いばらき産保ニュース 第13号

発行日:2008/1/7
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


このメールマガジンは、当センターをご利用いただいた方または購読を ご希望の方に、概ね月に2回、最新情報や資料をお届けするものです。


【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

「第二類物質」にホルムアルデヒドを追加/安衛法施行令の改正案

労働安全衛生法施行令に規定する特定化学物質「第二類物質」にホルムアルデヒドを追加する「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」が、昨年12月14日に公布されました。
特定化学物質「第二類物質」は、がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、「第一類物質」(特に有害性が高く、製造工程で特に厳重な管理を必要とするもの)に該当しないものをいいます。
この改正により、ホルムアルデヒドを製造し若しくは取り扱う屋内作業場について、6月ごとに1回、空気中のホルムアルデヒドの濃度測定(作業環境測定)が義務付けられます。
ただし、ホルムアルデヒドを製造し若しくは取り扱う業務に従事する労働者に対する特殊健康診断については、行わない予定です。
この政令は、平成20年3月1日から施行される予定です。
詳しくは→
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei17/index.html

  • 【解説:ホルムアルデヒド】
    分子式 CH2O。刺激臭のある無色の気体です。 水に溶けやすく、水溶液を「ホルマリン」と呼び、消毒剤や防腐剤に使われています。
    また、さまざまな樹脂の原料となり、その樹脂は、接着剤、塗料、食器、繊維の加工等に広く利用されています。 人体へは、粘膜への刺激性を中心とした急性毒性があり、蒸気は呼吸器系、目、のどなどの炎症を引き起こします。また、皮膚や目などが水溶液に接触した場合は、激しい刺激を受け、炎症を生ずることがあります。このため現在は、特定化学物質「第三類物質」に指定されています(「第二類物質」指定とともに解除予定)。
    ホルムアルデヒドは、世界保健機関(WHO)の外部組織である「国際がん研究機関」によりグループ1の化学物質に指定され、「人に発癌性がある」と警告されていました。
    このほか、ホルムアルデヒド含有の建材によるシックハウス症候群の発生も注目されています。
悲惨さ増す「職場のいじめ」の実態/産業カウンセラーが見た職場

社団法人日本産業カウンセラー協会は、「職場のいじめ」に関して、産業カウンセリングに業務として携わっている産業カウンセラーを対象にアンケートを実施しました。
「職場のいじめ」は、前回の調査で最も反響が大きかったため、今回、より正確な実態を明らかにすることを目的に実施したものです。 その結果、「職場のいじめ」の事例経験があるという回答は80.5%と、8割を超えました。
いじめの内容としては「パワハラ」が78%と最も多く、次いで「人間関係」(59%)、「仕事のミスに対するいじめ」(44%)、「セクハラ」(36%)と続きました。 いじめの形態としては「罵る・怒鳴る・威嚇する」が68%と最も多く、「無視・仲間はずれ」(54%)や「嫌がらせ」(50%)と続き、またいじめが生じた関係は「上司から部下に対して」が85%となっています。
調査結果を受け(社)日本産業カウンセラー協会は、CSR(企業の社会的責任)のもっとも重要な視点として位置づけ、人格を無視するようなハラスメントを根絶し、働く人が本当に大切にされる企業社会をつくり上げてゆくことが、いま企業の責任者に求められている、とコメントしています。
詳しくは↓
http://www.counselor.or.jp/news.aspx

  • 【関連セミナー案内】
    1. テーマ:職場のメンタルヘルス実践講座
      日時等:20年2月7日(木)午後2時~4時 日立シビックセンター
      概 要:産業保健スタッフあるいはチームリーダーを対象に、「ラインによるケア」を実践するために必要な知識、 対応方法等について講義。
    2. テーマ:ストレスケアとしてのリラクゼーションの技法を学ぶ~自律訓練法など~
      日時等:20年3月4日(火)午後2時~4時 産業保健推進センター
      概 要:自律訓練法を始めとするリラクゼーションの技法を紹介するとともに、自律訓練法の習得方法について臨床心理士が指導。
    3. テーマ:ラインケア支援の方策マニュアル」を用いた管理職教育とその効果について
      日時等:20年3月12日(水)午前10時~12時 つくば国際会議場
      概 要:職場での対応を「うつ病事例」、「統合失調症事例」、「未熟型・慢性うつ病事例」などに分類し、その理解を深め、 それぞれの対応のポイントについてモデルケース検討を通じて学ぶ。
10年後に週労働時間60時間以上の雇用者割合を半減
/「仕事と生活の調和」で憲章と行動指針を策定(政府)

政府のワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議は18日会合を開き、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」 と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」をとりまとめました。
「行動指針」には、10年後に

  1. 週労働時間60時間以上の雇用者の割合を現状から半減させる、
  2. 年次有給休暇の取得率を完全取得とする、
  3. メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所割合を現状の23.5%から80%にすることなどを掲げています。

