いばらき産保ニュース 第38号

発行日:2009/1/21
ホームページ:https://ibarakis.johas.go.jp/
発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小林 敏郎

【新着情報】
【センターからのお知らせ(お役立ち情報等)】
【新着教材情報】
【産業保健Q&A】
【主なセミナー案内】
【コラム:水戸南町だより】

新着情報

タミフル耐性のインフルエンザウイルスについて(中間報告)

厚生労働省は、19日(月)、2008/09シーズンのインフルエンザにおける オセルタミビル(タミフル)耐性ウイルスについて、2009年1月8日時点の 感染症発生動向調査における薬剤耐性株に関する中間報告を、ホームページ で情報提供しています。 今後、引き続きサーベイランスを行い、発生動向を注視することとしています。 
詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0116-10.html

【関連セミナー】

  • テーマ:新型インフルエンザ対策~準備・対応・対策ガイドライン等について~
    日時:平成21年2月26日(木)14:00~16:00つくば国際会議場中会議室
    概要:新型インフルエンザの最近の状況、厚生労働省の新型インフルエンザ対策、 事業所が準備すべき対策とパンデミック時の対応等について説明。
小規模飲食店など適用除外/神奈川県禁煙条例

民間も含め屋内での喫煙を規制する受動喫煙防止条例の制定を目指す 神奈川県は、13日の記者会見で、小規模飲食店やマージャン、パチンコ店 などを規制の適用除外とする修正案を発表しました。 業界からの反発が強いことがその理由。当初目指した、一律全面禁煙から 大きく譲歩しています。 修正案では、これら店舗について努力義務を課した上で、全面禁煙に向け 施行から3年後の見直し条項も設けています。松沢知事は「一歩でも進める ことが重要。施設の努力を引き出しながら段階的に目標に近づいていくアプローチ が必要だ」と語り、2月県議会に提案する予定です。 (1月13日時事ほか)
かながわのたばこ対策↓
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/f6955/
神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例↓ 
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/f6955/p23021.html

【関連セミナー】

  • テーマ:多様化する雇用形態とQOL
    日時:平成21年3月5日(木)14:00~16:00推進センター研修室
    概要:生活を形成する能力(ケイパビリティ)の向上は、労働能力 (エンプロイヤビリティ)を高め、生産性を上げる基礎となります。 講義では、勤労者の精神と身体の回復つまり勤労者の生活の質(QOL) を向上することこそ、企業のパフォーマンスの着実な改善に導くことを 論証します。
運送会社社長にも責任/トレーラー居眠りで11人死傷事故

三重県内の東名阪自動車道で2002年8月、居眠り運転の大型トレーラーが 渋滞中の車列に突っ込み、11人が死傷した事故について、遺族が損害賠償を 求めた訴訟の控訴審で、名古屋高裁が日立市の運送会社社長個人の責任を認める 判決を言い渡していたことがわかりました。
名古屋地裁は07年7月の一審判決で、運転手や会社などに計約2億2200万円 の支払いを命じる判決を言い渡していましたが、社長については「個々の運転手 の具体的な労働時間などは把握しておらず、注意義務があったとはいえない」 として請求を退けていました。 昨年12月の控訴審判決では、「運転手らが過労状態で業務に就いていることは 十分認識していたと推認でき、居眠り運転の危険も予見できた」などと社長の 責任を認定しています。 (1月14日読売ほか)

【解説】
これまでの業務中の交通事故で、民事責任を社長個人まで認める判決は珍しい といえます。 また読売の記事を元に、トレーラーの事故直前の動きを再現すると、以下の ようになります。

  1. 8月7日21時頃日立市を出発、東名高速SAなど4箇所で計3時間30分仮眠
  2. 同8日10時頃大阪到着
  3. 同日16時大阪出発亀山PAで19時から9時間仮眠
  4. 同9日14時30分頃日立到着
  5. 同日18時積込作業21時出発
  6. 10日5時40分事故発生

この4日間の勤務中、睡眠はサービスエリアなどでの仮眠だけです。「トラック 運転者の労働時間等の改善基準」に定める拘束時間、休息期間を推定すると・・・
7日(始業21時)拘束時間18時間休息期間6時間
8日(始業16時)拘束時間13時間30分休息期間10時間30分
9日(始業18時)拘束時間11時間40分休息期間(事故により計算不能) となります。
休息が不十分なまま8日の勤務を開始、9日もとんぼ返りで運行を開始 しています。
労働基準法違反は明らかで、この事故をめぐってはすでに、運転手に 長時間労働や無理な運行をさせたとして労働基準法違反などの罪に問われた 会社と同社常務について、罰金120万円と懲役4月、執行猶予3年がそれぞれ 言い渡されています。
トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント↓(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040330-10.html

