、面談に繋げた。面談実現事例では、問題者と会社側の認識に大きな乖離があり、より適切なリスク防止策の支援ができた。

5-2.相談者の反応

  1. 話を聴く事で、下記の感想が聞かれた。
    1. 「誰にも言えなかった事を話せて良かった。落ち着けた。」
    2. 「今の状況・気持ち・問題点が理解できて、先が少し見えて来た」
    3. 「問題点が明確になったので、問題の対処方法が分りできることをやってみようと思う。」
    4. 困難事例は「産業医や主治医に会い、対処法の意見・指導など聴く」など連携対応の支援をした。

6.カウンセラーとして感想・提案したいこと
  感想:

  1. 相談者の減少は、ストレスチェック制度の法制化、企業で高ストレス者面談が義務化された効果が出ていると推測される。一方で、相談できない重症者の相談が増加てきた。
  2. 小規模事業場は、知識・対応が理解が不十分で、メンタルヘルス教育の必要性を感じた。
  1. 心の健康対策は、早期発見で悪化防止、休業者には適切な支援で職場復帰の手助けが望ましい。
    1. 発生防止: 「自発的相談が可能な職場風土作り」、全員が知識を持ち対処できる事が望ましい。
      周囲の人が、対話で確認し適切な対応ができるように知識を持ち、理解と配慮・支援が望ましい。
    2. 復職と再発防止: 休業者は、主治医と相談し「リワーク支援センターやデイケア等」時期に応じて適切な対処をして、復職しやすい状況を作り、上手に復職の努力をして再発防止をする事が望ましい。
  2. 組織の発展・損失やリスク低減には、「全員が知識を持ち早期発見・早期対応で不調者を出さない」ことが望ましい。
    研修などで知識の共有化・早めの相談をされたい。

平成29年 相談結果

1.月別相談人数N=30人

1.月別相談人数 N=30人

2.相談人数・男女別    N=30人

2.相談人数・男女別    N=30人

3.相談内訳 年代別・男女別・人数 N=55件

3.相談内訳 年代別・男女別・人数 N=55件

4.相談項目別人数 N=55件

4.相談項目別人数 N=55件

5-1.相談内訳 年代別・男性人数 N=32件

5-1.相談内訳 年代別・男性人数 N=32件

5-2.相談内訳件数 年代別・女性人数  N=18件

5-2.相談内訳件数 年代別・女性人数  N=18件