いばらき産保ニュース 第19号

発行日:2008/4/8
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎


このメールマガジンは、当センターをご利用いただいた方または購読を ご希望の方に、概ね月に2回、最新情報や資料をお届けするものです。

【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

石綿被害、労災認定従業員勤務の2,167事業所名を公表

厚生労働省は先月28日、平成17、18年度に労災認定などにより アスベスト(石綿)での健康被害が認められた従業員の勤務先として、 2,167の事業所名を公表しました。
同省は平成17年に、16年度までの認定分として383の事業所名を公表 しています。 今回は、前回公表分と重複した事業所は含まれていませんが、公表について 「公表に不満を持つ事業所もあったが、注意喚起の意義の方が大きいと考えた。 不安があればすぐ労基署や保健所などに相談してほしい」としています。 都道府県別の事業所数は、大阪府が307と多く、東京都278、兵庫県198、 神奈川県173と続き、茨城県内では19社が含まれます。 業種別では、建設業が1,178と多く、製造業761、運輸業79など。 卸小売業やビルメンテナンス業、鉱業で認定された従業員もいました。
建設業以外の業種については、事業所内でアスベストが使用されていた 疑いが強く、周辺住民にも健康被害が及ぶ可能性も否定できないため、 同省で注意を呼びかけています。 アスベストによる労災認定者は、平成17年公表分と合わせ、今回の公表で 4,121人になります。
【アスベスト(石綿)にかかる健康相談】
茨城産業保健推進センターでは、産業保健関係者、石綿による健康被害を 受けられた労働者及びその家族の方々から、アスベスト(石綿)にかかる 健康被害に関するご相談を受け付けています。
ご相談は、電話、FAX又はEメールで。
Eメールでのご相談は ↓
https://ibarakis.johas.go.jp/inquiry

「労働時間等見直しガイドライン」の改正/労働時間等の見直しを推進

仕事と生活の調和については、昨年12月にワーク・ライフ・バランス推進 官民トップ会議において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス) 憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されています。 取組を一層推進するため、このたび厚生労働省は、労働時間等の設定の改善 に関する特別措置法第4条第1項の規定に基づく「労働時間等設定改善指針」 を改正しました。
【「労働時間等見直しガイドライン(指針)」が求める取り組み】

  • 労使間の話合いの重要性を踏まえた計画的な取組の推進
  • 年次有給休暇の取得促進
  • 長時間労働の抑制(所定外労働の削減)
  • テレワークの活用
  • 事業主団体による気運の醸成等

詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/dl/h0324-2a.pdf

うつ病による休職者の復帰を支援/医療機関がネットワーク

うつ病の職場復帰支援プログラム(リワーク)を手がけている医師らが 先月19日、復職支援の充実を狙いに医療機関ネットワーク「うつ病リワーク 研究会」を設立しました。
全国26医療機関に所属する精神科医約90人が参加し、うつ病による 休職者の効果的な復職支援を行うための情報交換や、産業保健スタッフや 人事労務担当者を対象にした研修会などを行うとしています。 厚生労働省の調査によると、平成11年に約44万人だったうつ病を含む気分 障害の患者数は、平成17年には約92万人と6年間で2倍以上になりました。 働く人々のメンタルヘルス問題は今や喫緊の問題であり、中でも、うつ病で 休職している社員に復職問題は大きなテーマとなっています。 (読売新聞ほかより)
【関連セミナー案内】

  • テーマ:メンタルヘルス疾患による休職者の職場復帰について
    日時等:4月17日(木)午後2時~4時茨城産業保健推進センター
    概要:研修では、復職の可否の判定を含め、復職希望の申請から復職後の フォローアップまで、厚生労働省の「職場復帰支援の手引」も踏まえつつ、 事例も交え産業医として果たすべき役割、留意点等について講義します。
  • テーマ:職業性ストレス簡易調査票の使い方を学ぶ
    日時:4月19日(土)13時から17時
    概要:研修では、「職業性ストレス簡易調査票」を実際にグループで使い、 データの入力・分析を中心に、調査票の作成、回収、個人や職場へのフィ ードバックなどを実習します。
  • 【関連セミナーの予告】
    10月23日(木)14時から、茨城障害者職業センター(笠間市)において テーマ「精神疾患で休職中の社員の職場復帰支援について~リワーク支援事業 を学ぶ~」 日本医師会認定認定産業医単位申請予定

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

新型インフルエンザ対策関連情報

H5N1型ウイルスによる新型インフルエンザのパンデミック(感染爆発)が予想されることから、 現在、厚生労働省及び海外勤務管理センターのホームページにおいて、新型インフルエンザ関連情報が掲載されています。
詳しくは↓
厚生労働省 「新型インフルエンザ対策関連情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/

メンタルヘルス・ケースカンファレンス/第1月曜日、隔月1回開催

産業保健の場で起こるメンタルヘルスに関する様々な問題に対し、提供者 と参加者が意見を出し合い、対話を重ねながら、より良い解決を考えてゆき ます。 当センターの産業保健相談員(メンタルヘルス担当)も討論に参加し、 提供者と参加者に対し助言、指導を行います。