憲章では、共働き世帯が増加する中、若い世代の結婚や子育てを支援するために 「働き方の見直しは企業にとっても生産性の向上につながる」と指摘し、企業側の協力を求めています。
「企業も生産性が向上し、競争力が強化される」のであれば、なぜいままでそうした取り組みがなされなかったのでしょうか?
ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて、政府も自治体もそれぞれの役割と責任を担うとしています。 こういう“ばら色”の指針が出るたびに、いつもそう思ってきたのですが、あとはいかに実行していくかでしょう。

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

有害物ばく露作業報告は3月31日までに/平成20年報告物質が公表

労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で、厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う作業場がある事業場は、労働者を当該物のガス、蒸気又は粉じんにばく露するおそれのある作業に従事させたときは、有害物ばく露作業報告を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないことになっています。
これは労働者の有害物へのばく露の状況を把握し、必要な措置を講じていくことをねらいとしたもので、今後有害物対策を効果的に進めていく上で必要な報告とされています。
昨年11月告示の一部が改正され、平成20年に報告が必要とされる物(44物質)が公表されました。 報告書は、平成20年3月31日までに提出しなければなりません。
但し、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間に一の事業場において製造・取扱いした対象化学物質の量が各対象化学物質当たり500キログラム未満である場合、対象化学物質等のガス、蒸気又は粉じんにばく露するおそれのある作業が全くない場合には、報告書を提出する必要はありません。
制度について詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/070409-1.html
報告についての問合せは、茨城労働局安全衛生課(電話029-224-6215)まで。

第3回独り職場の駆け出し産業看護職勉強会/20年2月26日(火)

学生時代に産業保健を学んだ事がない・・・
臨床の経験しかなくて何をしたら良いのか解らない・・・
独り職場で相談する先輩がいない・・・
という産業看護職の皆さんが集まり、産業保健業務と看護職の役割を共に学び、仲間をつくる事を目的とした勉強会です。
今回は、「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」について学習します。

  1. 開催日時 平成20年2月26日(火) 13時00分~16時00分
  2. 開催場所 茨城産業保健推進センター研修室
  3. 内容
    1. 13:00~14:00 特定検針・特定保健指導について
    2. 14:10~15:00 グループワーク
    3. 15:10~16:00 グループワーク発表
  4. 対象 企業の健康管理室等に勤務する保健師、看護師の皆さん

参加を希望する方は、以下の質問に対する回答を添付して、氏名、所属企業名、連絡先等を明記して、 Eメール又はFAXで茨城産業保健推進センターまで申込んでください。

  • 勉強会進行の参考とさせて頂きますので、以下のご質問にお答えください。
      • 質問1.厚労省の「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」を理解していますか?
      はい ・ いいえ
  • 質問2.情報交換の時間にあなたが話したい事・聞きたい事はどんな事ですか?

(なるべく具体的に記載して頂けると助かります。)

新着図書・教材情報(無料貸出し)

図書、ビデオ、DVDのリクエスト募集

茨城産業保健推進センターでは、図書、ビデオ、DVD(以下「図書等」という)のリクエストを募集することにしました。
リクエストメールには、図書等のタイトル、著者名、出版社、図書・ビデオ・DVDの種別などの情報をわかる範囲でご記入いただき、「お名前」と「連絡先(E-mail、電話番号、FAX番号等)」を明記してください。
予算上の制約から、必ずしもご要望に添えない場合や入手するまで時間がかかる場合もあります。
また、産業保健に関する図書以外は原則として購入いたしませんので、ご了承ください。 図書等を入手したら、リクエストした方にはEメール等で連絡をさしあげます。 その後、1週間を過ぎても貸し出しの申出がない場合は、ライブラリーに掲載して一般の方に貸し出しを案内いたします。
<記載例>
氏名:山川 海雄
Eメール:umio@yamakawa-sangyo.ne.jp
電話:029-345-6789
種類:図書
書名:安衛法便覧 平成19年度版
出版社:労働調査会

産業保健Q&A

有機溶剤健康診断について検査項目の省略は可能か

【質問】
トルエン、アセトンなどの有機溶剤を使用していますので、年に2回、特殊健康診断を実施していますが、毎回、同じ検査を行わなければならないのでしょうか。
年2回の検査のうち1回については、検査項目を省略することは可能でしょうか。

【回答】
事業者は、法令で定められた有機溶剤業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に、業務の経歴の調査、既往歴の調査、有機溶剤による自覚症状及び他覚症状、有機溶剤の代謝物の検査結果、尿中の蛋白の有無その他の検査を実施しなければなりません。
しかし、54ほどある有機溶剤の種類によって検査項目が異なるほか、特定の有機溶剤について実施すべき検査項目があったりもします。 また、物質によっては検査の省略も可能ですが、大変複雑になっていますので・・・
産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2008年」