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

肝炎ウイルス検査の受診勧奨等/厚生労働省ポスター作成

肝炎対策について、厚生労働省は「肝炎対策への協力について」(平成14年 6月21日付け基発第0621007号)、「労働者に対する肝炎ウイルス検査の受診勧奨等 の周知について」(平成20年4月1日付け基発第0401026号)等を通知して いるところですが、この度、肝炎ウイルス検査等の周知に関するポスターと リーフレットを作成しました。
平成20年度より新たにB型及びC型肝炎のインターフェロン治療に対する 医療費助成が開始される予定であり、ウイルス性肝炎は、早期発見・早期治療 が重要であることから、労働者に対して肝炎ウイルス検査の意義を周知する とともに、必要に応じ検査を受診するよう呼びかけるのが目的です。
先月19日には、厚生労働大臣より社団法人日本経済団体連合会会長宛にも 「ウイルス性肝炎に関する経済界への協力要請書」が出されるなど、肝炎ウイルス 検査の受診勧奨等の周知を依頼しています。
ポスター↓ 
http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-49/hor1-49-79-1-3.pdf
リーフレット↓
http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-49/hor1-49-79-1-4.pdf
厚生労働省健康局疾病対策課 肝炎対策推進室Webサイト↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/index.html

臨床心理士がご相談に応じます/第10回こころの健康電話相談

茨城県臨床心理士会では、無料で一日電話相談を行います。 家庭のこと、学校のこと、職場のことなど、誰に話したらいいのか、 どこに相談したらいいのか、心配事や悩み事をかかえている方などが対象。 経験豊かな臨床心理士がご相談に応じます。
日時:1月25日(日)9:00~17:00
電話番号:029-228-8536、029-228-8539 
※どちらの番号とも当日のみです 
茨城県臨床心理士会↓
http://www.isccp.jp/

有害物質の少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会資料

「平成20年度第7回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会資料」が 平成21年1月8日、厚生労働省より発表されました。
有害物質の規制は、近年、その化学物質のばく露評価も考慮に入れたリスク に基づいて管理することが世界の潮流となっており、わが国の労働衛生分野 においても、リスク評価を実施し、その結果に基づいて規制を行う手法を導入 しています。
少量製造又は取扱い作業においても同様であり、有害化学物質のより適切な リスク評価及び規制措置の導入のため、化学物質の少量製造又は取扱い作業の 効率的な把握、リスク評価及びこれを踏まえた適切な管理が可能となるよう、 本小検討会において検討を進めているところです。
なお21年夏頃には、少量製造又は取扱い作業等の適切な規制のあり方が 示される予定。
検討会資料について詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/s1216-9.html

新着図書・教材情報(無料貸出し)

かかえていませんかメンタルトラブル
~経営者、管理者が進める解決法~(DVD26分)

【概要】
職場にメンタル不調者が発生すると、同僚、特に直属の上司に大きな負担が 生じます。不調者にどう接するか?仕事の分担は?職場復帰は?部下のメンタル トラブルに直面したある課長の取り組みをドラマで紹介します。

産業保健Q&A

今回はお休みです

産業保健に関するご相談は、 こちらから

これから受講できるセミナー案内(無料)「2009年」

  • 1月22日(木)15:00~17:00:つくば国際会議場(つくば市竹園)
    テーマ「化学物質ばく露による健康障害-診断・治療と予防、管理について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)、実力アップ(Ⅳ-5-(3))
  • 2月2日(月)14:40~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「メンタルヘルス・ケースカンファレンス」
  • 2月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その1基礎知識・作業環境管理・法令編)」
  • 2月19日(木)14:00~16:00:茨城県立図書館(水戸市三の丸)予定
    テーマ「うつ病」以外の精神疾患にも対応した職場復帰マネジメント手法について」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 2月26日(木)14:00~16:00:つくば国際会議場(つくば市竹園)
    テーマ「新型インフルエンザ対策~準備・対応・対策ガイドライン等について~」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 2月27日(金)18:30~21:30:水戸市医師会(水戸市笠原町)
    テーマ「じん肺症と健康管理について~じん肺症の症状と診断、 じん肺管理区分決定、胸部X線写真の読影等~」
    日医(基礎後期2・実地1、生涯専門2・実地1)申請中
  • 3月5日(木)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「多様化する雇用形態とQOL」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中
  • 3月13日(金)14:00~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「衛生管理者等スキルアップ研修会(その2健康管理・メンタルヘルス編)」
  • 3月16日(月)19:00~21:00:茨城県産業会館研修室
    テーマ「各種うつ状態(現代型うつ病を含む)の診断と治療の実際」
    日医(基礎後期2、生涯専門2)申請中、実力アップ申請中
  • 4月6日(月)14:40~16:00:茨城産業保健推進センター研修室
    テーマ「メンタルヘルス・ケースカンファレンス」