  • 開催日
    1回目平成20年6月2日(月)
    2回目同8月4日(月)
    3回目同 10月6日(月)
    4回目同 12月1日(月)
    5回目平成21年2月2日(月)
    いずれも、午後2時40分から午後4時まで。
  • 会場:茨城産業保健推進センター研修室
  • 対象:産業看護職、人事労務担当者、心理相談員
  • 定員:1回あたり15名程度
  • 参加申込方法
    • 参加をご希望の方は、産業保健セミナー受講申込書に、必要事項を ご記入の上、茨城産業保健推進センターまで、FAX又はEメールで お申込ください。折り返し、センターから受講票をお送りいたします。
    • 同時に複数回分お申込いただくことも可能です。
    • 事例提供者以外の方の参加も歓迎いたします。

詳しくは↓
https://ibarakis.johas.go.jp/consultation/mendan/personal

「働く人の心の健康相談室」の利用状況

茨城産業保健推進センターでは、昨年12月から、毎月2日(毎月第2・ 第4月曜日)「働く人の心の健康相談室」を設け、勤労者のメンタルヘルス に関する相談を受け付けてまいりましたが、このたび、本年3月までの 利用状況を別紙のとおり取りまとめましたのでお知らせいたします。
「働く人の心の健康相談室」は、平成20年度においてもこれまで同様、毎月 第2・第4月曜日午後3時から6時まで開設します。
利用状況 詳しくは↓
https://ibarakis.johas.go.jp/archives/2063

新着図書・教材情報(無料貸出し)

産業保健ハンドブックⅣじん肺(図書251頁)/産業医学振興財団
【概要】
厚生労働省の平成18年における業務上疾病調べによると、「じん肺症お よびじん肺合併症」は、いまなお765件発生しています。
じん肺予防対策については、作業環境測定等の作業環境管理、粉じん ばく露防止のための作業管理、じん肺健康診断とその事後措置の実施の 健康管理が基本、労働衛生教育などを適切に行うことが基本です。 本書は、産業医を中心とする産業保健スタッフのため、じん肺に関する 基本的知識から、実際に作業環境管理、作業管理および作業管理健康管理 などをどのようにすすめるか、わかりやすく解説しています。

産業保健Q&A

医師の面接指導/労使で労働時間数が異なる場合は

【質問】
残業などを月に100時間を超えて行った労働者が申出をした場合は、 医師による面接指導を行うことが義務付けられています。
ところで、会社に報告された残業時間数は100時間を超えていませんが、 本人は100時間を超えて残業を行ったと主張しています。確かめるには時間 がかかります。どうしたらよいでしょうか。
【回答】
事業者は、労働者の健康の保持のため、労働安全衛生法第66条の8の 規定により、1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1月当たり 100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者について、労働者の申出に より医師による面接指導を行わなければなりません。
時間数の計算は次の算式で行います。
1ヶ月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数) -(計算期間の総暦日数÷7×40)
この算定方法は、特例措置対象事業場でも変形労働時間制採用事業場でも フレックスタイム制採用事業場でも変わりません。このため、労働基準法上 の時間外労働時間数とこの計算式による時間数は必ずしも一致しません。
また最近、「労働基準監督署が立入調査で、時間外手当の不支給を摘発」、 「時間外手当の不支給による裁判で会社が敗訴」等の記事にも見られる ように、把握されていない残業の問題も大きくクローズアップされてきて います。
特に、自己申告制による労働時間の把握については、曖昧な労働時間管理と なりがちで、「申告が面倒だ」、「上限がある」、「査定に影響がある」等の理由 で実際は過小に申告されているケースが多いとされています。
ところが面接指導は、労働安全衛生規則第52条の3第3項の規定により 「遅滞無く(概ね1ヶ月以内に)、面接指導を行わなければならない」と定めら れていますので、労働時間数の食違いについて確かめている余裕はありません。

産業保健Q&Aの続きは、こちらをご覧下さい。
産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2008年」