  • 1月17日(木)14:00~16:00:ワークヒル土浦(土浦市木田余東台4-1-1)
    テーマ「産業看護職・衛生管理者のための口腔機能と肥満の関係~メタボリック症候群対策としての口腔保健~」
    実力アップ(Ⅳ-3-(3)1単位)
  • 1月31日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況と労災認定基準(判断指針)について」
    日医認定(基礎・後期2単位、生涯・専門2単位)
  • 2月7日(木)14:00~16:00:日立シビックセンター(日立市幸町1-21-1)
    テーマ「職場のメンタルヘルス実践講座」
    実力アップ(Ⅳ-3(4)1単位)
  • 2月13日(水)14:00~16:00:しもだて地域交流センター(筑西市丙372)
    テーマ「ヘルシーライフへの安全運転~メタボリックシンドローム・生活習慣病の予防について~」
    日医認定申請中
  • 2月21日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「防じんマスクの適正な選び方・有効な使い方」
    日医認定申請中
  • 2月23日(土)15:00~17:00:茨城県民文化センター分館(水戸市千波町東久保697)
    テーマ「特定健診・保健指導と運動プログラムの指導方法について」
    実力アップ(Ⅴ-5‐(3)1単位)
  • 2月26日(火)13:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「第3回 独り職場の駆け出し産業看護職勉強会」
  • 3月4日(火)14:00~16:00
    テーマ「ストレスケアとしてのリラクゼーションの技法を学ぶ~自律訓練法など~」
    実力アップ(Ⅲ-7‐(1)1単位)
  • 3月12日(水)10:00~12:00:つくば国際会議場(つくば市竹園2-20-3)
    テーマ「『ラインケア支援の方策マニュアル』を用いた管理職教育とその効果について(平成18年度調査研究結果報告)」
    日医認定申請中
  • 3月15日(土)10:00~11:30:茨城県立医療大学実習棟(阿見町阿見4669-2)
    テーマ「アジア諸国における産業看護職の活躍」実力アップ申請中
    ※セミナー修了後、産業看護職の交流会(11:30~13:00)を予定しております。

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。

コラム水戸南町だより

職場からうつ病をなくすには/2008年の初夢

昨年は労働者の自殺に関する損害賠償請求訴訟が社会的に注目を集めました。また、精神障害や自殺に関する労働者災害補償保険給付(労災)の請求も増加しています。
このように、今日メンタルヘルスの問題が企業に与える影響はきわめて大きいものがあり、従業員がうつ病等を発症してしまった場合、会社としての「安全配慮義務」を怠っていたようなときには損害賠償責任を追及されても仕方ないという状況になっています。
うつ病は、疫学的には生涯のうちに15%の人がうつ病にかかる可能性があるとされています。また、一年間に精神疾患が原因とみられて自殺した労働者数は約8千人を数えます。
こうみてきますと、経営者の方は“いつ従業員がうつ病になるのか”心配で、正月もおちおち寝ていられなかったのではないかと思います。

そこで提案ですが、いっそのことうつ病患者を受け入れる環境にない、または損害賠償責任を逃れたいと考えている会社は、うつ病になりやすい性格の従業員を採用しないという方針を掲げてみたらいかがでしょうか。
うつ病の原因はよくわかっていませんが、幸いなことにうつ病にかかりやすい性格として「メランコリー親和型性格」が知られています。 秩序を愛する、几帳面、律儀、生真面目、融通が利かないなどの特徴を持っていますので、心理テストや面接で判別は可能でしょう。
また、「病歴に関する申立書」を提出させ、うつ病に罹ったことのある人は採用すべきではありません。
昨年は、パワハラも問題となりました。パワハラが原因でうつ病になり、自殺に追い込まれた従業員もおりました。パワハラの加害者は管理職に多いので、自らの管理責任が問われるばかりでなく、会社にも責任が生じかねませんから、パワハラに弱そうな従業員も採用すべきではありません。 そうすれば、日頃リストラ圧力や目標達成などの心理的プレッシャーを受けている管理職も、遠慮なく部下に「あたる」ことでストレス解消になり一石二鳥です。
ただ、社員を追い詰めて「自己都合」で退社させる、いわゆるリストラを目的とした“パワハラ”は効果が薄いかもしれません。 きっと、ことあるごとに罵声や怒号が飛び交い、活気あふれる職場に変わるでしょう。また、みんな物事を論理的に考えることが苦手ですから、多少おかしなことを言っても通ってしまう、融通の利く会社になるでしょう。
問題は、こういう会社が数年後に残っているかどうかですが・・ 2008年の初夢でした。

めでたさもチューくらゐなりおらが春(一茶の句より、ねずみ年に掛けて)


次回の第14号は、平成20年1月下旬配信予定です。
編集内容等に関するご意見・お問合せなどをお寄せください。
バックナンバーは、こちらをご覧ください。
また、新規登録・変更、配信停止は、こちらからお願いします。
産業保健に関するご相談などは、お問い合わせフォームからお願いします。