いばらき産保ニュース 第68号(追加号)

発行日:2011/5/10
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発  行:独立行政法人 労働者健康福祉機構
茨城産業保健推進センター 所長 小松 満

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【これから受講できるセミナー案内(無料)】
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【コラム:水戸南町だより】

これから受講できるセミナー「2011年」

※ 先着順になりますので、お早めにお申込ください。
※ 有料駐車場については参加者のご負担となりますので、ご了承ください。 できるだけ公共交通機関をご利用ください。
※ 受講のお申込みは、当センターのホームページ、FAX、メール等でお申込みください。
※ メールマガジン第68号では、講師先生が被災地にボランティアで出向く 可能性があったため、記載してなかったのですが、予定通りセミナーを 開催する運びとなりました。

<平成23年6月分>(追加分)

  • 6月3日(金)午後2時~午後4時 県南生涯学習センター 定員30名
    「労働者と作業関連疾患」 
    講師:西宮 常代(産業保健相談員、西宮医院副院長)
    ※「業務上外疾病」以外で、業務と密接な関連があるとされている循環器疾患、 脳血管疾患、高脂血症、糖尿病などの「作業関連疾患」についての解説を行います。 過重労働などを理解する上でもお役に立つセミナーです。

<セミナー会場案内>

センターからのお知らせ(お役立ち情報等)

放射線と風評被害

茨城産業保健推進センター産業保健相談員、
総合病院土浦協同病院放射線科部長 大原 潔

東日本大震災と原発事故

末曾有とされる巨大地震で3月11日、日本は東北地方の人々を中心に大災害を被りました。 地震列島日本にとってはいつ起こっても不思議はない自然災害でした。しかし、方丈記の時代には 存在しなかった原発も大津波の被害を受け、チェルノブイリ原発事故並のレベル7と評される 放射能事故も起こってしまいました。10年余年前に起こった東海村の人災臨界事故では、 大線量を被ばくした二人(推定7,000-20,000mSv:ミリシーベルト)が亡くなりました。 しかし、今回の震災では、自然災害により奪われた命は2万を超すであろうと見られるのに、 放射能事故で命を失った人は一人もいません。奪われた命やその遺族の方々の悲しみよりもむしろ、 放射能事故や放射能汚染の方が大きく報道されているように思えます。このことは、原発への安全神話が 崩れたこともさることながら、放射線の怖さが程度の問題として一般人に正しく理解されていないことも 一因だろうと思います。

被ばくと線量限度

放射線は今や、医療をはじめ電力などの恩恵を享受する上で、不可欠なものになっています。 一方、無闇に被ばくをすると人体に悪影響があることも分かっています。悪影響については、 主に広島・長崎の原爆被災者の追跡調査を通じて定量的に示されました。 その結果、放射線の使用者(職業人)や放射線施設に対する被ばく線量限度や放射線管理区域の設定など、 安全対策として厳しい規制が設けられました。 線量限度は、職業人については1年間で20mSv、一般成人については1mSvと、 十分な安全性をもって定められています。 線量限度に違いがあるのは、職業人は放射線管理区域の内にいてなおかつ毎月被ばく量をチェックするように 定められているのに対して、一般人は放射線管理区域の外にいて年間1mSv以上は被ばくしないよう、 管理区域内の放射線環境が規制されているからです。 職業人でも実際には、年1mSvを超えて被ばくする人はわずかしかいません。 マイクロシーベルト(μSv=0.001mSv)レベルの放射能汚染であっても大衆に関わる点からは 報道の重要性を認めますが、緊急作業時の線量限度100mSvに基づいて原発事故の収束に努めている作業員のことも 取り上げてもらいたいものです。

放射線被ばくと安全性
そもそも地球上の生物は、太古から放射線に曝されながら進化してきたと考えられます。 現在でも人類は乳幼児を含め、自然界から年平均2.4mSvの被ばくを受けています。 この程度の自然放射線は地球上の生物にとってむしろ必要なのかも知れません。 しかし20世紀になって人類は、人工的に放射線を造り出し、利用し始めました。 世界で最も多いとされる日本人の医療被ばく線量は自然放射線量と大体同じ位です。 つまり現代日本成人は、年約5mSv(一般成人線量限度の5倍)の被ばくを受けながら、 いわゆる文化的生活を営み、長寿を維持していることになります。
しかし安全管理の立場からは、放射線はどんなに微量であっても害がある (Linear No Threshold:LNT)との仮説を採用としています。 このLNT仮説を厳格に適応するなら、古来より体に良いとされてきたラドン温泉や ラジウム温泉は営業停止とする必要があることになります。