【注】「日医認定」とあるのは、日本医師会認定産業医制度の単位認定研修(生涯研修)です。
「実力アップ」とあるのは、日本産業衛生学会産業看護職継続教育実力アップコース認定(基礎コース修了者)です。申請中、又は申請予定も含みます。
また、「予定」とあるのは、変更されることがあります。

コラム水戸南町だより

猛きもの、汝の名は・・・

昨年の宴会シーズンを前に、薬大手ファイザーが全国800人(喫煙者・非喫煙者/各400人)を対象に行った「飲食店での受動喫煙に関する意識調査」の結果、 成人男女の約7割が外食時に他人のたばこの煙を不快に感じた経験を持ち、かつ、 そのうちの8割強は文句を言えずに我慢しているという実態が浮かび上がって きました。
非喫煙者にとっては、たばこの臭いは迷惑そのもの。臭いが服や髪について なかなか取れない。料理の味が不味くなる、といった経験をお持ちの方も多いと 思います。 しかし、喫煙者でも他人のたばこの煙を不快を感じることが多いというのは 意外でした。

JR東日本では、首都圏の226駅について、東京など4駅の一部に設けられた 喫煙ルームを除き、来年4月から全面禁煙を実施すると発表しています。
現在はホームの端などに設けられた灰皿付近での喫煙が可能ですが、電車が ターミナル駅に止まるたび、僅かな停車時間を利用して喫煙箇所へと急ぐ乗客の 姿に、心なしか”滅び行くもの”の悲哀を感じます。 また北海道庁は、4月からの庁舎内全面禁煙に伴い設けた屋外の職員用 喫煙場所に、風雪よけの小屋を設置したそうです。当初は費用面と「禁煙者が 増えればいい」との考えから、小屋を設置しない予定でした。が、吹雪の中、 肩をすぼめながら庁舎と喫煙場所を行き来する喫煙者の姿を見て、”哀れみ” を感じたのでしょうか? 猛きもの、汝の名はたばこなり。そこまでしても喫煙に駆り立てる、ニコチン の魔力が凄いものなのか、再認識させられた次第です。

全国で初めて民間施設も規制対象とすることを目指してきた神奈川県の 公共的施設受動喫煙防止条例(仮称)について、松沢成文知事は今月13日、 パチンコ店や面積100平方メートル以下の小規模店、マージャン店、キャバレー などを規制対象外とする条例素案の修正案を発表しました。 知事は、「まず作り上げることが重要」と制定にこぎ着けたい考えを改めて 示したが、関係業者の猛反発に譲歩したというのが真相のようです。 そもそもこの条例については、以前にもお伝えしたように、国に先駆け実施 することで評価する声が多かった一方、業界団体や愛煙家は猛反発していました。
条例反対の声を幾つか拾い挙げてみると、
「合法的な嗜好品である以上、喫煙することは個人の選択」
「体に悪いと知って吸っているのだから、ほっといて」
「公権力による個人の権利の制限には反対!」
「たばこで、いっぱい税金を払っているのだから・・」
「今でも、喫煙者は相当我慢をしているのだ」
等々

しかしよく考えて見ましょう。居酒屋チェーンやファストフード、ファミリー レストランでは、未成年のアルバイトや妊娠中の女性従業員も働いています。 長時間長期間にわたり受動喫煙環境の中で働くことによる健康への影響に ついては、心血管系疾患や呼吸器疾患の発症リスクの上昇など、いまさら 言うまでもないでしょう。彼らの労働環境を守るという観点からも、やはり飲食店 などの禁煙化は必要ではないかと思います。 個人経営の飲食店では客足が心配なことも分かります。しかし、JRの例を 見ても「禁煙」は、きっと受け入れられるはず。おいしい料理をおいしいお酒を とともに食したい、というのは当たり前のことです。
ちなみにファイザーの調査では、他の客のタバコの煙によって不快な思いを したことがある人は全体の3分の2、喫煙者でも5割近くに上ります。また、 タバコの煙で不快な思いをした人の多くは、その飲食店を再度利用しないとも 答えています。 消費者の選択によって、意外と早く”脱たばこ”は実現するかもしれません。

猛きものも終には滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ♪ベ~ンベ~ン (平家琵琶のつもり)


次回の第39号は、平成21年2月上旬配信予定です。
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