  • 4月17日(木)14:00~16:00:茨城県立図書館
    テーマ「メンタルヘルス疾患による休職者の職場復帰について」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 4月19日(土)13:00~17:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「職業性ストレス簡易調査票の使い方を学ぶ」
    実力アップ(Ⅳ-5-(3))
  • 4月25日(金)18:30~20:30:鹿嶋勤労文化会館(鹿嶋市宮中325-1)
    テーマ「企業保健室の漢方について」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 5月8日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「カウンセリング技法講座初級-カウンセリングとは何か-」
  • 5月14日(水)18:30~20:30:茨城産業保健推進センター
    テーマ「産業・医療の場で使われる放射線と健康への影響について」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 5月22日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「産業保健における口腔疾患~生活習慣と口腔疾患、その予防について」
    実力アップ(Ⅳ-3-(1))
  • 5月29日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「作業環境測定結果の見方について~デザインの方法、評価方法を中心に~」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 5月30日(金)18:30~20:30:ワークヒル土浦(土浦市)
    テーマ「『エゴグラム』で心をみてみよう」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2)
  • 6月5日(木)14:00~16:00:ダイヤ分析センター(稲敷郡阿見町)
    テーマ「屋外作業場等における個人サンプラーを用いた有害物質ばく露濃度の測定」
    日医(基礎・実地2、生涯・実地2予定)
  • 6月11日(水)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「職業性腰痛の予防と対応」
  • 6月19日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター
    テーマ「WBGT(湿球黒球温度)指数を使った熱中症対策」
    日医(基礎後期1・実地1、生涯専門1・実地1予定)
  • 6月20日(金)18:30~20:30:ワークヒル土浦(土浦市木田余東台4-1-1)
    テーマ「産業・医療の場で使われる放射線と健康への影響について」
    日医(基礎・後期2、生涯・専門2予定)
  • 6月26日(木)14:00~17:00:日立ハイテクノロジーズ那珂事業所(ひたちなか市)
    テーマ「産業医の職場巡視について(実習)」
    日医(基礎・実地3、生涯・実地3予定)
  • 7月3日(木)14:00~16:30:株式会社 小松製作所茨城工場(ひたちなか市長砂163-46)
    テーマ「防じんマスクの適正な選び方・有効な着用方法」
    日医(基礎・実地2、生涯・実地2予定)

注:「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。

コラム水戸南町だより

「禁煙」、「煙草」に関する面白い記事

「禁煙」、「煙草」等で検索すると面白い記事に遭遇することがあります。
新たに禁煙令が施行され、今年1月からはカフェやバー、レストラン などが原則禁煙になったフランスでは、あるたばこ屋を兼ねたバーの主人 が「喫煙の自由」を掲げ、店主が禁煙法の適用緩和を求めハンストを開始 したそうです。
日本でも、JR東日本が新幹線や特急を全面禁煙にしたことで、法の下 の平等に反し、幸福追求権などを侵害されたとして、禁煙措置の取りやめを 求める訴訟が提起されています。 判決は、「禁煙で受ける不利益は、・・生存に重大な影響を持つものでは ない」と、すげなく請求を退けていますが、同じことを考える人は、 洋の東西を問わず多いようです。 仏の禁煙令で、仏映画に付きものだった、煙草をくゆらすシーンを懐かしむ 人もいます。 最近、あまりヒット作品がないフランス映画が、ますます味気なくなるので はないか、”禁煙法”下の新たな風俗を探った傑作が生まれることを期待する以外 なさそうだ、と嘆いています。

また、喫煙歴30年余りでなんと30数万本吸ったと自認する男性は、「煙草 1本で寿命が5分縮まる」という説を聞き、縮まる寿命を計算したそうです。 20歳から70歳まで50年間吸い続けたと仮定して縮まる寿命は250万分、 年数に直すと4年9ヶ月。平均寿命と比べても「誤差の範囲内」と嘯いている くらいですから、禁煙する気にはなれないはずです。 禁煙に成功した人たちも、思い思いにサイトを立ち上げ、さも最初から嫌煙 であったかったように、喫煙の害や禁煙の節約効果を謳っているのにはニヤリ とさせられます。 そうしたサイトで、面白い禁煙グッズを見つけました。 絶煙香。匂いを1日に数回、嗅ぐだけで3日目くらいからタバコを吸いたい 気持ちが減少する香草エキスだそうです。 中国・北京の現代中医臨床免疫所が北京大学の教授など16名の漢方学の 権威の力、2年の歳月と巨費を投じて研究開発されたということですから、 漢方3000年の底力を感じてしまいました。 禁煙マグネット、ゼロスモーク。強力磁石を使った耳ツボ減煙グッズで、 1日3~4時間耳に装着するだけで禁煙が実現するそうですが、ちょっと 胡散臭くもなきにしもあらず。「医療器具ではありません」と言っている あたりが、ミソでしょうか。 「フォーエバーホワイト3」というホワイトニング用パック歯みがきも紹介 されていました。なぜこれが禁煙グッズなの?と思う方も多いと思います。 喫煙をしていれば煙草のヤニで歯が汚れます。もしその歯が、白くなったら どうでしょうか? また吸いたいと思いますか?おそらくもう吸いたいとは思わないでしょう。 その吸いたくないと思う気持ちは、歯が白くなることで、もっと強くなる はずです。「そんな些細なことから禁煙は始まる」とありますが、まさに これは行動療法そのものです。

お隣の将軍様の国でも、平壌にこのほど専門医師が常駐する禁煙センター が開設されたそうです。 研究室も備え、独自に開発された「禁煙ガム」「ニコチン解毒パイプ」など 禁煙関連商品を販売するほか、専門医師が対応する相談室を設け、来訪者の 約80%がたばこと縁を切っているというから立派なものです。 同国政府は、2010年までに喫煙率を30%まで抑えることを目標にして います。一枚岩のように見えても、目標を0%に出来ないあたり、煙草は なかなか手ごわいようです。


次回の第20号は、平成20年4月下旬配信予定です。
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