放射線の人体影響

では実際、どの程度の放射線量を被ばくすると害があるのでしょうか。 原爆被災者の追跡調査結果では、およそ200mSv以上の線量を全身に被ばくした人たちに、 発がん率が有意に増加したとされています。 逆にいえば、これ以下の線量では、被ばくしなかった人たちと比べて、発がん率に差が見出せていないのです。 しかしLNT仮説では、これ以下の線量であっても線量に応じて発がんのリスクがあるとしています(確率的影響)。発がん性があるのは何も放射線だけではありません。 例えば、喫煙の方が発がん性ははるかに大きいことが知られています。 原発30km圏内から避難して煙草を吸う人と、避難しないで煙草を吸わない人とでは、発がんリスクはどちらが大きいでしょう。 リスクの大きさについて比較して考える必要があります。 ところで、枝野官房長官が「直ちに健康被害は出ない」と言って物議を醸しました。 発がんは通常、十年以上経って初めて明らかになります。 これに対して直ちに出る健康被害とは、ある線量(しきい線)を超えるおよそ1・2ヵ月以内に現れてくる害のことです(確定的影響)。 確定的影響を最も受け易いのは器官形成期にある胎児です。 この時期に胎内被ばくをして奇形を生じるしきい線量は100mSvとされています。 これに対して、成人のしきい線量はおよそ500mSvで、血液の成分である白血球の数が減少してきます。 ただし、しきい線量を超えたからといって、影響が必ず現れるわけではありません。 今回の原発事故で懸念されるのは確率的影響の方なのです。

不安と風評被害

さて、今回の原発事故で本当に怖いのは風評被害だと思います。 “天災は忘れた頃にやって来る”と言った物理学者で随筆家の寺田寅彦は、 “ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするものはやさしいが、 正当に怖がるのはなかなか難しい”とも言いました。 放射線を怖がり過ぎると、漠然とした不安が膨らみ、風評に惑わされ易くなります。 風評を苦に自殺した人もいると聞きます。 原発事故が収束しても大気や土壌の放射能汚染は残ります。 しかも放射能汚染は、数十年前の方が今回よりもはるかに深刻な状況だったのです。 核実験により放射能汚染が世界中に広がったためです。 当時は情報伝達手段が今ほど発達しておらず、風評が急速かつ広汎に伝わることはなかったようです。 風評は今やインターネットなどを通じて、瞬時かつ無制限に世界中を駆け巡ります。 放射線を怖がり過ぎず、風評に惑わされないようにしましょう。

今回寄稿していただいた大原潔先生の産業保健セミナーが5月18日(水)に開催されます。是非受講していただくようお願いします。
5月18日(水)午後2時~午後4時 住友生命水戸ビル11階会議室 定員30名
「放射線と健康~がん治療最前線~」
※がん治療の最前線について専門の講師がわかり易くご説明します。
※日医認定(専門)申請
※産業看護職実力アップ申請

産業保健の「相談」お待ちしています!!

当センターでは産業保健に関するあらゆるご相談に応じています。電話、FAX、メールでも結構です。(※「メール」が便利です。)
費用は「無料」ですので、お気軽にご相談ください。
また、「個人情報」は守られています。ご心配いりません。最近はメンタルヘルスに関する相談が大変増えてきました。
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メンタルヘルス対策支援センターの利用案内

「メンタルヘルス対策支援センター」では、対面、電話、ファックス、メールによりメンタルヘルス 不調の予防から職場復帰までのメンタルヘルス全般についての相談、問い合わせに応じています。 メンタルヘルス対策促進員が事業場を訪問して制度の周知、助言を行っています。
平成22年度は管理者監督者の教育も実施いたします。 メンタルヘルス不調者の対応をどうしたらよいか、社内スタッフ・従業員への教育・研修をどうしたら良いか、 職場復帰支援プログラムはどのように作れば良いのかなど、メンタルヘルス全般についてのご相談に応じています。 
費用は無料です。

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」のご案内

働く方、ご家族の方、事業者・上司・同僚の方、産業医等支援する方などが活用できるたくさんの情報が 閲覧できます。
 専門の相談機関、医療機関の名簿とか事例紹介など役立つ情報がたくさんあります。
※詳しくは↓
http://kokoro.mhlw.go.jp/

コラム水戸南町だより

▼プロ野球についての、バッターに対してツーストライク取って追いつめた後に、 1球はずす理由の回答が今だ寄せられていません。お待ちしています。 皆さんは見ましたか、WBO(世界ボクシング機構)ウエルター級タイトルマッチを、 チャンプのM・Pは強かったですね、挑戦者のS・Mは3ラウンドにダウンさせられたために、 その後、警戒過ぎてまったく手が出ず、ブーイングの嵐でした。 ちなみに、ファイトマネーはチャンプは20億円、挑戦者は5億円だそうです。 ボクシングは有名になるとすごいですね。 私の住んでいる近くにボクシングジムがあれば・・・・・・。

▼地震に関してですが、今回の大地震の余震がおさまるのには、約3年から5年位かかるそうです。 今後も余震が続くと思いますので、ロッカー等には転倒防止措置をお願いします。

▼メールマガジンをご購読している皆様方からの情報が得られれば、その情報を載せたいと思っています。 情報を寄せていただくようお願します。また、記載した内容についての批判等も寄せていただければ幸いです。 今後も皆様方のお役に立つ、メールマガジンを作成していきたいと思いますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


次回の第69号は、平成23年5月下旬配信予定です。
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